お金

神に見捨てられた健太の命運は?――連続投資小説「おかねのかみさま」

もう11月ですね。 連続投資小説『おかねのかみさま』です。 ※⇒前回「わかりました」 〈第10回 どうもならないです〉 「ただいまー。あ、かみさま。いらっしゃい」 「おかえりケンタくん。」 「オーーーーイシーーーーーイ!!!!」 「ありがとう」 「おー、それ、なんですか?」 「特に名前はありませんが、いまあるもので一番よさそうなものを作りましたケンタくんもたべますか?」 「いや…俺は…だいじょぶです」 「損したんだって?」 「はい…」 「どれくらい?」 「…かみさま、俺、もう投資とか向いてないと思うよ。たぶん、というか絶対俺みたいになにも知らない人間が儲かるようになんかできてないんだとおもうだから俺、もうやめようと思います」 「わかりました」 「えっ?」 ※   ※   ※   ※ 「わかりました」 「え、あ、はい。えと、じゃあ、僕どうなりますか」 「どうもならないです」 「どうもならない」 「はい」 「えーと、お金とか、勉強とか、もうしなくていいんですかね」 「はい」 「死神さんは?」 「どうでしょう。死神さん、どうですか?」 「イゴコチイイ…」 「!!!」 「じゃあ死神さんはこのままで、私は健太くんの前に現れることはもうありません。楽しかった、競馬場。ちょっと怖かった、裏カジノ。失敗しちゃった、株取引。みんなみんな、健太くんとのたいせつな思い出です」 「あ、いや、はい、ありがとう、ございます」 「それではこれで。よい人生を」 「ちょ!もうちょっとだけ!」 「なんですか?」 「…」 「だいじょうぶ。もともとなかったものが去るだけです」 「…」 「…」 「それじゃ」 バタン。 「…」 「…ゲンキダシテ」 「死神さん、ミッションが矛盾してるよ…」 「…」 「俺、なんか間違ってたかな。自分の命削って、お金にして、ギャンブルして、負けて、株やって、株も負けて、これ以上命削ったらいつ死んじゃうかわかんないし、こんなことになったら誰だってみんなもうマジメに働こうと思うに決まってるじゃん。ねぇ、死神さん。俺、間違ってるのかな」 「ワカンナイ」 「モヤシついてるよ」 「アリガト」 「どうしたらいいんだろう。俺、マジメに働けばいいのかな」 「テツダウ」 「え?」 「バイトスル」 「!!!なんでよ!死神さん!死神さんなんか雇ってくれるとこないよ!」 「シクシク」 「あ、ごめん、その、そういう意味じゃなくて、ほら、お店とかだと、ほら、俺は慣れてるからいいけど、たぶんその、みんな、ビックリするとおもうんだよね、ハロウィンじゃないし」 「ダイジョブ。ヒトデブソク」 「そりゃそうだけどさぁ。人手不足になってるのって、結構たいへんなバイトばっかりだよー。引っ越しとか、居酒屋とか、ブラック企業だってたくあんあるんだし」 「ヤル」 「やるの?」 「ヤル」 「…」 「イッショニヤル」 「一緒に!?」 次回へつづく 【大川弘一(おおかわ・こういち)】 1970年、埼玉県生まれ。経営コンサルタント、ポーカープレイヤー。株式会社まぐまぐ創業者。慶応義塾大学商学部を中退後、酒販コンサルチェーンKLCで学び95年に独立。97年に株式会社まぐまぐを設立後、メールマガジンの配信事業を行う。99年に設立した子会社は日本最短記録(364日)で上場したが、その後10年間あらゆる地雷を踏んづける。 Twitterアカウント https://twitter.com/daiokawa 2011年創刊メルマガ《頻繁》 http://www.mag2.com/m/0001289496.html 「大井戸塾」 http://hilltop.academy/ 井戸実氏とともに運営している起業塾 〈イラスト/松原ひろみ〉
逆境エブリデイ

総移動距離96,000キロメートル! 大川弘一がフルスピードで駆け抜けた400日間全記録

テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート