デジタル

絶賛CM中の『ゲーム・オブ・ウォー』の巧みな課金戦略【コラムニスト・木村和久】

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その80 ―

 もうすっかり、やり飽きて引退するタイミングを計っていたゲームだが、突然6月からテレビCMがばんばん流れてきて、「ひょっとして、オレって旬なゲームやってんじゃん」状態になり、辞めれなくなっている今日この頃です。 『ゲーム・オブ・ウォー』 そのCM大量垂れ流しゲームは「ゲーム・オブ・ウォー・FireAge」というやつだ。CMの内容はこうなっている。農園で民衆が作業をしていると、突如敵が押し寄せてきて、パニック状態になる。なんとか城に逃げ込みタッチの差で、城の城壁がせり上がりセーフという演出だ。逃げ込む若者になんと俳優の伊勢谷友介が出演しており、凄くお金がかかってる感がしてならない。ちなみに撮影は、茨城県の採石場で120人のエキストラを動員して、3日間費やして撮影したそうだ。 そして耳に残ってしまうBGMの「ウ~オ~ウ~オ~ワ~」って、小室哲哉の「WOWWARTONIGHT~時には起こせよムーヴメント」じゃん。すげえ懐かしい。実はこのゲーム、一部のバブルな課金者が支えているとも言われて、年齢層が高い。だから小室哲哉の音楽が、ちょうど懐かしい~って感じで、マッチするのだ。  実は去年の今頃、このコーナーで取り上げたゲームだけど、まさかこんなに有名になるとは思ってもみなかった。ゲームは簡単に言えば、「信長の野望」系の城を造って国力、軍事力を養い、敵の城を攻めるシミュレーションゲームである。なんで7000万人も参加するかっていうと、世界の言語を翻訳してプレーするから、どこの国の人ともコミュニケーションが取れる。ちなみに「ファックユー」が日本語だと「こんにちわ」になるんだけど、これは無駄な争いをしないための、穏便な翻訳ですかね。というわけで、世界中の参加者がみんな城を持って、いつ果てるとも分からない戦いを、日夜繰り広げてるのだ。  城の強さは、課金によってだいたい決まる。非課金者が課金者に勝つことは、まずあり得ない。だから負けた者は悔しいから、お金を払って軍備拡張をすることとなる。この課金の額が半端じゃない。簡単にいうと、1年やって非課金者はパワー1億がいいとこ。しかし最強パワーのスーパーサイヤ人クラスは、100億パワーを持っている。ちなみに私はパワー2億台で、5万円ほど課金したかな。やり方にもよるが、100億パワーの人って、10万円や20万円じゃ到底辿りつかないのは間違いない。  このゲームの課金システムは非常にうまくできている。別に課金を強制していうわけではない。人間の闘争本能に呼びかけ、現実社会じゃ地味だけど、ゲームぐらい勝たないでどうすると、問いかけられている気がする。人間同士が争う戦争ゲームは、米ソの冷戦構造に似ているわけだから、軍事費跳ね上がるんですよ。  このゲームは、巧妙にできていて、なかなか辞めづらい。100人ぐらいが、同盟を組んで、他の同盟と戦うが、同盟員はチャットで仲良くなってしまうから、「オレ辞めます」というわけにはいかなくなっている。ごく初期なら辞めてもいいが、1年も経つと同盟の中では幹部だから、辞められない。しかも、中だるみと思ってたら、CM開始と来たもんだ。あのCMは、新規客獲得の意味もあるが、実は既存のユーザーが辞めないように、我々に向けてオンエアしてたんですな。
木村和久

木村和久

 とにかく男臭いゲームだ、女子率は非常に少ない。だから女性に、今CMでやっているんだよと、誇らしげに見せても、ほとんど無視されるので、ご注意を。 ■木村和久(きむらかずひさ)■ トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
おすすめ記事
ハッシュタグ