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倉山満「嫌韓本を捨て、日本を変えるための読書を」

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倉山満氏

 驚異のペースで著作を発表し続けている憲政史研究家の倉山満氏。共著も含めると16冊もの著書が刊行された’14年は、まさに「倉山イヤー」であった。だが本人は、「著作を通じて『韓国なんて取るに足りない存在だから、無視するに越したことはない』ということをずっと訴えていたのに、日本ではいまだに愚にもつかない嫌韓本が売れ続けている。力不足を痛感しています」と肩を落とす。 「本を読まないネトウヨなんかは放っておいて、ここでは真に国益というものを考えようという人に読んでほしい本を選びました。いずれも世の中でまかり通っている通説に風穴を開けるものです」  加えて、倉山氏が「必読古典」と言うのは、マキアヴェッリの『君主論』。「『君主論』を読めば、常識人の何たるかがわかる。今の日本で嫌韓を叫ぶのは決して常識的でも何でもないということもね。40歳でマキアヴェッリに触れたことがないというのは、かなり終わってますよ」 ●『「平和」という病』 樋口恒晴/ビジネス社 1188円 「いまの防衛・安全保障論は全部ウソ!というのを一般読者向けに解説。扉に“嘘(通説)”とそれに対する“事実”がまとめられているのでわかりやすい。解釈改憲なんてずっと昔からやっていますとか、実は社会党も昔は九条改正派でしたとか、衝撃の事実がずらり。自分の頭で「国防」を考えるために一読を」 ●『アベノミクスの真実』 本田悦朗/幻冬舎 1512円 「著者はアベノミクスのブレーンにして、先ごろの増税論議では『総理と刺し違える覚悟で増税10%は阻止する』と公言し、結果的に増税を食い止めた人物。日本の行く末を憂い、デフレ脱却の方策を情熱的に説いたこの一冊をいまこそ改めてひもとくべき。屁理屈で改革を遅らせる財務省への憤りが滲みます」 ●『戦後レジームを解き放て!』 和田政宗/青林堂 1080円 「拙著『帝国憲法の真実』が刊行されて以来、従来はタブーであった“帝国憲法”という言葉も徐々に市民権を得るようになってきました。本書では現役の政治家が、帝国憲法を見直そうという提言を、とりわけ財政の観点から行っており、感慨深いものがあります」 ●『知られざる台湾の「反韓」』 古谷経衡/PHP研究所 1620円 「ネトウヨは基本的に『親台反韓』ですが、実はこの二国はずっと兄弟国の関係。その台湾と韓国が、なぜ今のように激しく罵り合うようになったのか。その歴史を知ると、今の日本での嫌韓がいかに浅薄なブームに過ぎないのかわかる。気鋭の評論家による力作」 ●『東伍郎とまろすけ』 長月キュー/小学館 コミックス既刊2巻 「唐突ですが、私にとって目下最大の癒やし本。舞台は幕末、飼い猫の『まろすけ』と一緒にいたいがために、剣の達人なのに仕官しない浪人の話です。猫好きにはもれなくオススメ。本作が『スピリッツ』で休載になっていると、一週間落ち込みます」  というわけで上記5冊を選んでいただいた。年末年始に腰をすえて読書してみてはいかがだろうか? 12/16発売の週刊SPA!では「いま読むべき100冊」という企画を組んでいるので、会心の1冊にであえるはずだ。ぜひそちらもチェックしてみてほしい。 <取材・文/週刊SPA!編集部> 【倉山満氏】 ’73年、香川県生まれ。憲政史研究者、倉山塾塾長。’13年「チャンネルくらら」開局。『嘘だらけの近現代史』シリーズ(扶桑社刊)は累計20万部を突破。その他、『帝国憲法の真実』(同)など著書多数
週刊SPA!12/23号(12/16発売)

表紙の人/筧美和子

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「平和」という病

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嘘だらけの日韓近現代史

日韓近現代史の「真実」を明らかにすることで、厄介な「隣人」の正体を描きだす

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