ディーゼル天国ニッポン、主役はマツダとBMWの2強なり!
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
ガソリン価格が高騰して久しい昨今。レギュラー150円、ハイオク160円なんてのが、当たり前になってきました。そんななかハイオクよりリッター30円以上も安い軽油で走るディーゼル車が人気に! 日本のディーゼル市場は、今やマツダとBMWの2強時代でございます
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆日本はいつの間にかディーゼル天国!? 牽引する勇者2台を乗り比べてみました
驚くべきことだが、日本の自動車市場で、ディーゼルブームが起きている。ディーゼルエンジンは知的で高級なパワーユニット。なぜなら「加速も燃費もガソリンエンジンより優れてるから!」そういう認識が広がりつつある。
日本にクリーンディーゼルを真っ先に投入したのはメルセデス・ベンツ(’06年)で、国産勢では日産がエクストレイルでそれに続いた(’08年)。しかし現在の主役は、マツダとBMWに移っている。
マツダはスカイアクティブDを投入して以来、ブランドイメージが劇的に向上し、今や国産で唯一、輸入車と競合するブランドになった。マツダディーラーには輸入車ユーザーの試乗申し込みが絶えず、私自身もアテンザディーゼルが出たときにシトロエンで試乗に行きました。そのとき、営業マンに「BMWやベンツから乗り換えを検討しているお客様が多いです」と言われ驚愕。日本では、国産車と輸入車は一切競合しない(レクサスでも)。つまり輸入車を欲しがる層は、国産車は眼中にないと言われていたのに、今やマツダ最大のライバルはBMWなのである。
そのBMWは現在、日本での販売台数のうちディーゼルが3割。ディーゼルがラインナップされているモデルに限れば5割に達し、ヨーロッパ市場と同レベルだ。わずか2年でここまでディーゼルが伸びるとは!
快進撃を続けるマツダとBMWは、ディーゼルのラインナップ拡充を続けている。マツダはデミオに新開発の1.5リッターディーゼルを投入。対するBMWも、MINIクロスオーバーにディーゼルモデルを追加した。排気量はBMW320d(508万円~)と同じ2リッターだが、ターボの過給圧が低めで馬力も低め。そのぶん価格も低めで341万円から。ガソリン車との比較だと20万円高だが、政府の補助金や減税で15万円分が埋まり、実質たったの5万円高! 2年でモトが取れる。しかもディーゼルは今、中古車市場で人気抜群で下取りも高い。こりゃもう「ディーゼルを選ばないのはバカ!」って感じですか?
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=747018
乗ってみると、やっぱりBMWのディーゼルはガラガラ音がうるさくて、トラックが来たかと思います。MINIの場合、アイドリングストップもついてないので信号待ちでもガラガラガラ。あんまりエリート気分じゃないな……。
加速はさすがに力強い。MINIクロスオーバーはデブで車体が重いので、ガソリンエンジンだと遅さが気になったけど、これならオヤジ4名乗車でも坂をグイグイ登る。軽油はハイオクよりリッター34円くらい安いので、乗るたびにお得感バリバリ。問題はガラガラ音だけですな。
⇒【後編】に続く https://nikkan-spa.jp/746056
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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