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東北の新名所!被災地に建った奇跡のような3つのライブハウス

「東北ライブハウス大作戦」――。この名前を聞いてピンときた人は、普段からそれなりに音楽にアンテナを張っている人だろう。一般的にはさほど知られていないかもしれないが、東日本大震災が起こった直後から、音楽を通じて被災地の“振興”を目指して巻き起こったプロジェクトだ。  その内容は、甚大な津波被害をこうむった宮城県石巻市と、岩手県宮古市、大船渡市という3つの町に、ライブハウスを建設しようというものだった。プロジェクト立ち上げ当時はまだ食料支援などさまざまな課題が山積していた頃。当然、「このような時期にライブハウスを作るべきなのか?」という意見もあるなか、プロジェクトは、多くの音楽関係者やミュージシャン、そして地元の人々も巻き込んで、大げさではなく、ちょっとした奇跡のような展開をみせ…… ●宮古「KLUB COUNTER ACTION MIYAKO」 ●大船渡「LIVEHOUSE FREAKS」 ●石巻「BLUE RESISTANCE」 という3つのライブハウスが建つことになった(大船渡の店舗は市の区画整理計画により移転中)。
東北ライブハウス大作戦 ―繋ぐ―

『東北ライブハウス大作戦 ―繋ぐ―』(石井恵梨子・著)

 そんな動きに関わった多くの人物へのインタビューを通して、その軌跡を記したのが、先日発売された『東北ライブハウス大作戦 ―繋ぐ―』(石井恵梨子・著)である。著者である石井氏は、取材活動を通じて「このプロジェクトのもう一つのテーマは“地方活性化”をどうするか、だと思うんです」と語る。 「いろんな人の尽力があって、’12年10月までに3つのライブハウスがオープンしました。それだけでもすごいことだし、実際に地元の人からもすごく好評で、順調なすべり出しを見せたと思います。けど、いい意味でも悪い意味でも、それから3年近く経って“普通の状態”が戻ってきたわけです」  そうなると今度は“普通の地方のライブハウス”をどう経営していくか、という問題が出てくるという。 「現地では『夏場はいいけど、冬場はやはり運営が厳しい』という声もありましたね。東京の人たちからすると3つの町の距離感がいまいち掴めないと思うんですが、それぞれ車で数時間走らないと着けないような距離なので、頻繁に集まって連携をとるというのもの難しい。だから今は『それぞれが地方から、どう発信するか?』という段階に入ってきたのかと。やはり重要なのは、地元の高校生バンドを増やしたり、どうカルチャーとして定着させるかなんです。ただ、これは四国でも九州でもどこでも一緒の課題ですし、決して悲観する必要はないと思っています。現地の人たちの眼はマジですから」  そもそも「東北ライブハウス大作戦」は、西片明人氏という人物をキーパーソンとして始まった。彼は新宿ロフトで長年、ライブハウスPA(音響担当)を務めてきた人物で、その後はHi-STANDARDやBRAHMANなども多くのバンドも担当。そんな氏が「作戦本部長」として旗振り役を担い、今に至る。 「ただ、もちろん彼だけじゃなくて、親交のあるバンドマンだったり、昔は東京で音楽をやっていた現地の人などが賛同し、バラバラに動いていた人が“繋がって”プロジェクトが進んでいったんです。あと、震災直後から支援活動をしていた音楽関係者は多かったのですが、その際にも、震災前に全国ツアーとして巡っていたライブハウスが“支援の道”になっていたそうです。例えば福島や茨城のライブハウスを基地にして支援物資を車に積んで、宮城や岩手に届けたり。これも繋がりですよね」  そんな活動が一つの形として実ったのが、3つのライブハウスなのだ。最後に石井氏から、実際に3つのライブハウスを現地で楽しむための見所を聞いてみた。 「まずは、なかなか地方では見られないような豪華なミュージシャンがツアーで回ってきたりしますね。あとはライブハウスの壁に貼られた木札。これは夏祭りの奉納金のようなもので、寄付をしてくれた人の名前が書かれているんです。たぶん、誰でもビックリするような豪華な名前が書かれていますから、現地に行ったらぜひ見てください」 ⇒【写真】はコチラ nikkan-spa.jp/?attachment_id=900566  夏休みを利用して、さまざまな思いが詰まった「東北の新名所」を訪れるのもよさそうだ。 ●宮古「KLUB COUNTER ACTION MIYAKO」(http://kcamiyako.s2.weblife.me/) ●大船渡「LIVEHOUSE FREAKS」(http://www.go-freaks.com/) ●石巻「BLUE RESISTANCE」(http://blueresistance.com/) <取材・文/日刊SPA!取材班>
東北ライブハウス大作戦 —繫ぐ—

ただ美しいだけじゃない。その裏に汗と涙のストーリーが星の数ほどある

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