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データでみるWWEグローバリゼーション――「フミ斎藤のプロレス講座」第15回

 今週はWWEの最新の話題をいくつか紹介していく。WWE“LIVE”は現在、ヨーロッパをツアー中。さる11月5日のロンドン公演から10日間の日程でスタートしたツアーが1日2公演(全17公演)のスケジュールでヨーロッパ各地を転戦している。
データでみるWWEグローバリゼーション――「フミ斎藤のプロレス講座」第15回

ディーン・アンブローズ(WWE公式サイトより)

11月5日A、ロンドン公演(ジョン・シーナ対セス・ロリンズ) 11月6日A、アイルランド・ダブリン公演(シーナ対ブレイ・ワイアット&ケイン) 11月6日B、ウェールズ・カーディフ公演(ディーン・アンブローズ対ロリンズ) 11月7日A、イングランド・バーミンガム公演(シーナ対ロリンズ) 11月7日B、アイルランド・ベルファスト公演(アンブローズ&ワイアット&ケイン) 11月8日A、イングランド・マンチェスター公演(シーナ対ロリンズ) 11月8日B、イングランド・マインヘッド公演(アンブローズ対ワイアット&ケイン) 11月9日A、イングランド・ノッティンガム公演(シーナ対ロリンズ) 11月9日B、イングランド・リーズ公演(アンブローズ対ワイアット&ケイン) 11月10日A、イングランド・リバプール公演(“RAW”TVテーピング) 11月10日B、イングランド・ボーンマス公演(クリス・ジェリコ対ワイアット) 11月11日A、イングランド・リバプール公演(“Smackdown”TVテーピング) 11月11日B、イングランド・ブライトン公演(シーナ対ロリンズ) 11月12日A、フランス・パリ公演(シーナ対ロリンズ) 11月12日B、イングランド・ニューカッスル公演(アンブローズ対ケイン) 11月13日A、スペイン・マドリッド公演(シーナ対ロリンズ) 11月13日B、スコットランド・グラスゴー公演(アンブローズ対ケイン)  11・5ロンドン公演からスタートしたWWE“LIVE”は、翌6日からA、Bの2グループに分かれての2都市同時開催ツアーを開始。Aクルーはジョン・シーナ対セス・ロリンズのシングルマッチ、Bクルーはディーン・アンブローズ対ブレイ・ワイアット&ケインのハンディキャップ・マッチをメインイベントにラインナップし、それぞれ連日、平均8000人クラス、5000人クラスの観客を動員。日程の後半からは当初、遠征メンバーにリストアップされていなかったクリス・ジェリコがツアーに合流した。10日、11日の2日間はリバプールで“マンデーナイト・ロウ”と“フライデーナイト・スマックダウン&メインイベント”のTVテーピングがおこなわれ、通常のようにアメリカ国内からではなく、ツアー先のイングランドから全世界に向けて最新映像が発信された。  年内のPPVは11・23“サバイバー・シリーズ”セントルイス、12・14“TLC(テーブルズ・ラダース・アンド・チェアーズ)”クリーブランドの2イベントで、年が明けると1・25“ロイヤル・ランブル”フィラデルフィア大会、2・25“イリミネーション・チェンバー”メンフィス大会のあと、3・29“レッスルマニア31”サンタクララ・リーバイス・スタジアム大会が控えている。1月のPPV“ロイヤルランブル”の40選手出場――例年の30選手から今大会は出場枠を40選手に拡大――時間差式変則バトルロイヤルの優勝者が“レッスルマニア”のメインイベント出場権を獲得する。  1987年の第1回大会から数えてことしで28回めの開催となる歴史と伝統のイベント“サバイバー・シリーズ”の売りものは“5対5”の軍団闘争イリミネーション・マッチ。ことしは“チーム・シーナ”シーナ&ビッグショー&ドルフ・ジグラー&シェイマス&ライバックと“チーム・オーソリティー”ロリンズ&ケイン&マーク・ヘンリー&ルーセフ&ルーク・ハーパーがWWEのオーソリティー(権力)の座をかけてぶつかり合う。また、軍団闘争ドラマとはあくまでも別ワクのメインイベントとしてアンブローズ対ワイアットのシングルマッチもラインナップされている。
データでみるWWEグローバリゼーション――「フミ斎藤のプロレス講座」第15回

レインズ(WWE公式サイトより)

