なぜ「○○女子」はこんなにも増えたのか?

○○女子 飽和状態といえるレベルまで増加した○○女子というネーミング。その増加の背景について、『「女子」の誕生』著者で甲南女子大学准教授の米澤泉氏に話を聞いた。

「まず、『女子』という言葉が特別な意味で使われ始めたのは、2000年代前半から。人気漫画家の安野モヨコが化粧情報誌『VoCE』の連載で『女子』『女子力』という言葉を頻繁に使ったことが、ブームの発端とされています。2002年には『AERA』も『三十すぎても[女子]な私たち』という記事を掲載。その後は数多くのファッション誌で『大人女子』『30代女子』という言葉が確信犯的に使われ始めます」

 そうやって大人の女性に対しても「女子」という言葉が使われるようになり、2009年には新語・流行語大賞に「女子会」という言葉も登場している。

「○○女子という言葉が溢れかえる状態になったのは2013年頃で、肉食女子やこじらせ女子、さらには還暦女子、マシュマロ女子、残業女子というような言葉まで登場しています。その使われすぎな風潮に対しては、2014年に『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(ジェーン・スー著)という本も出る状態になりました」

 この「女子」ブームには、やはり社会状況の変化も関係しているとのこと。

「晩婚化、未婚化、非婚化の傾向は大きいでしょうね。その傾向のもとでは、結婚して素敵な奥さまになるわけでもなく、バリバリのキャリアウーマンを目指すわけでもない女性は増加しています。『女子』は彼女たちの生き方をすくい上げる最適な言葉だったんです」

 また、言葉としての使い勝手が良かった……という面もあるそう。

「『女性』という言葉にはお役所的な硬い印象があり、『女』には生々しい感じがあります。一方で『女子』という言葉は、使われた当初は手垢にまみれておらず、女性や女にはない親しみやすさもあった。事実、『カープ女子』などの言葉は、男性の趣味に女性が参加することへの抵抗感を減らす役割も果たしてきたと思います」

 今後も「○○女子」という言葉は増えていくのだろうか。

「○○女子という言葉は飽きられていくでしょうが、大人の女性に対して使う『女子』という言葉は、前述した使い勝手の良さや、社会状況との関連から、今後も長く使われていくでしょう」

【米澤泉氏】
甲南女子大学准教授。専門はファッション文化論、化粧文化論。著書に『「女子」の誕生』『コスメの時代』(ともに勁草書房)、『私に萌える女たち』(講談社)など

取材・文/古澤誠一郎 廣野順子 田幸和歌子 鼠入昌史(Office Ti+)安田はつね(本誌)
― 増殖する[○○女子]は複雑怪奇になっていた! ―

「女子」の誕生

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