脱サラしたサカモト教授「やっぱりゲーム音楽がやりたい」

サカモト教授

サカモト教授。素顔は明かさず、頭に乗せたファミコンがシンボルだ

「ファミコン」などのゲーム音楽を鍵盤で完全再現をすることで動画サイトで人気を博している音楽家・サカモト教授。ファミコンを頭に乗せ、覆面の彼だが、実は昨年までは、サラリーマンとの二足のわらじで音楽活動を続けていたという。そんな彼が音楽一本で食べていくと決意してから初めての新作アルバム『REBUILD』を発表した。サカモト教授をゲーム音楽だけの人、と認識していた人には新鮮なはずだ。

――ボーカロイドもあり、ボーカリストを迎えた楽曲もあり、これまでのチップチューン(ゲーム音楽)の要素もあったり、とにかくさまざまなジャンルが楽しめますね。

サカモト:今作は、3年半ぶりのオリジナル作品なんですけど、1年半かけて作りました。おそらく僕のイメージで、8bitのゲーム音楽の人って思われているのでしょうが、今回は、アーティストの方に歌を手伝っていただいたり、自分で作詞したり、さまざまな曲を手掛けました。僕はこういったこともできるって証明したかったというのもあります。『REBUILD』の意味は“再構築”。僕の音楽性や今まで出会った人たちを再構築するために、さまざまなアーティストやキャラクターとコラボをしました。

――現在の活動としては、ライブなどでゲーム音楽のコピー、メーカーへのゲーム音楽の提供などをされていますね。

サカモト:はい。もともとはゲーム音楽のコピーをライブでやることで有名になってしまいましたが、カプコンさんやバンダイナムコゲームスさんと直接的なお仕事をするようになり、立場上、権利などの問題でなんでもコピーできるというわけではなくなりました。かなりリスキーと言いますか。そんなわけで、自分のオリジナル曲を増やしていこうとは考えていたんです。

――そもそも音楽を志した頃のお話をお聞かせください。

サカモト:2人いた姉の影響で4歳のときにクラシックピアノを始めました。でも、あまりにスパルタ教育だったので、ピアノレッスンは中2の頃にやめているんです。しばらくは9歳の頃に始めたドラムのほうを専業としていました。学生時代のサークルは、ドラマーとしてバンドに参加していたんですよ。

――まさかのドラマー? 鍵盤担当としては呼ばれていなかったと?

サカモト:ずっと隠していましたね。だってドラムのほうがモテると思っていたから(笑)。メタリカとかドリームシアターを叩いていましたね。でも大学の2回生の頃(※京都大学出身)、それが仲間にバレちゃって。それからは色々なカバーバンドを中心に鍵盤やっていましたね。実際には、鍵盤のほうがチヤホヤされるってことがわかりました(笑)。たとえば、当時はモーニング娘。のカバーなんかをやったこともあって、同志社女子の子たちをボーカルに並べて、人気曲を演奏して。当時は、生演奏するしかなかったから、すごく重宝されて、なんというか……モテましたよ!

――大学でのバンド活動から就職まではどのような流れだったのですか?

サカモト:結果的に大学には6年通うことになったんですけど、バンドにどっぷりハマってしまって。機材を買うためにバイトばかりしていたんです。本当はこのままゲーム会社のサウンドクリエイターになるために就職したかったけど、結局それも叶わず。06年、上京して友達の会社に入りました。せっかく就職したし、とにかくマジメにサラリーマンをしようと音楽はいったんお休みしていましたね。

――サカモト教授がニコニコ動画などで、ゲーム音楽の演奏が注目されるようになったのって、07年頃ですよね。活動再開したきっかけは何だったのでしょう?

サカモト教授

ステージにて

サカモト:関西の友達からの誘いで東京のフェスに出ないかって。そのステージ上で、セッションをするパフォーマンスがあり、即興でゲーム音楽を鍵盤でコピーしたんです。すると、周りの反応がすっごく良くて。たまたまそれを撮影していた人がニコ動に上げたのが閲覧数上位にランクインしたんです。僕自身もニコ動が好きでよく見ていたんで、「あれ、見たことあるやつが映ってる」って(笑)。

――そこからサカモト教授のパフォーマンスが生まれたんですね。絶対音感を持たれているくらいだから、頭に入っている音楽はすぐコピーできるんですよね。

サカモト:そうですね。子供の頃から音に触れていたから、音はすぐ拾えます。僕もファミコン世代だし、それがウケるっていうのはわかっていました。それからは、頭にファミコン実機、そしてカセットを刺して音楽をスタートさせるというパフォーマンスをして、“サカモト教授”を名乗るようになりました。

――衣装がすごく重そうですね(笑)。

サカモト:まだ初期の頃は、ファミコンに加え、ガスマスクとかつけていましたからね(笑)。とにかく重い。今となっては、かなりバージョンアップされて楽になりましたけどね。

――新作を発表し、サカモト教授のこれまでのイメージも変わりましたが、今後はこういった幅広い音楽を生み出していくのですか?

サカモト:とはいえ、僕はやっぱりチップチューンで認識されている人間だと思うので、この『REBUILD』を作ったことで「やっぱりチップチューンがいいな」って原点に戻ることができました。これからも生み出す音楽にはチップチューンを盛り込んでいきたい。いや、盛り込むべきというか。このジャンルって、日本の伝統的なものがあるので、世界に向けて伝統していくのが僕の役目かなぁと思っています。

【サカモト教授】
頭にファミコンを乗せた、ゲーム音楽演奏家、作曲家。8bitテイストの楽曲の制作を得意とし、オリジナルアルバム『SKMT』はiTuneStoreエレクトロニックチャートでアルバム・シングルでダブル1位を獲得。さくら学院クッキング見にパティへの楽曲提供、LINEらんらん勇者・勇者と1000の魔王などのスマホアプリへの楽曲提供など活動の場を広げている。
9月23日に渋谷O-EASTでライブを開催

<取材・文/小野麻衣子>

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