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変わり種「おでん」カマンベールチーズを実食

 今、グルメマンガが熱い。胃の弱い『胃弱メシ』の主人公・伊賀洋太が、1巻第11話で例のごとく食が進まず楽しむこともできなかった忘年会帰りに立ち寄ったのが、四ツ谷駅近くに店を構えて23年目の「おでんやden」。これからの時期にピッタリということで、いざ。店主の佐藤真一さんが、「脱サラして独学で研究した」と言うダシは、築地の和田久の鰹節と吹田商店の昆布がベース。店内に入った主人公、洋太はダシの香りにホッとしていたが、その気持ちがよくわかる。 「種はいろいろありますが、今は旬を迎えた里芋がオススメです。ウチは埼玉の里芋を使っていますが、サイズが大きくて、非常にネットリしているんですよ。いろいろ試してみましたが、ウチのおでんには埼玉産がいちばんです」(※取材時)
あの[マンガ飯]を実際に食べてみた3

おでんやden

 店主イチオシの里芋は、箸でスッと切れるほど柔らかく煮込まれており、里芋本来のうま味が堪能できる逸品。やさしい味わいのダシとの相性もバッチリだ。里芋のほかに、『胃弱メシ』に登場した大根、たまご、蛸も味が染みており、期待を裏切らないウマさだが、ぜひ試してもらいたいのが、変わり種に並ぶ“カマンベール”だ。 「理系の大学に進んだこともあり、もともと研究好きで(笑)。それでいろいろな変わり種が誕生したのですが、チーズはお客さんにお願いされて作りました。複数の種類のチーズで試食してみた結果、どれもおいしかったんですが、カマンベールだとダシが濁らなくて」  ダシの中でしばらく温めてトロッと溶けたカマンベールを、ダシとともにいただく。すると、あっさりしたダシとチーズのコクが相まって絶妙な味わいが楽しめる。  熱々のおでんとお酒を堪能したら、〆も胃にやさしいものを頼みたい。今回は洋太と同じく「だし煮めん」をオーダー。 「揖保乃糸におぼろ昆布を載せて、ダシをたっぷりかけています。とろろ昆布よりも、昆布の味をより強く感じてもらえると思います」  おぼろ昆布で香りの増したダシを味わいながら、揖保乃糸をすする充足感はここでしか味わえない。胃弱じゃなくても食べたい逸品だ。 【おでんやden】 東京都新宿区四谷1-8 中川ビルB1 TEL03-5379-8573 月~金18:00~翌1:00 ●『胃弱メシ』マキゾウ/KADOKAWA 生まれつき胃の弱いフリーデザイナーの伊賀洋太が、胃にやさしくておいしい食事を求めて外食したり、自炊をしたりするミックス系グルメマンガ。おでんやdenをはじめたとした実在の店が登場するほか、洋太による食材の効用のうんちくが満載。巻中では胃腸薬開発者のインタビューも読める
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『胃弱メシ』マキゾウ KADOKAWA

― あの[マンガ飯]を実際に食べてみた ―
胃弱メシ

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