第360回

4月24日「大人用ランボー」

・『ランボー 最後の戦場』試写。射撃や爆撃や肉弾攻撃によって、人間ひとりひとりの体が生きながら動きながら破壊されていく様子がとてもリアルに現出されていく。その技術は実に高度で、恐ろしさや気味悪さを通り越して美しさすら感じさせられてしまう。

・シリーズで初めて15禁指定になってしまっていた。その理由は、政府軍隊による村人の虐殺などミャンマー奥地で現実に起こっている状況をリアルに再現してみせたシーンのせいだという。この判断は、非常に残念。

・ミャンマーの現状に対する抗議メッセージは強烈だ。全体として、激しいプロパガンダ映画として仕上がっている。絶対的正義のなくなってしまった時代に、どの側に視点を置くか、という決意が、大きな創作行為になる。ハリウッドコンテンツは今後キリスト教的価値観を世界にプッシュしていくための兵力としても機能していくわけである。

4月25日「完成!」

・講談社BOXさんと創っているコンセプトカフェ『KOBO CAFE』@中野ブロードウェイ、内装が遂に完成。デザインと工事をお願いしたシエスタ社の皆さんが本当に良い仕事をしてくださった。素人なのにイメージばかり先行している僕らの、非常に漠然とした表現を一生懸命くみ取って、具体化しては何度も提案してくださったのである。

・個人的には、本やゲームを作るのとは違う面白さを知ることができた気がする。文学もデザインも、平面も立体も、ディテールへのこだわりが全体のたたずまいに影響することは間違いない。今後もコツコツいじっていきたいと思う。

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4月27日「毎晩やりたいですね」

・そして、いよいよお披露目である。『KOBO CAFE』プレオープン。昼間は関係各社の皆さんを、夜は作家、イラストレーター、漫画家、デザイナーといったクリエーターの皆さんを招待。

・もちろん僕はコーヒー担当で、いれていれていれまくった。最終的には百数十杯をいれていた。ホットはKOBO CAFEオリジナルブレンド、そしてアイスは渡辺浩弐オリジナルのUFOコーヒーである。

・夜8時にお開きとなり、前途を祝して乾杯。その乾杯にお代わりを注ぎ始めてみたらほとんど全員が残ってつきあってくれて、それから飲みまくり喋りまくり、気が付くと、朝。楽しい!

2008.05.04 |  第351回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。