増税原理主義者の不都合な真実を暴く

連載11【不安の正体――アベノミクスの是非を問う】

▼え!? 2014年の景気失速は野菜不足が原因?

 土居さん! あなたの血は何色ですか? 

 増税すれば自殺者が増える。あなたはそれを知った上で増税をゴリ押しするのですか?

 正直空いた口がふさがりませんでした。慶応大学経済学部の土居丈朗教授ともあろう御方が、まさか「昨年の景気失速は増税のせいではなく、野菜不足のせいだ」とのたまうとは……。

 こんなふざけているとしか思えないような経済論を振りかざす教授が、次期首相候補として名高い稲田朋美議員の経済ブレーンを務めているのですから、もう絶望するしかありません。

 もし、土居氏に教えを請うたまま、稲田氏が首相になってしまった場合、さらなる増税は避けられないでしょう。そして悲劇は繰り返されます。1997年、消費税を増税した橋本龍太郎内閣ですが、翌’98年には就業者数が激減し、自殺者数が一気に1万人も増加しました(図1図2)。デフレから脱却していないのに増税なんかしたら、日本人が死にます。だから、土居さん! 「あなたの血は何色ですか?」と聞いているのです。

⇒【グラフ】はコチラ nikkan-spa.jp/?attachment_id=915447

13-113-2▼供給不足による不況とはどういうことか

 別に土居氏を擁護するつもりはありませんが、彼の発言「野菜不足で不況になった」は色々と曲解されている部分があります。発言を聞き直すと、野菜不足については例え話として語っており、彼は生産供給能力不足による不況だと言いたいようです。

 しかし、「供給不足で不況」にしてもかなり強引な理論であることに変わりはありません。理由は簡単。現状認識が間違っているからです。昨年の景気失速は誰がどう見ても増税による消費需要の低迷にあります。

 要するに、土居氏は増税の悪影響から庶民の目を逸らすために、まったく見当違いである「供給不足による不況」をねじ込もうとしているのです。これは増税をやりたいがためのコジツケとしか考えられません。

 そもそもですが、土居氏の主張する供給不足による不況とはどういうことでしょうか? このことを説明するために、供給と需要の関係について簡単に解説します。

 まず、需要とは消費者側の買いたいという意志です。消費者は物の価格が高ければ高いほど購買を控えて消費量を減らします。これは家計を預かる主婦の目線で見ると当たり前のことでしょう。消費者はできるだけ安い値段で多くの物を買いたいと考えます。

 一方で、供給とは企業、生産者が物を売りたいという意志です。生産者は家計とは逆に、できるだけ高い値段で物を多く売りたいと考えます。その方が、企業の利益を最大化できるからです。

 つまり、できるだけ安く物を買いたい消費者と、できるだけ高く物を売りたい生産者、お互いの利害は完全に対立しています。したがって、生産者が理想としている値段で商品を市場に売りだしたとしても、消費者としては値段が高すぎて見向きもしません。ですから、生産者は消費者が購買意欲を失わない価格帯で商品の値段を決定します。

 これが「物の価格は需要と供給で決まる」ということです。市場のメカニズムに任せると物やサービスの価格は消費者が納得できて、生産者も利益を確保することができるちょうどいいところで価格が均衡するのです。

 ところがここに外的な要因が加わると、この均衡に歪みが生じます。

 例えば昨年のように消費税が3%も増税されてしまうと、物の価格が強制的に3%上がります。こうなると国民の消費需要、つまり消費者の物を買いたいという意志は冷え込んでしまうので、日本全体の消費量が減ります。企業も過剰な在庫を抱えるリスクを避けるために生産を控え、景気が悪くなってしまいます。

 また逆に、何らかの原因で日本の供給能力が落ちて、国民の需要を満足できなくなってしまうと、国民は消費を拡大しようにも生産が追いつかないので消費を増やせない状況に陥ります。結果、消費が低迷し景気が悪くなります。

 つまり、不景気には以下の2種類があるのです。

・何らかの原因で消費需要が低迷することによる不況
・企業の生産能力が不足することによって起きる不況

 繰り返しになりますが、昨年の不況は誰がどう見ても、前者の消費需要の低迷が原因です。天地がひっくり返っても、土居氏が主張する供給不足ではありません。その事実を、グラフを用いて説明したいと思います。

▼消費が減っているのになぜ供給不足になるのか?

 昨年の消費需要の低迷はグラフで見れば一目瞭然です。図3を見てください。家計の消費が増税後(4-6月期)急激に下落しています。その下落率は東日本大震災時を上回る凄まじさです。昨年の増税の破壊力はあの未曾有の大震災を上回る規模だったのです。

⇒【グラフ】はコチラ nikkan-spa.jp/?attachment_id=915449

13-3 さらに次のグラフ(図4)は企業の設備稼働率の推移なのですが、ピークである2014年1月の106.3以降減っています。要するに、日本の企業は8%への増税以降、設備をフル稼働させていないのです。本当に昨年の日本は供給不足に陥っていたのでしょうか? どう見ても消費需要が低下しているようにしか見えません。土居教授は「供給不足だ!」と言っていますが、消費には触れません。

⇒【グラフ】はコチラ nikkan-spa.jp/?attachment_id=915450

13-4 しかし、慶応大学の教授ともあろうお方がこのようなデタラメを吹聴しても許されるものなのでしょうか。何がなんでも増税を肯定したいにしても、あまりに無理がありすぎます。

▼増税原理主義者の不都合な真実

 冒頭で説明しましたが、増税すると景気が悪化し、失業者が増え、国民の命が奪われることになります。この事実を経済学者である土居氏が知らないわけがありません。意図して隠していると思われます。これらの事実は増税原理主義者にとって不都合な真実なのでしょう。

 要するに「供給力不足による不況論」はこれらの不都合な真実を隠したいがために、彼がひねり出した詭弁だということです。

 もし、本当に土居氏が本気で日本のことを思って、真剣に増税をしなければならないと考えているのであれば、不都合なことも包み隠さず開示して、その上でそれでも増税が必要であることを説明すべきでしょう。

 しかし、土居氏は増税による弊害には一切触れず、昨年の不況の原因は供給不足にあるなどと平気で嘘をついています。完全に経済学者としてあるまじき姿であると断言します。ここまで頑なに増税を主張する背景には、何かやましいことがあるのではないかと考えざるを得ません。

 だから、あえて聞きます。

 土居さん! あなたの血は何色ですか?

 そんなに同じ日本人が死ぬのが見たいですか?

◆まとめ
・土居氏は2014年の景気失速は増税は無関係、供給不足が原因だと主張
・しかし、2014年は設備稼働率が低下しているためその指摘は的外れ
・景気失速の原因は明らかに消費税増税による消費需要の低迷
・何がなんでも増税がしたい土居氏。しかし増税の不都合な部分は決して語らない

【山本博一】
1980年生まれ。経済ブロガー。ブログ「ひろのひとりごと」を主宰。医療機器メーカーに務める現役サラリーマン。30代子育て世代の視点から日本経済を分析、同世代のために役立つ情報を発信している。近著に『日本経済が頂点に立つこれだけの理由』(彩図社)。4児のパパ

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