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そうだ、川島なお美は僕のオナペットだった!

―[山田ゴメス]―
ベテランライターが原点回帰のドサまわり。独断と偏見で選んだ、巷をにぎわすニュースを猛追跡! 【記者・ゴメスが追う 第2回】 恋の罪園子温監督の最新作『恋の罪』が11月12日(土)、いよいよテアトル新宿ほか全国にて公開される。(園子温監督は11月8日発売の週刊SPA!本誌でもロングインタビューが掲載されているので併せてチェックされたし) それに先行して、11月8日には記念イベントの“女性限定”試写会が開催され、そこにはなんと、あの川島なお美がやってくるという。川島なお美については、思うところが多々あるゴメス。会場へと、自然に足が向いた。 ◆ただ、川島なお美に会いたくて…… AM11時すぎ。シネマート六本木のスクリーン4は、平日の真っ昼間だというのに、キャパシティ200席弱の場内、約7割がすでに埋まっている。 メインの客層は30代から40代の女性。入場前に配られたマスコミ用の進行スケジュール表に目を通す。よくよく読んでみると、川島なお美がこの映画に出演しているわけではないようだ。本作で“昼と夜、別の顔を持つエリート助教授・美津子”を演じる冨樫真と3年前に舞台を競演して以来の友人、ということでのキャスティングであるらしい。 今年49歳になる僕が、大学生だった頃、週刊プレイボーイだとかGORO……はすでに廃刊していたか、そこらへんはうろおぼえだが、とにかくそんなメディアの数々に、川島なお美は彗星のごとく現れた。 現役青学生。まだ「芸能人=お勉強ができない」、という定理が当たり前だった当時、この肩書きは途轍もなくセンセーショナルだった。 「青学生なのにアイドル!」 「青学生なのに大胆水着!」 「青学生なのにカンニング(疑惑)?」 我々にとっての、理想の“近所のお姉さん”は、たちまち“理想のオナペット”の座を不動のものにした。これもまたうろおぼえでもうしわけないが、もしかすると「オナペット」という言葉自体、川島なお美の登場とともに爆発的な勢いで世に広まったのではないか? などと妄想に浸っているうちにトークショー開始予定時間の11時30分。今日の主役であるはずの冨樫真を圧倒するオーラを放ち、川島なお美がステージに現れる。 ◆オナペットの幻想を打ち砕く精密機械のようなスキのなさ
川島なお美

川島なお美登場。これで50歳はなんだかんだ言って奇跡だ

スパンコール地のショートパンツに、目の大きい網タイツと薄グレー色のロングブーツ。肩出しニットの左側からは、計算され尽くしたかのごとく黒のブラ線が覗き見えている。ギャルをゴージャスにアレンジした、大人の女にコケティッシュな艶をフレイバーする巧みなコーディネイトだ。 小ぶりな乳房をつんと突き出す美しい曲線を描く背筋。脚は、組まずに片膝を内側に寄せながらアシンメトリーをつくり、さり気なさを装いながらも遊びのない角度をキープし続けている。たまに見せる笑みを支配するのは、心というより口角の筋肉。ドラマ版『失楽園』で、女優として劇的な復活をはたした後、ワインに詳しいヒト、カリスマパティシエとの結婚……と、芸能界を生き残ってきた。 30年前のオナペットは今、まるでスイスの精密時計のようなスキのなさを備え、僕の眼前で「女優は恋しなきゃダメよ」「女は“ウーマン”、つまり“ウム(産む)・マン”だから、子宮を持っている生き物なのよ」などと、チョット思わせぶりでどうでもいいトークをかわしている。
川島なお美,冨樫真

トークショーでは、おしゃべりの苦手な冨樫をお姉さんキャラでズバズバフォロー。映画『恋の罪』を「性悪女的なブルゴーニュワインのよう」などと例えていた

「川島なお美のエロさは、すでに30年前から作為的に演出されていたのでは?」 そんなかなしい猜疑心にさいなまれたとき、ひとつの事件が起きた。川島なお美がジャラジャラつけていたブレスレットの一個が、ひょんな拍子で腕から落ち、太もも外側の網タイツに引っかかってしまったのだ。 ◆些細な狂いからまろび見えた川島なお美の“素” おそらく会場内にいたギャラリー、スタッフのほとんど誰もが気づいていなかったと思われる。しかし、ゴメスはそれを見逃さなかった。 そして、それを境に川島なお美の、鉄壁の“女優シールド”は、にわかほころびを見せはじめる。トークの合間ごとに、網タイツにぷらんぷらんぶら下がっているブレスレットに手をやっては解こうとするが、案外ややこしい縺れ方をしているみたいで、なかなか解けない。その一拍の“想定外”のしぐさが、川島なお美のトークのリズムを微妙に狂わせていく。なにをどう語っても、どこか上の空……。 時間にすれば数分にすぎない、些細なアクシデントだったのかもしれない。だが、そんな川島なお美の、ホンの一瞬の狼狽する姿に、デビュー当時の未完成な、親近感という名のエロティシズム、しいては牝としての人間の体温を感じ取ったのは、はたして僕だけだろうか? 女性限定の試写会だったから、たぶん僕だけだったに違いない。いずれにしても、川島なお美はやはり、僕にとっての永遠のオナペットであったのだ。 ちなみにこの『恋の罪』。ご来場の女性3人一組全員がピンクの物を身につけていたり持っていたりすれば、鑑賞券が1000円になる「女性3人女子力割引!」なんて計らいもあるらしい。 残念ながら試写会は観ることができなかったが、一度機会があれば、ぜひ観てみたい。 『恋の罪』 11月12日(土)全国ロードショー。監督・脚本:園子温/出演:水野美紀、冨樫真、神楽坂恵ほか/制作:「恋の罪」製作委員会/配給:日活 ●2011「恋の罪」製作委員会/2011年カンヌ国際映画祭・監督週間正式出品作品。koi-tumi.com 【山田ゴメス】 1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。日刊SPA!ではブログ「50にして未だ不惑に到らず!」(https://nikkan-spa.jp/gomesu)も配信中。現在「解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ系列)(http://www.ntv.co.jp/99answer/)に“クセ者相談員”として出演。『クレヨンしんちゃん たのしいお仕事図鑑』(双葉社)も好評発売中! 取材・文・撮影/山田ゴメス
大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するライター兼コラムニスト&イラストレーターであり、「ネットニュースパトローラー(NNP)」の肩書きも併せ持つ。『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。保有資格は「HSP(ハイリー・センシテブ・パーソンズ)カウンセラー」「温泉マイスター」「合コンマスター」など
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