テコンドーや空手じゃなくてK-1!? フモフモ編集長の東京五輪“観戦穴場競技”探訪

~フモフモ編集長の今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第15回~

※前回はこちら

 さて、気を取り直して空手へ。府中から南に下り、今度は横浜へと向かいます。横浜スタジアムのほど近くに建つ横浜市文化体育館がその舞台。こちらは1964年東京五輪でもバレーボール競技などで使用されたレガシーです。中華街や馬車道からも徒歩圏にあるオシャレな場所で大会を開くとは、あんまり穴場っぽくないですね。

 何やかんやでレガシーは活用されている。

 入口前には政治的団体の街宣車みたいなクルマが。

 会場入りしてまず驚かされたのは、その客入り。体育館をしっかりと使い切るくらい、スタンドには人が座っています。もちろん、関係者であったり出番のない選手が座っていたりもするので純粋な「客」だけではありませんが、それにしてもこれだけの人数がいるというのは大したもの。「穴場感」はハッキリ言ってゼロです。普通に盛り上がっています。

 この日は組手の団体戦が行なわれており、日本勢は男女アベック優勝を狙っての戦いでした。地元開催ということで、もちろん日本勢への声援は一番大きく、ニッポンチャチャチャなどのコールも響きます。しかし、日本一辺倒ではなく中国や台湾、イランなどへも大きな声援が上がり、国際色はとても豊かです。

 場内には大型モニターが設置されており、リプレイの映像などもその都度流してくれますし、それぞれの試合場横には得点状況などを示すモニターもあります。さらに、この大会はニコニコ動画で中継されていたということで、スマホを活用して動画&ライブで観戦するという人もチラホラ。これが五輪入りを目指す熱気なのか、思った以上の規模感と設備で空手の大会は運営されていました。

 スタンドには結構な数の人。

 試合会場も立派な国際大会風。

 大型モニターが観戦をサポート。

 その場でビデオ判定も行なわれる。

 日本勢が出場した試合、とりわけ男子の決勝・日本VSイラン戦は、イラン側の応援団も非常にやる気があったことで、双方が大歓声を上げながらの大盛り上がりでした。一本取るごとに声援が上がり、大きな拍手が起こる熱戦。最後に日本代表が勝ったということも含めて、気持ちいい観戦です。

 歓喜の輪を作る日本代表。

 表彰式では小さな台に選手を詰め込みゴッチャゴチャ。

 一応、空手にも大きくわけて二派、「当てる」ことに主眼を置いたグループ(いわゆる伝統派空手など)と、「倒す」ことに主眼を置いたグループ(極真空手など)があります。五輪入りを目指し、この大会を開いていたのは世界空手道連盟(WKF)が主導する「当てる」側のほう。その意味では、こちらもテコンドーと似たような感じで、五輪競技になったとしても「そこにいるのが本当に日本一の空手家」なのか、「本当に世界一の空手家」なのかわからない面はあります。

 ただ、今は五輪競技入りのために大同団結を図っている段階。象徴的だったのは、会場内の一番目立つ場所に設置された花輪でした。これ見よがしに飾られたその花輪を贈ったのは、本来なら対立する立場にある極真会館の松井章圭館長。ルールや志の違いを乗り越えて、五輪競技入りのために団結しようじゃないかというメッセージがこもった花輪でした。

 おぉ、見事な政治的花輪。

 場内にも「目指せオリンピック!!」の垂れ幕。

 しかし、そのルールの違いというのも、改めて実戦を見ると、見ている側としてはさして気になるほどのものではありません。「当てたらポイント」という伝統派空手のルールは、別にダメージを与える必要はないので、もっとスポーツ的なものだろうとイメージしていました。しかし、実際に敵と相対し、殴り合ったり蹴り合ったりすると「当てればOK」なんて気持ちは吹き飛ぶのでしょう。目はギラギラとした気迫に満ちていますし、殴ったり蹴ったりするときはどう見てもチカラがこもっています。

 睨み合いから一気に間合いを詰めて突き、蹴る。ドスンという音とともに攻撃が決まると、「当たった!」という感じがビンビン伝わってきます。寸止めしようという気などサラサラ感じられず、普通にボコボコやり合っています。十分に説得力のある殴り合い&蹴り合いです。

 寸止めしようがしまいが、痛そう。

 さらに言えば、先ほど見たテコンドーの大会や、五輪で見るテコンドーとのルールや競技性と、空手の違いというのも、実戦で見るとさして気になるものではありません。テコンドーの大会のほうが遠い間合いから繰り出す蹴りの攻防が多いかなとは思いますが、それをもって「別物」とするほどに差異は感じません。使用中止された東京五輪エンブレムとベルギーの劇場のロゴみたいな感じで、志は違うのだろうけど結果的には同じようなもの、といったところ。

 率直に言って、やはりテコンドーと空手2つはいらないな、と。殴って蹴る格闘技という意味で双方は「同じもの」であり、スローVTRとかで見れば多少違うのかもしれませんが、現場で観ると小さな違いなどわかりません。やはり、カブり感は否めないなと潜入調査を経て改めて思った次第。似たようなものを2つ五輪でやるよりは、もっと違った競技に目を向けたほうがよいかもしれません。

 しかし、今回の比較だけで一方を切るのは難しい。何せ、片方は五輪に出ないほうの団体を見に行ってしまっていますから。せっかく五輪で歴史を刻んできたテコンドーを今から落とすのは世界中で五輪を目指す選手のことを思うと忍びないですし、そうかと言って空手に諦めろと言うのも日本人としては辛い。単純に「穴場」という意味では、空手はやはり日本発祥のものだけあって、地元開催の東京五輪で穴っぽくなる気配はありませんのでテコンドーを残したほうが観戦のチャンスは増えそうですが…。うーん、悩ましい。

 いっそ伝統派空手と極真空手が大同団結したように、空手とテコンドーも大同団結したらいいんじゃないでしょうか。本人たちが思っているほど違ったものには見えませんでしたし、ていうかテコンドー紛らわしいし、むしろ本人たちが違うと思っているぶん他流試合には興味をそそられます。空手VSテコンドーとかエイリアンVSプレデターとか、流派を超えた戦いは燃えるじゃないですか。

 どうせならほかの似たようなもの……キックボクシングとか功夫とかも全部まとめて、「蹴りのある格闘技」として五輪で一本化してはどうでしょう。そこまでいってこそ五輪で「世界一」を決める意義もあろうかと思うのです。そのときは「KARATE」「KICK BOXING」「TAEKWON-DO」「KUNG-FU」などから共通する「K」の字をとって、その一番を決めるという意味で「K-1」などとしてはどうでしょうか。K-1競技の中の種目として空手やテコンドーがあるという具合で。うん、その世界一には大変興味をそそられます。すごい盛り上がりそうな気がします。

「ふたつはいらないと思います」という揺るぎなき確信を伝えつつ、ぜひ関係者には大同団結をご検討いただきたいもの。大きな団結の中で、種目としての空手ルールやテコンドールールがあるぶんには、悪目立ちしないでしょうし。レスリングだってフリースタイルとグレコローマンという全然違うルールの種目をひとまとめにしていますからね。そんな風に、両方が五輪で行なわれる未来が一番おさまりがよいのではないかと思うのです。

 似たような穴場を一本化しまして、仲良く「K-1」でいきましょう。

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