ロシアで一時期大人気!アゼルバイジャンで中世から続く(?)「フリースタイルラップバトル」が面白すぎる【さらなる情報求む】

 なぜそんな検索をしたのかすっかり忘れてしまったが、夜中にYouTubeで戯れにロシアのラップを聴いていたときのことである。関連動画に「ロシアのラップバトル」というタイトルのものが上がってきて、興味本位で再生してみた(動画はオフィシャル版。なんと再生数3172万回!/記事作成時)。



http://www.youtube.com/watch?v=M9RcdLCJkw4&list=RDM9RcdLCJkw4

 おお、フリースタイルのラップバトルっぽい(ただ、口パクっぽいところもある)。そういえば、関東ローカルだがフリースタイルラップの番組も始まっているというし(『フリースタイルダンジョン』)、やっぱりラップバトルって面白いな、なんて思いながら眺めていた。だが、どうにも民族色が強い。ロシアのヒップホップの動画も何本か観てみたが、アメリカや日本のヒップホップとあまり変わらないようなトラックに乗せてラップをしており(例えばこの曲 https://www.youtube.com/watch?v=TP5Br2WUBNsなど)、不思議に思って調べてみた。

 後に判明したことだが、どうやらこの動画はティマティТимати)というツイッターのフォロアーが112万人、ミュージックビデオの総再生数2億回以上(!)という人気ラッパーが、2012年の6月に何かの番組用につくった「パロディ動画」のようだ。

 では、何のパロディかというと、以下の2012年にロシアで爆発的に人気を博し2800万回も再生されたと、ロシア語版ウィキペディアに書いてある動画が元ネタということが判明した(本記事のリンク先は748万再生だが、別の人がアップした動画だと思われる)。



⇒【動画】http://www.youtube.com/watch?v=UFUtDdgEYwk

 なんだこれは? おじさんたちが生音の演奏に乗せてフリースタイルラップバトルをしているではないか!? しかも若者が言いよどんだりする箇所もあって、完全に即興なのは間違いなさそうだ。なに言ってるかさっぱりわからないけど! ロシアでは、こんなおじさんたちがフリースタイルをやるほど、ラップ文化が浸透しているのか!?と思ったが、さにあらず。実はこれは、「メイハナ(Мейхана)」という中世から続く「らしい」、しかもロシアではなくアゼルバイジャンの吟遊詩人たちの即興詩コンテストにルーツを持つ伝統文化「らしい」のだ。現在のスタイルになったのは1920年ぐらいのこと「らしい」のだが、それでもラップより全然歴史があるのは間違いない。

メイハナ

メイハナをロシアで有名にした(と思われる)おじさんの兄弟(Интигам и Эхтирам Рустамовы)

 らしい、らしい、と推測ばかりで申し訳ない。大学時代に第二外国語でロシア語を履修させられたが、まったくロシア語など読めないまま卒業した記者が、ロシア語版ウィキペディアの記事をグーグル翻訳を駆使しながら、なんとか理解したのが、以下の情報だ。むしろ、この「メイハナ」という文化に詳しい方がいれば、ご教授をいただきたいのだが、なにせ「アゼルバイジャン メイハナ」で検索するとこのご時世に「7件」しか検索結果が表示されない(2015年10月1日現在)、日本語のインターネット上においてはまったく未知の文化なのである。正直、事実誤認などもあると思うので、お詳しい方で「我こそは」と思われる方はぜひご指摘ください(ご指摘はこちらへ⇒qspa@fusosha.co.jp ※件名に「メイハナ情報」と記載してください)。

メイハナ 検索結果

「アゼルバイジャン メイハナ」で検索すると7件しか検索結果が出なかった(2015年10月1日現在)

 この曲は「Ты кто такой? Давай, до свидания!(トゥイ クトー タコーイ? ダバーイ、ダ・スヴィダーニヤ)/あなた誰? どうぞお先に、さようなら!(※ 文末に追加情報あり)というタイトルで、2011年11月にアゼルバイジャンの地方での結婚式で撮影されたもの。2012年に1月に新聞社が動画を公開したところ、なぜだかロシアで大人気に。この動画をきっかけにこのラップならぬメイハナおじさんの兄弟(読み方に自信がないのですが、インティガムとエフティラム兄弟?Интигам и Эхтирам Рустамовы)は一躍人気者になったようで、ロシアのテレビに出ている動画が何本か発見できた。



http://www.youtube.com/watch?v=LdyZ_b91Mko
http://www.1tv.ru/sprojects_video/si5856/p48807

 また、この曲をネタにした動画やカバーらしい曲も複数発見できる。懐かしすぎるが、たぶんO-Zoneの「恋のマイアヒ」のようにネットでネタにされまくったのだろう(実際、「Ты кто такой? Давай, до свидания!」はロシア版ウィキペディアで「インターネット・ミーム」とも紹介されている)。

 ただ、一発屋に終わってしまったのか、また、(この2人には関係ないが)人気を博すきっかけになった結婚式動画を撮影した音楽ジャーナリストがヘロイン所持で逮捕されたらしく、それが影響したのか、最近の彼らの動画は発見できていない。もしも、今もアゼルバイジャンやロシアで大活躍していたらごめんなさい。しかし、この曲がヒットした翌年の2013年には早くも「2」別バージョンを歌っているこの兄弟の動画を確認しており、限りなく一発屋臭がするのも事実だ……。

