喫茶店で見かけたインタビュー

ルノアール
いつものように
原稿を書いていると、
斜め前の席に
3人組の男
座っていた。

奥の席にいるのは

30代半ばくらいの
小太りの薄ヒゲで
VネックのTシャツに
紺色のジャケットをひっかけた
ITだかなんだかの
ベンチャー企業系の
社長らしき男

ソファーを一人で独占して、
脚を組み、
偉そうにふんぞり返っている。

そして、下座には

モノクロ色のYシャツを
ノーネクタイで羽織っている
冴えなそうな男二人

前にいる男の自慢話を
ふんふんと、
大げさな相槌を交えて
聞きながら、
懸命にメモを取っている。

媒体はまったく不明だが、
どうやら取材
行われているらしい。

ふんぞり返っている男が

「この前、
キャバにいったとき
そこの女が
今日一緒に泊まってくれませんか、
と言ってきたんだけど、
オレは猛烈に疲れていたから、
ホテルとかじゃなくて
オマエの部屋に泊めてくれて
シャワーもきちんと浴びさせてくれるなら
泊まってやってもいいよ、
と言ったら、
今日は部屋が汚いから
ホテルで泊まりたい、
と言ってきたので、
面倒臭くて断った」

みたいな話をすると、
インタビュアーらしき二人が

「そんな!
キャバクラの子から
一緒に泊まって欲しい、
とか言われることなんて
あるんですか!?」

と仰天すれば、
そのふんぞり返った男が、

「そんなの
しょっちゅうですよ、
しょっちゅう!」

としたり顔で返し、
インタビュアーらしき二人は

「へぇ〜〜〜!」

と顔を見合わせながら
しばし沈黙……。

無茶苦茶
恥ずかしいと思った。

私も喫茶店で
インタビューを受けることは
たまにあるが、

「こういう風にだけは
なりたくない!」

と心底実感した。

「人の振り見て
我が振り直せ!」

というやつだ。

PROFILE

山田ゴメス
山田ゴメス
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
OL、学生、フリーター、キャバ嬢……1000人以上のナマの声からあぶり出された、オヤジらしく「モテる」話し方のマナーとコツを教えます

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。