中年になったら鍛えるべき「ミトコンドリア」とは?

慢性疲労、老化を感じたら「ミトコンドリア」という体内物質をご存知だろうか? 古くからアンチエイジングの観点で注目されている物質で、小説原作で映画化・ゲーム化もした『パラサイト・イブ』の題材として有名だ。

 ミトコンドリア研究の第一人者、日本医科大学大学院医学研究科の太田成男教授によると、「映画関係者から聞いたのですが、8割の人が名前を聞いたことがあっても、何なのかよくわかっていないものは、映画の題材にしやすい」という。あれだけ話題になった映画だが、現在でも「ミトコンドリア」と聞いて何なのかわからない人も多いだろう。

「ミトコンドリアは、私たち人間のあらゆる活動に必要なエネルギーをつくっている細胞内の器官です。ミトコンドリアが正常に働いていると、エネルギーが十分につくられ、疲労しにくく、また細胞が傷ついても修復されるのが早くなります。また、中年以降の慢性的な疲労の原因を『乳酸が溜まっているから』と思っている人がいますが、それは間違いです。ミトコンドリアの数が減って正常に機能せず、必要なエネルギーがつくれないために、壊れた細胞を修復する力も衰えているというのが正しい説明です」(太田教授。以下同)

 表面的な老化だけでなく、しっかり眠った翌朝も疲れが抜けず「年とったなー」と思うあの状態も、実はミトコンドリアに原因があったのだ。では、どうすればミトコンドリアを正常に、若い頃のように機能させられるのだろうか?

「よく言われる健康法ですが、ほどよい運動と腹8分目の食事が重要です。エネルギーをつくる過程で、ミトコンドリアには強い電圧がかかり、細胞にダメージを与える活性酸素が発生します。加齢に伴い、ミトコンドリアが減って一つ一つのミトコンドリアに負荷がかかりやすくなっているところへ、激しい運動や暴飲暴食が重なると、ミトコンドリアがオーバーワークし、電圧が高くなって、電子が漏れ出します。そして、漏れ出した電子が酸素と結びつくことで、活性酸素がより多く発生してしまいます。ですから、運動も食事も“ほどほど”が理想です。」

 ランニングなど、積極的な運動を1回1時間、週2回程度が理想的だという。なかなかハードだが……。

「逆にゆったりとしたウォーキングでは効果が得にくいです。運動を開始してから5分程で汗ばむ程度の軽いジョギングや、坂道を歩くことなどがおすすめです。ミトコンドリアが増えてくると、1呼吸で酸素が効率よく使われるようになるので、およそ2週間程で運動が楽になってくるのを実感できるはずです」

 食事は腹8分目、たまには7分目に控えて空腹を感じると、ミトコンドリアを増やす効果があるそうだが、ポイントはほかにもある。

太田成男 教授

太田成男 教授

「ミトコンドリアがエネルギーを作る際に必要な『ヘム』という物質の材料になる『ALA(アラ)(5-アミノレブリン酸)』を摂取することで、ミトコンドリアの質を上げることができます。ALAが不足し、ヘムが十分にないと、エネルギーもつくれないし、活性酸素が出やすくなります。毎日疲れやすい方は、ALAが多く含まれる食品を積極的に摂ること。サプリメントで摂取するという手もあります」

 ALAはホウレンソウなどの緑黄色野菜やたこなどの魚介類に特に多く含まれているという。ミトコンドリアを鍛え、活性化させて老化を防ぐためには、生活改善はもちろん大事だが、ALAを含む食品を意識して摂取することから始めてみたほうが良さそうだ。

●太田成男 教授
1951年福島県出身。生物学者。日本医科大学大学院教授、日本ミトコンドリア学会理事長。著書に、『体が若くなる技術』のほか、『パラサイト・イブ』の著者・瀬名秀明氏との共著『ミトコンドリアのちから』など。

<取材・文・撮影/日刊SPA!取材班>

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