第159回

3月31日「CG-U23」

・TIGRAF(東京国際CG映像祭)のプレイベントとしてユースコンテストというのが始まる。審査を引き受けることになりそう。CGを学んでいる学生(大学生、専門学校生)が対象で、登竜門としての機能を目指すとのこと。若い人達の就業機会を増やす施策の一つとして経済産業省からのバックアップもあり。

・優秀なクリエーターを発掘し、スター化していくことはもちろん大事だ。しかし、今は彼等に名だけでなく実を得させることの方が急務なのである。層が厚いのに、仕事がない。CG業界も、マンガ業界と同様の状況になってきている。仕事というのはサラリーマン生活という意味に限らず、就職しないでひらきこもって生きていく方法論をいろいろ提示するという手もあると思う(ただし専門学校は『就職』を売りにするのなら実質的な就職率を明らかにすべきだ)。

・募集対象を、学生だけでなく、自称クリエーターの無職フリーターまで拡大してほしいとお願いしておいたけど、もし無理でもやる気のある人はなんとかごまかして応募してきてほしい(年齢ではじかれた作品でも僕は真面目に拝見します)。

4月1日「モンドゲーム」

・D3パブリッシャーの『SIMPLE2000』シリーズのモンド化というか良い意味での「なんじゃこりゃ化」が進んでいると以前書いた。最新作『THE大美人』(5/20発売)のサンプルが届いて、早速プレイ。

・これはお薦めするしかない。突如ゴジラくらいに巨大化してしまったグラビアアイドル双葉理保(17)が、ビキニ姿のままで沖縄から日本列島を北上し始める。プレイヤーは自衛隊の立場で彼女の行動を阻止すべく緊急出動する。ヘリに、戦車に、戦闘機に乗り込み作戦任務遂行にあたる。そのぷるぷる揺れる尻や乳に麻酔弾を撃ち込んだりするわけだ。

・このゲームの制作者は「巨大女」フェチなのだろうか。巨大化したダリル・ハンナやフジアキコ隊員やゴマキで興奮してしまったクチなのだろうか? という謎はおいといて、こういう企画ができる『SIMPLE2000』シリーズは硬直化しかけたゲーム界において貴重だと思う。

4月2日「?」

・高城剛さんへのインタビュー依頼が僕のところに来た。

4月3日「技術と美術」

・恵比寿ガーデンプレイスの都写真美術館にて、『インフォメーション・アートの想像力展』がスタートした。大学生によるデジタル系アート作品の展覧会だが、美術系だけでなく工学系の学部からの参加も多い。

・小動物の視覚を味わう体感映像システムや、触れると光量や色彩が変化するベッドなど。情報工学やネットワーク技術からのアプローチが面白い。新しいエンターテインメントはメディア業界や美術界だけでなく学界までがまぜこぜになった中でのコラボレーションから生まれていくのだろう。4月18日まで。

2005.12.13 |  第151回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。