第126回

03年7月24日「ビンボーできるほど金持ち」

・『銭形金太郎』というテレビ番組を見ていたら、古い知人の藤田さんが、20年前に青山に事務所を構えアルマーニのスーツを着て外車を乗り回していた藤田さんが、家賃1万円収入0円の超ビンボー人として出演していて驚いた。

03年7月26日「ポンヒルよりノブロー」

・金持ちか貧乏か、見た目で判断するのはまずいのである。日経流通新聞に特集されていたけど、中野ブロードウェイって平日でも一日5万人の来客があるそうだ。今ブームの六本木ヒルズで一日10万人。面積比較したら、いかにここが豊かな場所かわかるはずである。

・客質が違うじゃんという意見、大きな間違い。六本木に比べて見た目はxxxかもしれないが、上京してここにわざわざやってくる若者のポケットに数十万入ってることはざらだ。このビルの中だけで一日で使い切る覚悟で来てるのである。

・さて超能力者・秋山眞人氏が主宰されている「パワースポット巡り」が中野で行われると聞き、参加することに。パワーの強い街を歩きつつ、風水の状況や気の流れについて考察するミニツアーだ。

・地形や建物の形が、人々の肉体や精神に強く作用する。街は無意識的にそれに影響されて形作られていくのだ。中野の特に北口一帯にはかなり特異なパワーが入り乱れているらしく、秋山さんはその理由をかなり理論的に分析していた。

・中野ブロードウェイは北側の神社や地下水脈の影響を受け「情報量に対応する受け皿であり、入るだけで知力を覚醒させる」場の力があるという。「普段部屋にこもりきりのような人でも、ここに入ればがぜん頭が冴え、体に力がみなぎり、活発化する」とのことだ。なんとなく納得。

03年7月28日「トム・ソーヤーの超能力って?」

・『リーグオブレジェンド』試写。ヴアンパイア、透明人間、ジキル博士とハイド氏、トム・ソーヤー、ネモ船長……等々、19世紀文学のヒーローやモンスター達7人がチームを組んで難敵と戦う。

・それぞれが変身、不死、飛行といった超能力を発揮するシーンに特に凝っていて、彼等の活躍を読んでわくわくした少年時代の記憶が蘇ってくる。不可能映像を可能にする最先端SFXはコミック・ヒーローを実写化できる域に達してから『スパイダーマン』や『ハルク』といった名作を量産しているが、さらに進めば豊穣な文学イメージまでをも、読者のイメージを凌駕する映像として実体化することができるようになるわけだ。ネタは尽きない。

03年7月29日「VHSに復讐し、ウォークマンを再現する」

・SCEの戦略発表会「プレイステーション・ミーティング2003」。プレステのニューハード「PSX」と「PSP」の詳細が明らかになった。

・PSXは、以前書いたようにホームサーバーとして、居間のテレビとセットになる家電的な位置づけが明確になった。「ポストVHS」という言葉が一番正直なソニーの気持ちをあらわしている。ここで必要なのはネットワークゲームではなく、例えばデータベースを自由に検索・ダウンロードしながら情報の海を泳ぎ遊ぶ「配信ゲーム」だと僕は思う。

・PSPは、携帯電話やウォークマンの次世代機。無線LAN機能をつけたことにより、屋内外のホットスポットで、無線で、携帯機でネットを楽しむスタイルが明確になってきた。そういうシチュエーションならではのゲーム企画に期待。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。