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世界中の「ギネス記録挑戦」に立ち会ってきた日本人女性

 世界中の“一番”を収集し続けているギネスワールドレコーズ™。1955年に出版されて以来、毎年刊行されている「ギネス世界記録™」はこれまでに累計1億3400万部。現在は21か国語に翻訳され、100か国以上にて販売されている。その最新刊となる『ギネス世界記録2016』が9月10日に刊行された。  今年も世界各国で様々な“驚き”が生まれ、既存の記録も更新されたわけだが、日本からも多くの世界記録が誕生した。 「以前は英国本社宛に英語で申請する必要があるなど、日本人がギネス世界記録に挑戦することのハードルは高かったのですが、日本オフィスが出来てからは、日本語で申請することも可能になったせいか、挑戦しようという気運が高まってきています」
ギネスワールドレコーズジャパン記録管理部 ディレクター/公式認定員・石川佳織さん

いしかわ・かおる ギネスワールドレコーズジャパン記録管理部 ディレクター/公式認定員

 そう語るのは、日本人初の公式認定員・石川佳織さん。07年にギネスワールドレコーズに入社、記録管理部に配属以来、英国をはじめとしたヨーロッパ各国、日本、アメリカ、インド、台湾、UAEなど世界中を飛び回り、これまで100を超える記録挑戦の現場に立ち会ってきた。12年、日本支社に異動してからは、国内を中心に認定員として活動している。 「世界記録として認定されるまでの道のりは大きく2つあります。一つは『これは世界一じゃないか?』『チャレンジする価値はあるんじゃないか?』と皆さんが思うものを申請してもらい、それが世界記録に該当するかこちらで調査するもの。もう一つは、記録管理部で常日頃リサーチをしておりますので、こちらからコンタクトするものですね」  全世界で年間約4万件の申請があり、うち5%程度が記録になるという。 「日本人の得意なジャンルだと思うのは、やはりチームワークを生かした、全員参加系の記録挑戦ですね。『ギネス世界記録2016』に掲載されているなかでは『連続して流し麺をキャッチした最大人数』や『リレー形式で卵をパスした最多人数』などが該当します。事前の準備や練習期間の長さはもちろん、挑戦に関するガイドラインは英語で発行しているんですが、皆さん、一項目ずつ全員チェックして、細かく質問されてくるんです。記録挑戦中も、参加する皆さんの緊張が目に見えて伝わってくるのですが、高校生の友達グループも農協のおじさんたちも一緒になって声をかけあって団結力を高めている。『記録自体の価値ももちろんだけど、それ以上に、普段接しない人たちと一緒に何かをなしとげた経験がためになった』という言葉をもらうことが増えました」 【記録名:連続して流し麺をキャッチした最多人数】
連続して流し麺をキャッチした最多人数

(C)2016 Guinness World Records Limited

長崎県新上五島町で、2014年10月26日、110人で達成した。 【記録名:リレー形式で卵をパスした最多人数】
リレー形式で卵をパスした最多人数

(C)2016 Guinness World Records Limited

アイドルグループ、℃-uteとそのファンで、東京赤坂BLITZにて259人で達成。(2014年8月22日)  チームワークが生かされる記録挑戦は日本のみならず、世界的にも増加傾向だという。もちろん、個人申請で世界記録に認定された日本人も続々誕生している。合計3つの世界記録を持つBMXプロライダーの池田貴広さん、「1分間に犬が前足でキャッチした最多ボール数」(14個)のビーグル犬のプリンちゃんなどがそれだ。 「欧米ではクリスマスの日に、子供に『ギネス世界記録』をプレゼントが伝統にもなっています。それを読んだ子供たちも『これなら、自分にも挑戦できるかも』って感じに申請してくれることも多いので、本書でこれまでの記録を参考にしつつ、『この記録を更新してみたい』『別の切り口で新しい世界記録を作りたい』って感じにアグレッシブに挑戦してほしいですね」
ギネスワールドレコーズジャパン記録管理部 ディレクター/公式認定員・石川佳織さん

「世界一の場面に立ち会えることと、世界挑戦する人たちのパワーを感じることが認定員という仕事の一番の魅力ですね」(石川さん)

 世界の驚きの新記録から、日本で認定されたものまで、『ギネス世界記録2016』に収録されている、気になる世界記録の一部を公開していこう。 【記録名:存命中の最も背の高い夫婦/Tallest married couple】
存命中の最も背の高い夫婦

(C)2016 Guinness World Records Limited

バスケットボール選手スン・ミンミンとハンドボール選手スー・ヤン(ともに中国)は、2013年8月4日北京で結婚。236.17センチと187.3センチで二人合わせて423.47センチとなる。(2013年11月14日測定) 【記録名:最速のカメ/Fastest tortoise】
最速のカメ

(C)2016 Guinness World Records Limited

2014年7月9日、秒速0.28mを打ち出したバーディ(イギリス) 【記録名:BMX1分間最多タイムマシンスピン/Most BMX time machines in 1 minute】
BMX1分間最多タイムマシンスピン

(C)2016 Guinness World Records Limited

プロライダーの池田貴広さん(日本)は、2014年6月25日、1分間でタイムマシンを83回スピンし、自身の記録を更新。その他、BMXメガスピン(30秒間)45回と、ジャイレータースピン1分間59回、合計3つの記録を持っている。 【記録名:1分間に犬が足でキャッチした最多ボール数/Most balls caught by a dog with the paws in one minute】
1分間に犬が足でキャッチした最多ボール数

「ちゃんと人間のキーパーのように、両手を開いて待ってしっかりキャッチするんです」(石川さん)(C)2016 Guinness World Records Limited

日本に住むビーグル犬プリンが14個で記録達成。 【記録名:最も重いザボン/heaviest pummelo/pomelo】
最も重いザボン

(C)2016 Guinness World Records Limited

熊本県立八代農業高等学校の学生が栽培したバンペイユ 4859.7グラム(2014年12月24日測定) ■日本語字幕付『ギネス世界記録2016』完成版映像
<取材・文/日刊SPA!取材班>
『ギネス世界記録2016』グレイグ・グレンディ編

価格:3300円(税込み)
企画・制作・発行:株式会社角川アスキー総合研究所
発売:株式会社KADOKAWA
2015年9月10日発売

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