意識高い系コントをオンエアするNHK番組の秀逸さ【コラムニスト・木村和久】

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その92 ―


 SPA!読者の大好物、意識高い系ですが、もはやギャグの対象ですね。なんと先週、NHKBSの「七人のコント侍」で、コントになってしまいました。意識高い系も出世したと言っていいのでしょうか。麒麟・川島演じる謎の怪人と、4人の意識高い系の人々が、かくれんぼするというシュールな設定だけど、妙に笑えて楽しかったっす。

NHKBSの「七人のコント侍」

NHKBS「七人のコント侍」公式サイトより

 意識高い系の解釈はともかく、最近のNHKのバラエティ、特にコント系は充実しております。「七人のコント侍」のほかに、内村光良こと、ウッチャンがメインの「LIFE!~人生に捧げるコント」も何気に見てしまい、これも結構笑えます。「あまちゃん」のパロディのオンエアは、もはや伝説化してますからね。

 それにひきかえ、最近の民放のバラエティは、バブルの頃から培ってきた、ノウハウの良く言えば完成形、悪く言えば大物タレントのいじりが、いじめになって、見ている方が辛くなってしまいます。

 例えば誰かが別荘を建てたというと、バラエティ班は現場に急行し、散々いじり倒してというか、悪ふざけし過ぎの演出をして、成り上がりのゲストをこてんぱんに痛めつける。お互い了承事項だから目くじらを立てることもないんだろうけど、個人的には、そのいじり倒されるシーンそのものが、見たくないのです。この気持ち分かります?

 たとえが妥当か分かりませんが、強姦もののAVを見て、それは当然強姦をしているわけでもなく、双方合意済みの演出ですが、そもそもが強姦シーンを見たくない。そういう人もいるってことです。もちろん強姦シーンに興奮する人同様、いじり倒しシーンを見て喜ぶ人もいると思います。けど最近、なんかね、そういうのを視聴者は、あまり好まなくなったんじゃないか、しかも制作サイドはうすうす気づいているけど、惰性で作ってしまっている。そう思えて仕方ないのです。

 という状況での、NHK及びウッチャンのバラエティ大躍進、まことに時代の節目になって来たと思います。その昔、ダウンタウンとウッチャンナンチャンが、タッグを組んだ伝説の番組「夢で逢えたら」が、1988~89年。あれからダウンタウンは飛ぶ鳥を落とす勢いで、スターダムにのし上がります。ウッチャンナンチャンも頑張っていたが、次第に看板番組が減って行った時期がありました。でもウッチャンの丁寧に企画を含めて向き合う姿勢や後輩の面倒見の良さが評価され、今じゃ勢いが一番ぐらいあります。25年かかって、再びトップに返り咲くって、なかなか出来ないことですよ。

NHK ウッチャンのいいところは、人をいじり倒さないこと。ナンチャンもそうだけど。そこらへんが、NHKに向いていたのでしょう。NHKは民放と違い、制約もあるし、品性も問われる。そういう制限された状況だから、質の良い笑いが生み出されたのかも知れません。

 今の世の中、SNSなどやっていると、炎上してヒステリックに人を攻撃しがちです。昔は、バラエティで過激なことをやってて、それを見てスカッとできた気もします。でも今は、リアルな人生が炎上の危機だし、下流難民やら、中年破産やら、せちがないことが多いです。だからバラエティに求められているのも、安らぎとか、ほんわかしたものなのではないかと。

 大物タレント仕切りで、上からの無茶ぶりに、ビビりながらリアクションする圧迫芸は、リアル人生の縮図を見てるようで、全然笑えません。「あの若手芸人、大物からの突っ込みに、リアクションが中途半端、次出番ないかもなあ~」。そんな力関係まで視聴者に見透かされたら終わり、なんのバラエティやらですよ。

木村和久

木村和久

 いろんなこともひっくるめ、NHKのバラエティは、ほんとクリエイティブな意識が高いなと思いました、もちろん、いい意味でね。

■木村和久(きむらかずひさ)■
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦

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