第248回

1月30日「お帰りなさいませ勇者さま」

・こういう話はもう飽きてしまわれたかもしれないが、事務所の近所に今度は「勇者カフェ」ができた。「お帰りなさいませ勇者さま」と迎えられるので、武勇伝を語ってあげてほしい。メイドさんはエルフなので耳が大きい。

・有名マンガ家の某先生と一緒に入ったら、オーナーさんが席まで挨拶に来た。その方もマンガ家さんだったのである。現役で連載もってる人だ。

・力士がちゃんこ屋をはじめるように、芸能人がスナックをはじめるように、オタク産業のクリエーターも現役のうちに何か商売をはじめるようになるのかもしれない。としたらコンセプチャルなメイド喫茶はありだな。

・ところでお客さんの一人が「じぶん今『執事カフェ』の面接受けてきたんです」と言ってた。池袋乙女ロードに、できるんだって。執事カフェで稼いでメイドカフェで使うんだね。

2月6日「東京はアニメのハリウッドになれるか」

・「東京国際アニメフェア」公募部門の審査員を拝命している。その応募作品が送られてきたので、缶詰になって観まくっている。ものすごい数なので、まず審査員それぞれが独自に一次採点しておき、しかるのちに集まるというプロセスなのである。

・今年の作品数は235本、そのうち115本が海外からの応募だった。なんと19か国から集まっているのだ。日本のアニメに強く影響を受けている海外作品も多く、審査しつつ、個々の作り手のアニメ体験に思いをはせた。この文化において、東京は世界の中心地になっている。今後、戦略拠点としてハリウッドのようにブランディングしていくことも可能と思われる。

2月7日「逸品……」

・『ファミ通』のインタビューを受ける。「逸品拝見」というコーナー。クリエーターが所有の宝物や珍品を紹介する、というものである。同じ号の別ページで高橋名人のインタビューが掲載されるということを聞き、名人関連の超絶レアアイテムを出すことにした。ヒント:ナマモノ。

・話の内容としては、ゲーム業界黎明期のことなど。1979年のスペースインベーダー・ブームから1985年の高橋名人ブームまでの「現象」はきちんと検証し、記録しておかなくてはならないと強く思っている。今再びの高橋名人ブームを待望している理由も、そこにある。それは決してノスタルジーではなく、新しいものをきちんと作り続けるための構えとして。

・例えば最近は携帯機などでレトロゲームが静かなブームだけれども、メーカーはゲームをただ商品として出すだけでなく、その周辺の時代の雰囲気までを伝える努力もやっていってほしいと思う。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。