 また、元のロシア語版ウィキペディアには「ジョージア(グルジア)の大統領がどうのこうの」「内務省がどうのこうの」と書いてあり、何かトラブルめいた匂いを感じるのだが、すいません、ここはまったく理解できませんでした。反政府デモか何かのスローガンに使われたっぽいのですが……。

 あと、「meyxana」で検索すると、ほかにもいっぱいアゼルバイジャンの「メイハナバトル(?)」の動画を発見できる。どうも、結婚式などの集まりで披露する芸らしく、吟遊詩人たち(?)が座ってラップっぽいことをしている姿はいかにもほほえましい。何を言っているのかさっぱりわからないが、とにかく楽しそうだ。



http://www.youtube.com/watch?v=g2bGA6mt8IQ



http://www.youtube.com/watch?v=Co0KtiCfDoc

 ちなみに、エジプトのようなアラビア語圏でもフリースタイルラップをする若者はいるようだ。さらには詳細はまったく不明だが、天才ラッパー少女もエジプトにはいる模様(というか、エジプトもラップの動画が山ほどあり、こちらも興味深い)。



http://www.youtube.com/watch?v=qZQ4c-clYYA



http://www.youtube.com/watch?v=THChBxuKRbs

 これもこれで高速ラップの技術がすごすぎてビビッてしまうが、普通に欧米のヒップホップの影響下にあるもののように思える。アゼルバイジャンのようなイスラム教徒の多い国で、恐らくまったくラップと関係なく、メイハナというフリースタイルラップバトルのような文化が存在していることが面白すぎて、アゼルバイジャンに行ってみたい!と強く思わされてしまったのであった。

(繰り返しになりますが、今回の記事はあいまいな部分が多く、その点はあらかじめお詫びしておきます。おそらく、間違ってしまっている部分もあると思うので、お詳しい方、ロシア語に堪能な方のご指摘をいただければ幸いです。もし情報が集まったら、ぜひ訂正、続報の記事を作成したいと考えています)

メイハナ情報にお詳しい方はぜひこちらへご連絡くださいhttps://nikkan-spa.jp/inquiry(件名に「メイハナ情報」と記載してください)

【2015年10月4日追記】
 早速、中国にご在住の曺聖潤さんという方がアゼルバイジャン人の方に話を聞いてくれたということで、以下の情報が寄せられた。

・メイハナは基本的に結婚式でやるもので、主催者が2、3ワードのお題を出し、それに関するラップバトルを2人(もしくは2チームに分かれて)展開する。お題は婚礼や新郎新婦に関連することでなくてもいいらしい。

・上記記事では、「ты кто такой давай до свиданья」を「あなた誰? どうぞお先に、さようなら!」と訳したが、「お前、誰だよ? あっそ、さっさと帰りな」という煽りの意味合いが強いフレーズとのことだ。

 更なる情報が集まったら、改めて記事にできればと考えていますので、引き続き情報をお持ちの方がいらっしゃったら、ご提供よろしくお願いいたします!!
文/織田曜一郎(本誌)

“結婚したいけど相手なし時代” 理想の相手と巡り会うための「見た目や中身以上に大切なこと」とは?

女性は1人目の相手でゴールインもあるんだって!
sponsored
 いずれは結婚しようと考える未婚者の割合が男性85.7%、女性89.3%と高水準だったにもかかわらず、異性の交際相手をもたない未婚者が男性69.8%、…

連載

ばくち打ち/森巣博
番外編その3:「負け逃げ」の研究(22)
メンズファッションバイヤーMB
最速で「中年男性をおしゃれに見せる」魔法のアイテムとは?【プロが断言】
山田ゴメス
最近、激増している「副業・AV女優」の本音に迫る!
オヤ充のススメ/木村和久
キャバクラか風俗か――。人生最大の問題に終止符を
フミ斎藤のプロレス講座/斎藤文彦
近未来の“超大物”ハンターがデビュー ――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第190回(1995年)
英語力ゼロの46歳バツイチおじさんが挑む「世界一周 花嫁探しの旅
「パソコンもカメラも買い直すしかない」――46歳のバツイチおじさんはインドのシリコンバレーを目指した
原田まりる
尾崎豊で意気投合し、タクシー代がタダになった夜
大川弘一の「俺から目線」
こんな自由にお前は出会ったことがあるか――連続投資小説「おかねのかみさま」
プロギャンブラー・のぶき「人生の賭け方」
おっぱいポロリのある地上波番組『ケンコバのバコバコテレビ』に出演して感じたこと
爪切男のタクシー×ハンター
虹の根本にある素敵なもの
フモフモ編集長の今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪
東京五輪でチケットなしでも“絶対生観戦できる鉄板競技”とは?
元SKE48/SDN48・手束真知子の「フリーランスアイドル論」
アイドルは私生活まで“キラキラ”してないといけないの!? 現実とのギャップに困惑
おじさんメモリアル/鈴木涼美
「顔じゃなくて知性で女を選ぶ」男の無知性
僕が旅に出る理由 in India/小橋賢児
北インド秘境で「宇宙に住んでいる」と実感した——小橋賢児・僕が旅に出る理由【最終回】

投稿受付中

バカはサイレンで泣く 投稿受付中
佐藤優の人生相談 投稿受付中