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“元少年A”の有料配信サービス開始で改めて問われる「少年法」と「更生」の意味

 1997年に神戸市須磨区で発生した連続児童殺傷事件の犯人「酒鬼薔薇聖斗」こと元少年Aとされる人物が、インターネットでの有料配信サービスを開始した。タイトルは「元少年Aの“Q&少年A”」で、公式サイトの立ち上げに続き、12日付の創刊号では、ホームページにメールで寄せられた意見や質問に答えている。
元少年A

「元少年Aの“Q&少年A”」より

 開始の理由について運営者は「ホームページ上にFAQコーナーを設けようかとも思ったのですが、想像に反して真摯な内容のメールが多かったため、誰でも気軽に覗けるホームページ上ではなく、元少年Aとよりディープに、魂の触角と触角が絡み合うようなやり取りができるよう、新たに別な場所を設けることにしました」と説明している。  同サイトはWebサービスのFC2を利用しており、購読料は月額800円。「ディープな元少年A情報をヌメヌメ垂れ流してゆく所存」と書かれ、隔週で月曜日に配信するという。9月に開設したWebサイトで告知され、そこから多数のメールを受け取ったといい、寄せられた質問に答える場として配信するという。  ブログに公開されたメルマガ創刊号では、メールで62人から送られてきた質問に答えており、自身の精神構造について「僕の抱える異常性の本質は、異常性そのものよりも、異常さと、同等かそれ以上のまともさの“ギャップ”の部分にあるのではないかと自分では感じています」と分析するなど、丁寧な回答をしている。  少年Aは「関東医療少年院」に送られ、約6年半後の’04年3月に仮退院し、’05年1月1日に本退院となって今年で10年の月日が経つ。今年6月、被害者遺族に無断のまま、事件に至る経緯や現在の心境をつづった手記『絶歌』を匿名で出版し、書店や図書館では販売や貸し出しを自粛する動きが相次ぎ世間を騒がせた。  仮退院の時、法務省と関東医療少年院関係者は「性的サディズムの兆候は見られない。矯正教育が進んで最高の段階に達している。自分のやったことがどんなに酷いことか理解して、贖罪の気持ちを持っている」と説明していた。  そんななか、ネット上では元少年Aの再犯を心配し「少年法」を疑問視する声が広がっている。かつて被害少年の父で医師の土師守氏は、週刊SPA!’09年6月2日号のインタビューで「更生とはどういうことか」と聞かれ、以下のように答えている。 <精神的にちゃんと完璧に変わってもらわないと……。ただ単に「これやって見つかったらヤバイ」とか、理性で抑えているのは更生ではありませんからね。本当の意味でのね。世間的に悪いことをしなかったら更生と言うんだと思いますけど。>  少年院法には「更生」という言葉が初めからなく、加害男性が仮に何か今、事件を起こしたとしても、国が責任を取ることはないという。 <取材・文/北村篤裕>


14歳の少年に我が子を奪われた父が綴る鎮魂の手記

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