「東映ヤクザ映画」は日本の遺産である!【特別対談・杉作J太郎×坪内祐三】

 山口組の分裂騒動が世間を騒がす今、東映ヤクザ映画を愛する2人が緊急対談。現実社会のヤクザの変化と、それに伴う実録ヤクザ映画の変遷に触れながら、「今こそ観るべき作品」「今こそ作るべき実録ヤクザ映画」を語り合う!

◆「東映実録映画」は日本の遺産である!<特別対談>杉作J太郎×坪内祐三

杉作J太郎氏

杉作J太郎氏

杉作:もうすぐ『山口組三代目』と『三代目襲名』がDVD化されるみたいですよ!

坪内:すごいね、DVDになるんだ。この山口組実録シリーズの3作目が頓挫したのは、まずPTAから反対の声が起こって、それで警察が動いたからだったんだよね。

杉作:あまりにも客が入りすぎたんでしょうね。当時の僕は中1くらいでしたけど、男女問わずクラスの半分くらいは山口組のマークが描けましたから(笑)。

坪内:あの映画には田岡一雄にかわいがられていた(高倉)健さんが出ているけど、健さんは基本的には実録モノには出ていないよね。

杉作:実録モノは誰か1人がハッキリ主役という作りじゃないから、若い人が中心になるんですよね。健さんを起用しておいて、「このあたりは健さんにはしばらく休んでもらって」みたいな使い方はできないから。

坪内:だから、それまでの任侠映画で主役だった健さんや鶴田浩二は出ないんだよね。『山口組三代目』と同じ’73年公開の『仁義なき戦い』には、菅原文太や松方弘樹や千葉ちゃん(千葉真一)たちが出演していて、彼らが実録ヤクザ映画の中心になっていった。

杉作:あと実録モノが作られた’72~’77年あたりは、山口組が全国侵攻を進めていた時期で。それが週刊誌の記事になって、記事をもとに映画も作られていた。僕の実家は松山なんですが、四国にも山口組が進出してきていたので映画のリアリティがすごかったですよ。街中で抗争事件が起きてますし、映画館にもヤクザはいるし、観ながら「あの(役の)人に俺は会ったことがある」とか言っているお客さんもいるし。僕も中学時代はヤクザに憧れて、当時のヤクザ映画で千葉真一とかが着ていたストライプのシャツ着ていましたよ!

坪内:J太郎さんはチンピラにカツアゲされて、その人たちに対抗するためにヤクザ映画を観始めたんだよね。でも本当にヤクザになりたかったわけじゃないでしょ?

杉作:なりたくはなかったですけど、当時のヤクザは「就職先の一つ」くらいには考えられていたと思いますよ。テレビで『清水次郎長』が放送されていて、北島三郎さんが「兄弟仁義」を歌っていた時代ですから。僕らの子供の頃のヤクザはスーパーマンみたいなヒーローだったんですよ。地域のヤクザの人たちも、危害を与えるわけでも、悪いことをしてるわけでもなかったですし。暴力団排除条例でヤクザが毛嫌いされるようになったのはここ10年くらいの話です。司忍さんが「ヤクザが差別されている」と言っていましたが、その部分は僕も僭越ながら同意見ですよ。

坪内:一般の社会では力を発揮できない人たちが、このヤクザの世界でサバイブできたりするんだから、その受け皿がなくなればより恐ろしい世界になるからね。しかもヤクザって、関東連合のようなチンピラと違って組織として教育指導されているから。

<激推し実録映画はコレだ>

●『山口組三代目』
日本ヤクザ史上、最強最大の組織をつくり上げた男・田岡一雄の自伝をもとに製作した実録シリーズの第1弾。田岡一雄役の高倉健ほか菅原文太らが出演。1973年公開

●『三代目襲名』
『山口組三代目』の続編。前作で兄弟分を斬った田岡一雄が出所し、三代目を襲名するまでを描く。『山口組三代目』とともに1月に待望のDVD化が決定している。1974年公開

●『仁義なき戦い』シリーズ
広島での抗争を題材に、情け容赦ないヤクザ社会の実態をパワフルな暴力描写で描いたヤクザ映画の大傑作。主演:菅原文太、監督:深作欣二の5部作。1973~’74年公開

【坪内祐三氏】
1958年、東京都生まれ。文芸評論家。週刊SPA!で「これでいいのだ!」連載中。近刊に『人声天語2 オンリー・イエスタデイ 2009‐2015』『編集人兼発行人かく語りき』など

【杉作J太郎氏】
漫画家、コラムニスト、俳優など幅広く活躍。「男の墓場プロダクション」代表。近著に、東映映画シリーズの著作・第4弾の『東映スピード・アクション浪漫アルバム』がある

― ヤクザは日本の文化だ! ―

山口組三代目

2016年1月6日発売予定

三代目襲名

R-18+指定作品

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