神戸山口組はイメージ戦略に長けている!? 知られざる“不都合な真実”

 日本最大の暴力団・山口組の分裂から2か月余り。報道からうかがい知れる両組織の様相は、山口組は「弘道会の一極支配」から求心力の低下が叫ばれる一方で、神戸山口組には新加入する組織が現れるなど、追い風が吹いているように見える。

拳銃「11月の第一週に神戸山口組は4回目の定例会を神戸で開き、直参と呼ばれる直系組長の数も結成当初の13人から18人まで増えたと見られています。司忍・6代目山口組組長体制下で憂き目を見た大物組長が新規加入し、勢いが出てきている。逆に山口組は、直系組長が分裂騒動の余波で除籍処分となった挙句、拳銃自殺を果たすという何とも後味の悪い事件が起きた。組織力では神戸山口組を圧倒してますが、空気が重たい印象です」(全国紙社会部記者)

 重要なポストは名古屋勢で独占し、飲料水や生活雑貨を押し売り、賭け麻雀で直参組長から大金を巻き上げ、事務所当番も5代目体制より厳しく課し拘束する――山口組の6代目体制で語られる組織運営の実態は、弘道会出身者以外にはとりわけ厳しいものとして報じられてきている。

 それゆえ、山口組を割って出た井上邦雄組長ら神戸山口組一派の行動は、暴力団事情に明るくない者からすれば勇気ある行動と見えなくもない。分裂騒動以降、山口組関連の記事に追われるようになったというある週刊誌記者は、こう語る。

「山口組関連の特集は非常に人気があります。それも、ドラマティックに記事が求められるので、どうしても山口組が悪役となり、割って出た神戸山口組がヒロイックに描かれてしまう。神戸サイドはその辺を心得ているようで、イメージ戦略に長けてますよ。司体制で絶縁された組長を拾って懐の広さを示したり、会費を山口組より格段に安い10万~30万程度に抑え、中元・歳暮を禁止した。高い会費を払ってもろくなシノギにはありつけない山口組の組員の心が揺さぶられてもおかしくない」

 神戸山口組の周到さは、練りに練られたもののようだ。分裂騒動が起きた直後、住吉会の最高幹部である幸平一家の加藤英幸総長が離脱派の会合に出席し、その様はテレビ局のカメラが捉え大々的に報じられた。これによって、幸平一家は暗に神戸山口組を支持している印象が広まり、神戸山口組には大きな追い風となった。

◆住吉会最高幹部の神戸派訪問は策略だった

 だが、山口組2次団体で要職を務める組員・A氏によれば、真相はだいぶ異なるようだ。

「加藤総長が兄弟分の井上組長に呼ばれて出向いたのは事実だが、離脱派が集まる会合だったとは聞かされていなかった。なりふり構わない井上組長は加藤総長を利用したわけだ。

加藤総長が会合の場に現れたことで、幸平一家の神戸山口組入りなんて馬鹿げた話まで飛び出したが、それこそ井上組長の狙いではないか。神戸山口組と違いいちいち宣伝しないが、加藤総長はあの後、名古屋の弘道会本部を訪れて釈明している。そもそも関東の組織は関西以上に秩序を重んじるがゆえ、極道の社会の根幹を成すルールを破り謀反を起こした神戸山口組を認めるわけがない」

 では、当事者として山口組VS神戸山口組の覇権争いはどうなると見通すのか。A氏に聞くと、次の答えが返ってきた。

「神戸側の金庫番は池田組長。ざっと300億円ほど資金を持ち、神戸山口組を支えているのが彼だ。困窮した組員や、破門・絶縁者がその資金を当てに神戸山口組入りしているだけのこと。池田組長の経済支援で一見士気は上がっているが、長く続くはずはない。先は見えている。

また、山口組は7000人、神戸派は分裂後1000人を数えるが、神戸山口組に新たに加入したのは多くても30人程度。神戸派が続々と組員を増やしているような報道が目立つが、実際はそんなものだ。

秩序を壊した神戸派は潰されないように必死で情報工作を盛んに行っており、六代目山口組組長を個人的に中傷することで世間の関心を買っていることは間違いない。事実かどうかも定かではないが、ある週刊誌に六代目組長が気に入った芸者に1000万円投げたと書かれていた。国内最大規模の暴力団組長なら、それぐらいやってもいいのではないか。そもそも神戸派の井上組長も、三次団体である健竜会会長だった当事から毎晩銀座に繰り出し、とんでもない大金を落としていたと聞く。ほかの親分衆もしかり。なのに自分たちのことは棚に上げ、くだらない中傷をしては自分たちを正当化する様には呆れるほかない」

 組員数でも、資金力でも圧倒しているのは山口組だ。今のところ目だった抗争は起こっていないが、今後はどうなのか。

「起きるとしたら東京以外ではないか、と推測する。その理由として、皇室のお膝元であり、世界中から要人もくる。日本の中心都市でいざこざを起こせば、他団体にも迷惑がかかる。山口組であるからこそ、それはあってはならない。忍耐が求められるだろう。

また、地方でいざこざが起きたとしても、伊勢志摩サミット前までは互いに自重するのではないか。長い導火線のようなものだと考えている。ただし、すでに火はついているだろう。抗争は非常にシンプルで、負けたほうが資金源を食われるだけだ。この抗争が最終的にどう終結するかによって、既存のヤクザ組織そのものが身を潜める形態に変わるだろう」

 当然ながら、山口組側も手をこまねいているわけではない。抗争の対応策として、ある秘策が進められているという。A氏が語るのは経済戦だ。

「分裂騒動が長引けば長引くほど、プラスはない。早急解決は山口組をより強く、威信を大きく回復させるチャンスといえるだろう。そこで上層部の英断により、秘策が進められている。
詰まるところ、抗争は経済的不況に辿り着く。簡単に言えば、収束するまでか、ある程度期限を切った上で、三次団体までの下部組織は会費を免除する等の対応策が急務だろう。なおかつ、主要地域での結束と頑張っている下部組織の若手組長クラスへの経済的支援を実行することで地方の士気を上げれば結束は固くなり、結果収束へと加速するだろう」

 あらゆる利権を手中におさめる弘道会の資金力は群を抜いており、「神戸山口組の100倍はある」とも言われている。“名古屋マネー”が下部組織に行き渡れば、A氏が言うとおりこの騒動は早晩収束に向かうかもしれない。 <取材・文/日刊SPA!編集部>

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