 WWE世界ヘビー級王者ブロック・レスナーは11月、12月ともPPVイベントは不参加。“チャンピオン不在”という状況のなかでのマッチメーク編成はWWEとしてはきわめて異例の事態といっていい。チャンピオンベルトをめぐる長編ドラマのキーパーソンズはレスナー、前王者シーナ、“マネー・イン・ザ・バンク”(王座挑戦資格)の権利保有者ロリンズ、アンブローズ、ベビーフェース転向のランディ・オートン、そして椎間板ヘルニアの緊急手術で現在欠場中のローマン・レインズの6人。“次期世界王者最有力候補”とされるレインズは12月第2週からの本格的な戦列復帰が決定している。  WWEはWWEネットワークのサインナップ・ボーナス(契約特典)としてこの11月=1カ月間の番組の“無料配信”をアナウンスし、いますぐに契約すれば11・23“サバイバー・シリーズ”が無料で視聴できるというキャンペーンを展開している。WWEネットワークの契約世帯数は、10月1日現在のデータで73万1359件(アメリカ国内が70万2883件、海外が2万8476件)。WWEは当初、年内にアメリカ国内だけで契約世帯数100万件突破をめざしていたというが、数字そのものはまだこの目標に達していない。ことし2月の開局の時点で“約1500時間”とされていた映像アーカイブのコンテンツは現在、“約2500時間”がその編集作業を終え、デジタル化されているという。  WWEネットワークと世界各国のメディアとの関係はケース・バイ・ケースで、カナダのように大手テーブル局が一括して“仲介プラットホーム”となる場合もあれば、イングランドのようにウェブ、iPhone、iPad、アンドロイド端末からXbox One、Xbox360、RokuBoxなどのゲーム機器、AmazonFireTV、AppleTV、SmartTVといったテレビではないテレビまで、ありとあらゆるアプリケーションが個別に使える国・地域もある。外国語での放送(映像配信)については、ドイツ語版の制作が決定しているが、それ以外の言語についてはまだ未定。月額9ドル99セントというセット料金も世界共通ではない。WWEネットワークが同時発信されていることになっている“世界170カ国”のなかにはなぜかいまのところ日本は含まれていない。  来年3月29日、カリフォルニア州サンタクララのリーバイス・スタジアムで開催される“レッスルマニア31”の前売りチケットはすでに発売中で、リングサイド最前列から8列めまでの“初回価格”は2000ドル。ことし3月の“レッスルマニア30”の開催地となったルイジアナ州ニューオーリンズの市観光局によれば、“レッスルマニア週間”がニューオーリンズにもたらした経済効果は約1億4220万ドル(約163億5300万円)。スーパードームが動員した約6万5000人の観衆のうちの約5万1000人が州外・国外からやって来た観光客で、これらの観光客はひとりあたり平均“3.7日間”市内のホテルに滞在し、周辺地域の飲食店で約1070万ドル(約12億3050万円)を消費し、約2430万ドル(約27億9450万円)の州税、市税を支払ったという。  もちろん、これらの数字は“レッスルマニア”の興行収益、PPV視聴契約収益、WWEネットワークの受信契約料とはまったく関係のないところで発生した“外側”の経済効果である。“レッスルマニア”のブランド・パワーはMLBのワールドシリーズ、NFLのスーパーボウル、アカデミー賞やグラミー賞といったエンターテインメント界のメガイベントとくらべてもまったく劣るものではない。  3・29“レッスルマニア31”のメインイベントはレスナー対シーナの完全決着戦か、それともレスナー対ロリンズの世代交代ドラマか? ハルク・ホーガンが事実上の引退試合としてシーナとのシングルマッチ実現を熱望しているため、これから1カ月くらいのあいだにどこかでホーガンとシーナの“接触シーン”が用意されているかもしれない。
斎藤文彦

斎藤文彦

 また、最初で最後の“レッスルマニア”出場をウワサされているスティングはジ・アンダーテイカーとの対戦を希望。“オーソリティー”トリプルHは、どうやらザ・ロックことドウェイン・ジョンソンとのシングルマッチで“レッスルマニア31”の大トリをゲットしようとしている。100人を超す専属契約タレントのなかで“レッスルマニア”の公式ラインナップにその名を連ねることができるのは16~18選手。われらがヒデオ・イタミのメジャー・デビューはいったいいつだ――?  文責/斎藤文彦 イラスト/おはつ ※斎藤文彦さんへの質問メールは、こちら(https://nikkan-spa.jp/inquiry)に! 件名に「フミ斎藤のプロレス講座」と書いたうえで、お送りください。 ※このコラムは毎週更新します。次回は、11月18~19日頃に掲載予定!
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