第81回

02年8月22日「1000万をどうする?」

・「ジセコン」本審査会。予備審査をクリアした30数チームから、各30分間のプレゼンを受ける。これが4日間続いた。業界は多岐にわたるが、それぞれの分野で最先端のアイテムを駆使した企画ばかりで、いきおい解説も非常に専門的になる。審査する側もすごく勉強になるが、なにしろ集中力を要求される。3日目には審査員の半数は体調を崩していた。

・デジタル放送やブロードバンド配信など新しいインフラの普及がクリエーターのモチベーションを激しく刺激しているようだ。そこで配信や課金のスタイルだけでなくソフトウェアの定義そのものが変容していくということに気付かなくてはいけない。

02年8月24日「5000万をどうした?」

・『ひらきこもりのすすめ』特別企画のインタビュー。今日は木ノ花さくやさん。そう、「コミックバンチ」で5000万円獲得した漫画家さんです。

・秋元さん、鈴木さんに引き続いて「クリエーターは2ちゃんを見るべきかどうか」という議論が盛り上がった。これ、今、結構重要なテーマだと思います。スレッド立てようかな。

02年8月28日「超能力はサイエンスか」

・『マイノリティ・リポート』試写。2054年の警察の任務は、これから起こる犯罪を未然に防ぐこと、つまり罪を犯す前に、その可能性で人を逮捕してしまうことがメインになっている。超能力者による未来予知をベースにした話だが、荒唐無稽なファンタジーではなくリアルな「サイエンス」フィクションとして成立しているのは、現在のテクノロジー最先端が直面している問題をちゃんと物語に取り込んでいるからだ。スピルバーグくんも『ブラックアウト』読んだのかもしれない。

・DNA診断によってその人間の先天的な性格や、特定の病気の発現可能性を正確にシミュレーションすることができるようになっている。また、購買物や購読、視聴物などの記録が蓄積されるようになっていて、そのデータから特定の人間のこれからの行動を予測するという研究も、実用段階に入っている。住基ネット(国民総背番号制度)の起動をきっかけにしてそういう個人データは権力側に一元管理されるようになるだろう。警察は既に異常犯罪等の捜査の過程で図書館の帯出データやインターネットのアクセス記録を使い始めている。

02年8月30日「でも酒飲めないんだけど」

・ラジオの収録。『サタデーウェイティングバー』(TOKYO FM/80.0MHz/土曜17:00~)。本当にバーでキャスターの方と飲みながらだらだらと雑談する。盛り上がったところを切り取って、数回に分けてオンエアする、ということ。僕のようなシロートはテレビだとなかなかリラックスできないし、かといって酒飲みながらやってたら叱られたりもするので、これはラジオならではのいい企画だと思う。

・あ、テレビでも小型カメラ使えばこういう雰囲気でできるかもしれない。普通のインタビューでも飲み屋でやるとぐっと面白くなるよきっと。どっかやんないかな。

・ところでお酒飲まないかわりに最近は甘味に凝っている。和菓子ならいくら食べても太らないものだよ。9月いっぱい主食はかき氷(写真は神楽坂紀ノ善のメニュー)

2004.11.06 |  第81回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。