「安い食品」には必ず“ウラ”がある

一般的に30%が目安だといわれる外食店の原価率。昨今の“コスパ志向”の高まりや原価率35%を超える高原価店の繁盛も相まって注目を集めることも増えた「原価」だが、さまざまな要素が複雑に絡み合って成り立っており、その世界は実に奥深い。原価を知ると、普段、なにげなく利用している外食店の知られざる新たな一面が見えてくる

◆過度に高原価を求める風潮が食の安全を脅かすことも

輸入食材 薄利にあえぐ外食店を尻目に暴利を貪る輩も食品業界には存在する。

「一部の輸入業者は、なんとかして安く仕入れて原価を下げたい外食店の足元を見て、かなりあこぎなことしています」と語るのは、食品輸入業を営むX氏。その仕組みは次の通りだ。

「簡単に言えば、粗悪品をも含んだ食品で大量に格安で仕入れて、原材料を少しでも安く買いたいと願う業者に売りつけるのです。例えば、高級食材で知られるフカヒレであれば30kg単位で輸入する。日本での流通価格がおおよそ1kg8000円のものは、その10%、800円で仕入れるのですが、『安く売るから古いものを混ぜさせろ』と提案してくる卸元と結託して、正価800円のものを500円まで下げて輸入します。こうして安く持ち込まれたものが、原価ダウンを望む日本の外食店へと売られていきます。価格競争が激化したことで、こういったグレーな行為に走る業者が幅を利かせてきています」

 同様に人気食材は狙われやすい。

「イタリアンのお店に置いてあるオリーブオイルは原産地シチリアと書いてあっても信用できません。オリーブオイル生産量と輸出量をイタリア政府は発表していますが数字が合わなかったりするのです。中国やスペインなどからオリーブオイルを買い、混入させるといった偽装がまかり通っていて、本当のイタリア産なら1リットルで14ユーロで卸されるオイルが、中国産だと1リットル2ユーロ。さらに日本では、『搾りたて』といって売りに出すと、1リットル5900円くらいになっています」

 もちろん悪いのは粗悪な食品と知りつつ輸入する業者であるが、昨今の過度に“コスパ”を求める消費者の風潮にも遠因はある。

「食品に関していえば、安いものには間違いなくなんらかの理由があると考えるのが普通です。例えば、大量仕入れだけでもコストカットの手段になりますが、それだけでは限界があります」

 原価が高くて安い食品を期待しすぎる風潮はかえって自分たちの食生活に悪い影響を及ぼすことがあることを忘れてはいけない。

※写真はイメージです
取材・文/神田柚子莉 岸川 真 高田純造 藤村はるな
― [外食店の原価]教えます【11】 ―

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