第312回

5月23日「北朝鮮には内緒の話」

・大学が閉鎖になり講義もできなくなり暇だ。今日は「和田弥生幹線」に潜らせてもらってきた。先日潜った「環七地下調節池」と同じ目的の貯水トンネルだが、こちらは下水道を延長して作られたものである。地下50メートル。巨大施設としては都心で最深部であろう。電磁波がほとんど届かない所でじっとしていると脳細胞がしんと休まっていくのがわかる。そしてこういう設備の正確な位置と進入経路を頭にたたき込んでおくことにより、有事の際は役に立つのである。

・この地域が地下スペースの宝庫である理由は諸説あるが、また改めて書く。

5月24日「『こびと』って言っちゃいけないんだっけ?」

・『アーサーとミニモイの不思議な国』試写。全編英語の、フランス映画。少年アーサーは田舎のおばあさん家の庭に、身長2ミリのミニモイ族が住む世界があることを知る。

・重力の感覚が緩やかになっていることや、水がハチミツのような粘液となっているところなど、ミクロ世界の物理法則がうまく表現されていて、ハリウッド映画とは別種のこだわりを感じる。また声優にマドンナやボウイを起用し、サウンドやダンスにもいろいろなたくらみを仕込んでいる。ヨーロッパからハリウッドを遊んでいる感じが面白い。

・「ミニモイ王国」に入り込んでからはフル3D-CGアニメーションとなる。人形アニメを意識したビジュアルテイストだが、そこでリュック・ベッソン美学が炸裂。キャラクターはFFシリーズのCGキャラクターをSD化したイメージで、すごく美形で、かつ愛らしい。これ、日本のゲームオタク(特にフ女子の方々)に意外な受け方をするんじゃないだろうか。

5月25日「虫を放つ」

・森に。飼育し、増やすことができたクワガタの一部を放しに。最初のつがいを捕獲した場所をネットで調べてみると、植生がかなり変化している。近辺の環境を調べて、最良の場所を確認。グーグルアースで木の種類までぎりぎりわかるので助かる。

・ところでグーグルアースで閉鎖後のユネスコ村恐竜館をくよくよと見てたりするんだけど、すっかり荒涼となった跡地をUFOが飛んでるのは何故だろう。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。