第285回

11月1日「街頭テレビ+ケータイ」

・写真はハチ公前ほか渋谷の各所に設置されているデジタル地図案内板。モニター上の地図を指で直接触って操作する。地図は拡大縮小スクロールし、それとシンクロして動画や文字データも表示される。

・さらに随時表示されるQRコードから情報をダウンロードできる。後はケータイでその情報を見ながら目的地まで歩いていくことができるわけ。今のところは試験運用なので情報量は少ないが、クーポンなどを発券する機能もある。

・比較的治安が良く密集型の日本の「街」は、ブロードバンドが家庭に達した今でも、高度情報拠点としていろいろな使い道が考えられる。街頭のダウンロード拠点と、肌身離さず持ち歩くケータイによって、現実とバーチャルのちょっと面白い関係を設定することができる。

・ネットワークを、試しに「あの世」と設定する。そこには肉体は入り込めないが、精神だけは自在に行き来できる。とても遠いようで、いつもすぐ近くにある。そこに、バーチャルな神様を設定することができれば、恐怖のない監視社会が成り立つはずなのである。

11月7日「Web2.0+ケータイ」

・マスコミではメジャーなSNSのビジネス展開について盛んに報道されているが、最近はマイナーなジャンル別SNSと、それからケータイ向けSNSも、面白い。

・携帯電話用のSNSは、パソコンをあまり使わない人の方が盛んに活用しているようだ。例えば食べたものをメモする。会った人の顔を撮る。そういうデータを保存しつつ整理するために使うのだ。パソコンのハードディスクではなく、ネットのあちら側にセーブする、と、同時に公開してしまうわけだ。今の若い人はリテラシーも持っているから、公開の線引きも絶妙に設定している。

・今後、自分の生活をリアルタイムで公開してそれを本業にするような人が出てくると面白い。中川翔子も消費者金融のCMなんか出なければ……。

11月10日「学校の価値って?」

・全ての学生を同じ時間拘束して同じ教科の学習させることが義務なら高校なんて価値はない。不公平というなら履修時間数で計るのではなく卒業資格試験を共通で受けさせるべきだ。

・そして受験勉強だけがんばりたい人は、高校行くよりとっとと大検受けて予備校に行った方が効率的じゃないか。仲間は、今は別の方法でいくらでも探せる。SNSとかね。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。