第326回

9月1日「爽やかスポーツ映画」

・映画ライター・ジャンクハンター吉田さんからの推薦で『スポーツキル 地獄の殺戮ショー』観る。ベガスの秘密クラブで繰り広げられる殺人賭博ゲームを扱ったホラー。容赦のない残虐ぶり。やはり肉を食べている国民はすごいなぁと思いつつ、覗き小屋風のステージや逃亡女性がはいずりまわる迷路など、閉塞感の描写は日本の作家の方が上手いかもしれないとも感じた。結末も面白かったが、全く同じシナリオでもこれがアジア映画だったら別の味わいが出たかもしれない。

・こういう映画が劇場公開されるようになったのは『ホステル』効果(今はホステルでググるとユースホステル協会よりあのグロ映画が上に出る)いや、タランティーノのおかげとも言える。感謝するべきなのである。

・ところで吉田さんは10月末に三才ブックスから世界初のシネマゲーム研究本を出すらしい。これは良企画だと思う。今、マニア以外の人は良いゲームを探すよりも自分の好きな映画のゲームから入るといい。ゲームはAVスペック的にはもう映画として観られても十分に耐えられるレベルになっているし、特にアメリカ産のメジャーゲームは質が揃っている。

9月2日「日刊連載やります」

・ブログとケータイ小説が地続きなの周知のところだが、さらにノベルゲームの一部が重なっていると仮定することによって、そこからライトノベルへの導線が創り出せるのではと考えた。これは論文にまとめるのではなく実践してみよう。

・というわけでまた小説を書き下ろすことに。ネットで連載するのは最初の長編『アンドロメディア』以来。そして今回は日刊連載で行く。

・こういう仕事の場合、大切なのは書きだめしとくことよりも体調を整えておくことだ。『太陽にほえろ!』のレギュラーが決まってからの松田優作は、演技の練習より台本の暗記よりただひたすら毎日走ったという。見習って、僕も今ひたすら走っている。

9月3日「残暑に感謝」

・かき氷の世界は深いけれども、ハマりかける頃には夏が過ぎる。それもいいですね。写真は神楽坂「紀の善」の氷宇治金時。

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2007.09.09 |  第321回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。