ダイナースの身売り話…プレミアクレジットカードの凋落

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その49 ―


ダイナースの身売り話…プレミアクレジットカードの凋落 ダイナースカードに身売り話が持ち上がっている。ダイナースを所有しているのは、アメリカのシティグループだが、その日本部門「シティカードジャパン」を、事業縮小の名のもと、日本国内の企業に売却するらしい。思わず「ダイナースお前もか」と叫びたくなった。これで日本の2大プレミアクレジットカード、ダイナースとアメックスの衰退がはっきりして来たようだ。

 ダイナースといえば、世界最初のクレジットカードとして、最高ブランドのポジションに位置して、日本じゃ昔は30才以上、不動産所有、すなわち家持ちじゃないと入れなかった。個人的には1994年に入会しているが、最初入会を断られた。理由を聞くと電話帳に電話番号が掲載されてないからと言われて、実はこういう仕事なんで、イタズラ電話も多いので、掲載を断っているんですと。そこでようやく入会できた。

 埼玉のジョン・レノンミュージアムに行ったときに、彼の遺品の展示物から、ダイナースカードを発見したときは、お~さすがセレブのカードだなと感心したものだった。

 裏目に出たのはプレミアカードの発行だ。招待状が来て、年会費30万円ぐらい払って、ステイタスを買うってやつなんだが、批判も多い。アメリカの有名コラムニストは、ユーモアたっぷりの批判コラムを書いている。話はこうだ。

 カード会社の役員がゴルフをしながら、売り上げを伸ばすにはどうしたらいいかって話しだした。ある役員が、見栄っ張りのバカに、プレミアカードを売って、年会費を何倍も取るのはどうだって提案したら、一同大爆笑しながら、それで行こうと満場一致で決まった。とまあ、このようにして、プレミアカードが生まれた的な、オチの小話だ。もちろん、実際はそんなことはないが、妙なリアリティがあるから不思議だ。

 実用面で言うと、プレミアカードには様々な特典がつく。それが魅力だったが、今となっては時代遅れというか、他の業者がやってくれている。

 例えば初期のプレミアカードにおいては、名門ゴルフ場の予約ができるのがウリだった。今はネットの予約サイト、GORAやGDOを使えば、ほとんどのコースを格安でプレーできる。プレミアカードの優位性は、ごくわずかの閉鎖的名門コースのみである。しかも、昔は4人でプレーしたら、一括でカード予約した人が支払いしろなんて、バカなことを要求していた。面倒臭いじゃないか。

 さらに高級シティホテルの割引予約。それもネットで予約サイトが山ほどある。レストランの予約もしかり。じゃマイルが貯まるじゃないか。それもアメックスは、JALとの提携を解消してしまった。これじゃ持ってても意味ないじゃん。

 ハイヤーの手配とか、料亭の予約とかね、そういうのしたい人にはいいんじゃないの。こっちはすでに降りましたから。昔アメックスのゴールドカード持ってたころに、プラチナのインビテーションが来て、入ってみた。当時年会費約6万円、それが8万円になり、最近は13万円越え。その金があったら、生命保険に入れるじゃないか。ということで、今は初心に戻りグリーンのアメックスをたまに使っている。

 昔「職業エディター、週末活字を忘れる」なんて、かっこいいコピーでプレミアカードの世界を表現したけど、そのエディターがそもそも斜陽だし。今はすっかり実用主義のカードに代わってしまった。楽天カードマンが、目にカードを貼り付け、天才デザイナーの佐藤可士和の代表作がTポイントカードですからね。あのダサさは、わざと狙っているんだろう。最近PGMのゴルフ場に行くと、Tポイントカード提示で、スムースチェックインできる。しかもポイントがつくし、世の中の便利って、こういうことなんだよね。

 プレミアカード持ってて1回もモテたことはない。むしろ逆だった。東南アジアの露店で、さんざん値切ってから、プラチナカードで決済したら、「こんな金持ちカード持ってて、あんた値切るのね」と、嫌味言われたから。実際はこんなものですよ。

木村和久

木村和久

■木村和久(きむらかずひさ)■

トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦

<photo by rosmary via flickr

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