8.6秒バズーカー「売れなかったら1年でやめようと思ってました」

’14年末から、突如としてメディアで聞く回数が増えた「ラッスンゴレライ」。そのネタを生み出したのは、赤いシャツと赤いズボン、黒いサングラスがトレードマークでデビュー2年目の若手芸人コンビ「8.6秒バズーカー」だ。芸人としてなんの実績も下積みもないなか、異例ともいえる突然のブレイクに、彼らは何を思うのか?

――おふたりは昨年3月にNSCを卒業されたばかりですよね。デビュー2年目にしてこれだけブレイクした、率直な感想を教えてください。

8.6秒バズーカー

【8.6秒バズーカー】ネタ作りを担当する田中シングル(右)と、 「痩せたらイケメン」と言われるはまやねん(左)。 ともに大阪府吹田市出身。’91年生まれの中学 の同級生同士で、’13年にNSCに入学。その 翌年4 月1 日に「8.6秒バズーカー」として コンビを結成しデビューした

田中シングル(以下、田中):いや、本当にラッキーですよね。前から「早く売れたい」とは思ってましたけど、こんなに早く売れるとは……。

はまやねん(以下、はま):そうですね。あまりに急すぎて、自分たちではまだ全然実感が湧いてないです。

――今では毎日のようにテレビに出てますが、ブレイクの発端はYouTube(※)だったそうですね。

田中:一応、最初に「ラッスン」のネタを見せたのはライブだったんですが、そのときはウケが悪くて。だから、しばらくこれは封印して普通のネタをやってたんですけど、半年ぐらいしてネタが尽きてしまって。それで、ふと「もう一回あのネタやろか」って今度は別のライブでやってみたら、すごくウケたんですよ。

はま:その後、僕らがYouTubeに「ラッスンゴレライ」の動画をあげたら、中高生が僕らのコピーをするようになって。気がついたら、ネット上にいろんな人が「ラッスンゴレライ」をコピーしている動画が拡散してましたね。

※YouTubeにあげていた「ラッスンゴレライ」の動画が、中高生の間で人気になり、完コピ動画をアップする人が続出した。また、そのほかにも、オリエンタルラジオら先輩芸人がイベントで「ラッスン」ネタの完コピを披露し、その動画でもまた話題に。その結果、まだ昨年末時にはテレビ出演が3回ほどしかなかったが、「現在話題の芸人」としてテレビで取り上げられる結果に。なお、昨年12月にアップされた公式動画の再生回数は2700万回以上(5月現在)

――女子中高生や子供たち中心にウケた理由ってなんだと思いますか?

田中:リズムネタっていうのがよかったんでしょうね。あと、僕らは「早く売れたい!」と思っていたので、最初からよしもとの劇場に見に来るような10~20代の若い女のコにウケそうなネタを、意識的につくっていた部分もあったんです。

――けっこう戦略的だったんですね。

田中:そうですね。もし1年やって売れなかったから、芸人をやめようと思ってたので……。

――えっ、最初から1年間というタイムリミットを決めてたんですか?

田中:はい。僕自身はNSC卒業後の就職も決まってたので。「どんなに下積みをしてもいいから、自分が面白いと思うお笑いを貫こう」みたいな感覚はなかったですね。もちろん、そういう価値観を持っている人を否定する気は全然なかったんですけど、お笑いがダメだったら、すぐに次に行こうと思ってましたから。

――先日もよしもと史上、最速の単独ライブを開催(※)したそうですね。

田中:「なんばグランド花月」っていう一番大きいライブ会場でやらせてもらったんで、客が埋まらなかったらどうしようかとすごく不安でした。でも、スタッフから「800席に対して2時間で5000件の予約がきた」と聞いてホッとしました。

※3月23日に初の単独ライブを、大阪「なんばグランド花月」にて開催。デビュー11か月にしての単独ライブ開催は、よしもとの所属芸人としては最速の記録となる。また、同ライブは一般販売開始から、たった1分でチケットが完売したことでも話題になった。なお、同ライブのDVD『ラッスンゴレライブ』(3240円・税込み)は6月17日に発売予定

――単独ライブでは、リズムネタ以外にも挑戦されたそうですね。

はま:そうですね。漫才やコント、「挑戦シリーズ」(※)っていう、ライブっぽいものもやってみました。いろいろできて面白かったです。

※鉄板ネタの「ラッスンゴレライ」以外にも、「走りダッシュ」「ストリートミュージシャン」「お弁当」などのコントや、「初めての○○シリーズ」として、舞台上で熱々おでんを食べたり、けん玉やビリビリペンなど、さまざまなことにも挑戦した。また、ライブ内では黒いスーツなど、トレードマークである赤いシャツと赤いパンツ以外の衣装を披露したため、ファンの間でも大きな話題になった

――「ラッスン」以外のネタをやりたいと思ったりはしますか?

田中:最初は毎月違うネタを出して、「ラッスン」以外のネタでもブレイクしてやろうと思ってました。でも、毎回新ネタを出すとなると、けっこう難しいんですよ。今となっては、「ラッスン」だけでこんなに仕事がきて、ありがたいと思ってます。

はま:まあでも、5月になっても仕事がくるほど続くとは思ってなかったですけどね(笑)。

――よく“リズム芸人は一発屋になりやすい”と言われますが、「もっと違うことをやらなきゃ」という焦りを感じたりはしますか?

田中:テレビなどに出ても、いつも求められるのは「ラッスン」で、「本来、自分たちがやりたかったことと全然違うのでは?」と悩んだ時期もありました。でも、今は考え方が変わって、「オレらを使ってくれる人がいるだけでありがたいな」と。

――それは、開き直りですか?

はま:そうですね。今の僕らは余計なことは考えずに、求められていることを全力でやるべきなんじゃないかって思っています。

※このインタビューは週刊SPA!6月2日号のインタビュー連載「エッジな人々」から一部抜粋したものです
<取材・文/藤村はるな 横山薫(本誌) 撮影/有本真紀 撮影協力/YES THEATER>

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