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石井一久、“ゆるさ”の持論を展開「普段は上手に手加減するほうがいい」

初の自著『ゆるキャラのすすめ』を発売した石井一久氏

初の自著『ゆるキャラのすすめ』を発売した石井一久氏

 10月に自身初の著書となる『ゆるキャラのすすめ。』(幻冬舎)を上梓した石井一久氏。11月6日夜、池袋コミュニティ・カレッジで出版を記念したトークイベント&サイン会が催された。  石井氏といえば、22年間の現役生活で日米通算182勝を記録した豪腕ピッチャー。2013年の引退後は、吉本興業に新入社員として入社したことでも話題になった。現在、野球解説者として活躍する一方、吉本興業のスポーツマネジメント部門でサラリーマン生活を送っている。  イベントに先立って行われたプレス向けのフォトセッション&インタビューに、Tシャツにハーフパンツ、スニーカーという出立ちで飄々と登場した石井氏。「あ、衣装が付かなかったので、普段着で来ちゃいました」と、さっそくゆるさを発揮して、集まった記者たちを笑わせた。  同書は「最初で最後(の自著)」のつもりで手がけたとか。「自分では、とても常識的な、普通の人間だと思っているんだけど、周囲の人から『オマエは常識がない』とよく言われてしまう。まわりの奨めもあって、一度、自分の考え方をまとめてみようかなと思って書きました」と執筆動機を語った。  読みどころや、読者に伝えたいことを問われると「常に全力なんて、僕はありえないと思っている。いつも100%では、人間、疲れてしまうし、ケガだってする。やらなきゃいけないときにちゃんとやって、普段は上手に手加減するほうがいい」と回答。  続けて「“しっかりした人”オーラを出してしまうと(周囲の)ハードルが上がる。日頃から“ゆるい人”オーラを出しているほうが、ここぞという場面でハードルを飛び越えやすい」「“やるときはちゃんとやるヤツ”という印象を持ってもらえれば、『そのかわり、普段は何もできねーな』でも許してもらえます」と持論を展開した。  今年、野球解説者として1シーズンを見てきた感想を尋ねられると「試合が長い」と即答。「あまり長すぎる試合だと、お客さんもダレてしまうし、最後まで見ていられない。トータル3時間以内に収めるようにするほうがいい。僕はよく、スコアボードの時計を見ながら『3回が終わって1時間か……いいペースだな』なんて時間を気にしながら投げていました」と、テンポのよい投球で試合を進めることが多かった自身の現役時代を振り返る。  その他、監督就任への興味を問われると「僕にそんなオファーは来ないと思いますけど、やるなら東京とか、関東のチームがいい。家から近いんで」。また、同時期に現役生活を送った工藤公康氏やデーブ大久保氏の監督就任についてどう思うかを尋ねたところ「どうもこうも……特にないです(笑)。もちろん、頑張っていただきたいし、野球界をよくしていただきたいですけど、他人のことにあまり興味がないので。僕は僕ですし」などなど、石井氏らしさ炸裂のコメントを連発。  ちなみに、サラリーマンとして最近覚えたことは「会議のときに、険しい顔をすること」とか。「真剣な会議に出席したら、とりあえず眉間にシワを寄せておけば間違いないです」。  続くトークイベントでも、スポーツジャーナリストの生島淳氏を聞き役に、ゆるゆるトークを繰り広げた石井氏。軽妙な生島氏の司会進行のもと、本の内容にちなんだ話題だけでなく、最近のメジャーリーグ事情などにも言及。ところどころに笑いを織り交ぜながら、満席の場内を湧かせた。  最後の質問コーナーでは「ゲーム好きの石井さんですが、野球ゲームで自分の能力が気になったりするのでしょうか?」という観客に質問に対し、「それは気になります! コントロールがつねに“D”だったりするから」とゲーム内のパラメーターにもの申す一幕も。「まあ、コントロールがD評価なのはまだ譲れるんですけど、変化球がCだったりすると『そんなアホな! 僕はもっと曲がってるだろ。せめてBでしょ』とか思ってしまうんですよねぇ」と回答。来場者を爆笑させていた。 <取材・文/漆原直行>
ゆるキャラのすすめ。

上手に手を抜けば、結果はフシギとついてくる。元祖“ゆるキャラ”として22年間プロ野球界で活躍した男の無理をしない生き方

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