領収書に発注伝票に出勤簿…小さな「偽装」をする人々の呆れた熱意

カード明細を切り貼り、日付を巧妙に書き換え……みみっちい「偽造・偽装」を重ねるのは、どこぞの地方議員たちのみにあらず。小銭・小利益を得るための、ある意味、熱意とマメさに溢れる人々の手口を探ってみた ◆ニセの注文伝票や休日出勤……せせこましく嘘をつき続ける 領収書に発注伝票に出勤簿…小さな「偽装」をする人々の呆れた熱意 職場での偽造・偽装のあるある筆頭は、やはり領収書の処理。 「領収書の宛名を書くために複数のペンを用意し、手の角度を変えたりしながら、いくつもの筆跡を作りだす」(38歳・男・マスコミ) 「海外出張でのタクシー領収書用に“海外での筆跡っぽく見える”青インクの太字のボールペンを常備している」(37歳・男・流通)  なんてのは、身に覚えのある人も多いだろう。が、小さな偽装も小さいなりにエスカレートする。 「家族との外食も経費で落としていた先輩。調子にのり、マクドナルドや回転寿司の領収書まで出したため、経理からの注意が。飲食費の使用目的である『勧誘・会合・契約・接待』のいずれも『この店で食事をするのは不自然』という指摘に、先輩は『先方のご希望』と宣った」(32歳・男・IT)  いったんはおとがめなしとなったが、子供がツイッターで「回転寿司なう」とつぶやいていた日付と領収書の日付が一致し、減給処分になったとか。嘘は思わぬところから漏れるため、彼らは情報漏洩防止に腐心する。 「街頭アンケートのパートをしていたとき、トイレなどで筆跡を偽造し、架空のアンケートを作成。粗品のクオカードをネコババしていた。大量にやって金券ショップで換金するとバレやすいので、少しずつ、た~まにやる」(43歳・女)というマメな努力家。 「扶養家族がいると住宅手当が10万円支給されるため、同僚は母親と同居しているとの嘘。母親が亡くなってバレそうになったが、『菩提寺は田舎になるんです』と言って切り抜け、しかも、忌引き休暇を2週間もとった」(40歳・女・出版)と嘘の上塗りのために大胆な嘘を重ねる派。  極めつきは「トラックの営業担当は、呼び出されればいつでも駆けつけるのが仕事で、このときの休日出勤手当はいいお小遣い。客と仲良くなり、調子の悪いトラックについて、わざと休日に連絡をしてもらうんです。修理にかり出された技術担当にも、『急な仕事が入って困っちゃったんだよね』とお客さんに小芝居してもらえば無問題」(28歳・男・ディーラー)といった、演出力派である。少しはこの労力を本来の仕事に向けてほしいものだが……。  が、「嘘をつかないほうが気楽」と、かのニーチェも言っている。 「お得意先の担当者名のシヤチハタをすべて用意し、月末に契約件数が足りないとき、注文伝票を偽造。営業ノルマをパスしておいて、数週間後にキャンセル伝票を切る」(39歳・リース)ことで、営業成績の偽装を続けてきた男性が「仕事の虚しさが募り転職した」というのは、健全だといえよう。  まあ、そんな良心のかけらは、「自分から飲みに誘い、支払いは必ず部下に領収書を切らせる。その上で、会議では『お前の部、交際費が多くないか?』と指摘し、自分の無関与を周囲に印象づける上司」(32歳・男・金融)には皆無。偽装テクはともかく、人間性のセコさは処置なしである。 ― セコすぎる[偽造・偽装]事件簿【1】 ―
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