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なぜ日本車は「ダウンサイジングターボ」で出遅れているのか?

ハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池車などの研究では、世界をリードしている日本の自動車産業ですが、世界の主流はガソリンエンジン車。10数年後も、それは変わらないとの予測が立っております。そんなガソリンエンジン車の世界的なトレンドは、繰り返しになりますがダウンサイジングターボ。今回は、その最高峰の怪物マシン2台を比べてみました ダウンサイジングターボの技術をもっと磨かないと世界に取り残される!!MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=撮影 Photographs by Ikenohira Masanobu ◆ダウンサイジングターボの技術をもっと磨かないと世界に取り残される!! MJ:このコラムで俺が最初に「ハイブリッドカーはガラパゴス商品」って書いたのって、3~4年前だっけ?(担当K:そうですね。その時は僕もビックリしました。 ※参照「ハイブリッドカーは日本以外では流行っていない」
https://nikkan-spa.jp/38926
MJ:国産エコカーは世界中で引っ張りダコだって、ほぼすべての日本人が思い込んでたからね。 K:あの頃は、他業界の人に「プリウスは海外ではあんまり売れてないんですよ」って言っても、信じてもらえませんでした。 MJ:日本ってやっぱり島国なんだよ! だから大マスコミが間違った海外情報を流すと、みんな鵜呑みにするんだよ! K:ようやく最近は大新聞も、「世界の自動車市場では、16年後もエンジン車が9割」とかって書いてますね。「今ごろ遅い!」って思いますけど。 MJ:最先端を行ってると思ってたら、いつのまにか最後尾だったってのは、ケータイで経験済みだ。ハイブリッドとかEV技術も大事だけど、メシのタネであるエンジン技術を磨かないと、ひょっとして自動車業界でも同じことが起きかねない。 K:ご説、ごもっともです。 MJ:で、今回は、ヨーロッパのエンジン技術の見本として、2台の超ハイパワーダウンサイジングターボ車を集めたわけだ。プジョーRCZ-Rは、1600ccで270馬力。メルセデスベンツA45AMGは、2000ccで360馬力だよ! ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=720098
メルセデスベンツA45AMG

A45AMG4MATICは658万2000円~。7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の四駆でスピードメーターは320kmまであります。2000ccで360馬力のA45AMGも1600ccで270馬力のRCZ-Rも、市販車の同一排気量では最高馬力の1台です。ゆっくり走ればとってもジェントル、飛ばせばレーシングカーのようでした

K:えーと、最近ようやく出始めた国産ダウンサイジングターボでは、スバルのレヴォーグが1600ccで170馬力でしたっけ。 MJ:プジョーはそれより100馬力も強力なんだよ! スバルと言えば、かつてインプレッサが排気量あたり出力世界一を誇り、世界的な名声を獲得したけど、今じゃプジョーに100馬力も置いていかれてる。その状況を日本人は知らなきゃいけない! K:レヴォーグ、あんまり速くなかったですよね。 MJ:カタログ上は170馬力だけど、タービンのレスポンスが悪いから、同じくらいの馬力の欧州車よりかなり遅く感じる。このRCZ-Rとじゃ、まるで勝負にならないよ! K:これ、左ハンドルのMTなんで、僕はその練習だけで終わっちゃいましたけど、速いですか? MJ:メッチャメチャ速いよ! トップエンドでのパワーの爆発感はもう純レーシングカーだよ! なのに、低い回転でもしっかりトルクが出てる。たったの1000回転でタービンが回り始める! このタービンをすばやく回す技術に、国産メーカーは苦しんでるんだ。 K:レクサスNXのエンジニアも、そう言ってましたね。 MJ:すごく単純なことだけど、技術的にすごく難しいんだろうな。エコカーばっかり研究してたから、出遅れちまったんだよ! ⇒【後編】に続く https://nikkan-spa.jp/718695
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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