警察庁「パチンコ換金知らない」発言の裏にあった課税論議

警察庁 最近は誤報続きで、コメツキバッタ状態の謝罪を繰り返し、いいところなしの朝日新聞。だが、8月26日の朝刊では、パチンコファンをうならせるスマッシュヒットを放った。7月24日に開かれた「時代に適した風営法を求める議員連盟」(風営法議連)の会合での舌戦をすっぱ抜いたのだ。

 警察庁の担当官は、「パチンコで換金が行われているなど、まったく存じあげないことでございまして」とうそぶき、対する議員たちは「建前論はやめましょう」とうんざり。記事中では、そんな堂々めぐりの様子が、朝から生々しく描写されている。パチンコ業界を巡る規制に詳しい、POKKA吉田氏に裏事情を聞いた。

「この背景にあるのは、安倍晋三総理が、アベノミクス推進のために国際公約した法人税減税です。その財源確保のために、風営法で規制されている業界に規制緩和をちらつかせ、カネを吸い上げるためにできたのがこの議連というわけです。当初は、深夜営業を規制されているダンス業界についてもカバーするつもりだったようですが、2013年5月から活動しているダンス文化推進議員連盟(ダンス議連)から即座に物言い。それで結局、パチンコだけが対象になったんです」

 パチンコ業界からいかに税を吸い上げるかに普請しているのが風営法議連というわけだ。だが、「パチンコ店での換金行為」という公然の秘密が、どうして議連の会合で敢えて議題にあがったのか。

「話は、今年2月14日の風営法議連発起人集会にさかのぼります。民間側から招かれたのは、パチンコの業界団体である余暇環境整備推進協議会(余暇進)の理事。彼は、業界を風営法の規制対象から外して新たにパチンコ業法を法制化するよう求めたんです」

 現在、パチンコで勝った客は、出玉を店内で景品に交換。それをパチンコ店とは無関係の景品交換所に持ち込んで換金している。これは「三店方式」と呼ばれ、パチンコ店は換金にタッチしていないので賭博ではなく遊技であり、「直ちに違法ではない」とするのが警察庁の解釈だ。

「このグレー状態を脱し、パチンコ店が法律に基づく免許制で換金をできるようにするのが余暇進の悲願です。その見返りとして、換金額の1%、およそ2000億円を税金として徴収する提案もセットでした」

 風営法議連はこの提案に飛びついたが、実現するには、そもそも換金行為が存在しないという警察庁の建前を崩さなければ話が進まない。冒頭の警察官僚と議員の激しい応酬は必然なのだ。

 とはいえ、パチンコ店における換金の合法化は、警察側にすれば、とうてい容易には飲めない話だ。その根幹にあるのは、パチンコ店の軒数だとも言われている。

「警察の偉い人が言っていましたけど、『全国に1万軒以上の賭博場を抱える国なんて、ほかにありますか。ありえないでしょう』と。僕もそりゃそうだと思いますよ」

 一方、これまで警察に対して一枚岩の団結を示してきたパチンコ業界も、足並みは揃わない。余暇進理事の提案が知れるや、蜂の巣をつついたような大騒ぎだ。

「業界団体であるパチンコチェーンストア協会(PCSA)は、あくまでも風営法の枠内での『遊技』としての営業と、三店方式での換金にこだわる代案を出しました。新たな公益法人を設けて換金に関わる手数料を還流させるスキームを提案し、風営法議連の2000億円要求に応える姿勢です」

 また、パチンコ業界の大手5団体のうち、残りの3団体は徹底抗戦の構え。全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)、日本遊技関連事業協会(日遊連)、日本遊技産業経営者同友会(同友会)は、現状の風営法の下で営業を続け、なおかつ2000億円の課税を回避したいのが本音だ。

国会議事堂 加えて、風営法議連の動向に神経を尖らせているのは、警察とパチンコ業界だけではない。

「カジノを推進するIR議連は、今秋の国会でカジノ法案の可決を目指す大事な時期ですが、パチンコの換金合法化の話が混ざってきたらグチャグチャになるのは必至。風営法議連の動きはたまったものじゃないと大迷惑しています」

 政治家、警察、パチンコ業界内、さまざまな人々の間で波紋を呼んでいる、パチンコ換金からの税徴収。POKKA吉田氏の今後の見立てはかなりドラマチックだ。

「ただね、パチンコ業界は割れていますけども、政治が本気でパチンコからお金を取りにきたら、それは逃げられない。換金行為から税をとる手段だけでなく、パチンコ台の設置数に応じた外形標準課税なんてやりかたもできますからね。そうなったら2000億円ではきかないでしょう」

 パチンコファン不在の戦いは一体どんな決着を見せるのか。

<取材・文/本誌ギャンブル特捜班>

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