第69回

02年5月28日「なべ、かまをプレイ」

・チュンソフトにて、『かまいたちの夜2』をプレイ。映像表現としては、ループムービーという技法が効いている。何も入力しなくても、背景が常に動き続けているのだ。例えば湖のほとりに立つと水面が波打ち、木々の葉が揺れている。放っておくと1時間でも2時間でも動き続ける。プレイヤーが操作を休んでいる間も、画面の中は常に生きて、動いている。これで、一種独特の空気感が現出されるわけ。

・小説がゲームと融合したもの、というより、ネット時代、常時接続の環境に配信される新しい映画の形として注目してみたい

02年5月29日「腕時計ってもういらなくない?」

・しばらく前に腕時計をなくしてしまった。こういう時、よほど気に入ったものが見つかるまでしばらく腕時計なしで暮らすことになる。しかし、つい腕を見てしまう自分に気付く。そして、あきらめてしまう自分がいる。そこで毎朝、手首に、ペンでこう書いておくことにした「携帯電話見ればいいじゃん」。

02年5月30日「インディーズの血」

・C&Aレコードの佐藤社長、来社。同社ではインデペンデント系のミュージシャンを多数プロデュースしているが、このほど、インディーズ情報誌『JIVE』を創刊したそうだ。レコードショップに置いてあるらしい。無料。ネット上でも同名の情報サイトを開くという。

・1部頂いて付録のCDを聞いてたら、血が騒いできた。実は僕も昔、インディーズ情報誌を自主制作してたことがある。20年前だけどね。あの時にネットやケータイがあったらなあと想像しつつ、今こういう動きをいろいろ応援させてもらおうと思っている。

02年5月31日「H.R.石橋貴明」

・『エイリアン』をはじめて観た翌日、学校ですげー映画だぜと騒いでいたら女の子に「で、エイリアンってどんな顔してるの」と聞かれた。「それが”ちんちんの先”みたいなんだよ」と正直に答えたらものすごく嫌われた。

2年6月5日「ドキドキ」

・チュンソフトをまた訪問。おなじみ『プレプレ』の企画で、中村光一社長にインタビュー。ところで中村くんの社長室から新宿の風景が一望できるんだけど、近くのビル街の一角が更地になったまま、もう1年以上も放置されている。よく見てみるとロープが張られ、旗が立てられ、大勢の人々がしゃがみこんでなにやら一生懸命調べている。

・再開発で土地をならして高層ビルを立てようとしていたら、そこに縄文時代の遺跡が出土してしまい、工事は中断、本格的な発掘作業が始まってしまったらしいのだ。新宿の、ど真ん中で、ですよ。

・実は僕、女の子の肌についた矯正下着の跡を見ても興奮してしまうほどの縄文土器マニアなのである。しばらくは双眼鏡持ってチュンソフト社長室に入り浸ることになりそう。

2004.08.17 |  第61回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。