奥歯の横にできる治りにくい口内炎は「舌癌」のサイン

<病気の予兆を見逃すな/医学ジャーナリスト・市川純子>

 その不調は病気のサインかも!? 私たちを襲う危険な病気とその予兆を、ケーススタディで紹介します。

◆最初はただの口内炎かと思っていたが……

 Bさんは商社に勤務する30代のビジネスマン。アジアの支店勤務を終えて昨年から本社勤務になった。いつも気になるのは口内炎がなかなか治らないところ。痛くてついつい舌先で口内炎を触ってしまうクセがついてしまった。Bさんの仕事は海外との取引が多く、時差もあるので朝早く夜は遅い。独身なのでなかなかバランスのよい食事を摂るのも難しい。朝はコーヒーだけ。昼は会社の近くの立ち食いそばで軽くすませる。夜は同僚と一緒のときは居酒屋で。1人の場合は近所の中華料理屋で餃子とビールなどを食べている。口内炎の原因はバランスの悪い食生活だと思っていた。

 ところがある日、風邪をひいて喉が痛く会社の近くの耳鼻咽喉科を受診し、医師に「先生最近口内炎ができてもなかなか治らなくて。昨年より大きくなった気がするのですが」と言った途端、診察をしていた医師の顔色が変わった。「すぐに紹介状を書くので大きな病院の耳鼻咽喉科で精密検査を受けてください。一刻も早いほうがいいです」と言われたのだ。

 病院の診断結果は舌癌だった。子どもの頃からたまにできていた口内炎だと思っていたのがまさか舌癌だったとは。この先の仕事のプロジェクトを考え、入院しなくてもよく、切らない治療も選択肢にあると知ったBさんだった。

◆なかなか治らない口内炎は耳鼻咽喉科か歯科で相談を

 平成20年10月から平成26年11月末まで、2760名のがん患者に対して陽子線治療を行ってきた、世界初の民間陽子線治療施設「南東北がん陽子線治療センター」(http://www.southerntohoku-proton.com/)の中村達也医師は、舌癌の患者さんを100名以上切らずに治療してきました。中村医師は「過去に852名の頭頸部のがんの患者様に対して陽子線治療を行って来ました。頭頸部がんの代表的な部位が舌癌です。舌癌は口腔内に発生する癌の約3割を占めており、20~30歳代の若年者にも時々みられます。男女比でいうと約2:1で男性のほうが多くみられます。好発部位は舌の側縁で、とくに臼歯部に相当する側縁部に発症します。舌は嚥下、発音、味覚に関わっているとても大切な器官です。これを切除してしまうと食べられない、話せない、味がしないなどの後遺症が残り生活に支障を来たすことがあるので、動注抗がん剤を併用して行う陽子線治療は退院後の生活を考える上で有効な治療手段です。3期、4期の進行舌癌を切除せず動注抗がん剤と放射線で治療した場合の3年生存率は約85%と手術と謙遜ない成績でした。なかなか治らない口内炎はすぐにご近所の耳鼻咽喉科または歯科にご相談ください」と語っています。

【市川純子】
1961年栃木県生まれ。私鉄系広告代理店、PR 会社を経て、2004年ヘルスケア、スキンケア、栄養および食に特化したPR 会社「株式会社ジェイアンドティプランニング」を設立。20年以上ヘルスケアのビジネスをサポートすると同時に、数多くの疾病啓発や生活提案に取り組んできた。医療全般、スキンケア、栄養療法などが得意分野。製薬会社、医療機関、化粧品会社、食品会社などのクライアントを数多く受け持つ。著書に『危険な病気の意外な予兆69』(宝島社)
J&Tプランニング http://www.jtplanning.biz/
ブログ http://ameblo.jp/ebisuonnashacho/

危険な病気の意外な予兆69

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