第374回

8月2日「中野ブロードウェイ探偵、YOU!」

・KOBO CAFEで、ミステリ作家・北山猛邦先生プロデュースのミステリイベント。

・まずカフェでコーヒーを飲みながら、一緒に供された小冊子を読む。とある殺人事件について書かれているものだ。読み終えた時、自分がその現場にいることに気づく。しかも事件はまだ解決していない。……という感じで、北山先生のミステリ小説世界を実体験してもらおうという企画である。知恵を絞りながら中野ブロードウェイ内を歩き回って、真相を解き明かすわけである。

・数日がかりで様々な謎をカフェ内だけでなくビル全体に立体的に張り巡らせた。ただし実作業よりも大変だったのは難易度の調整で、北山先生と最後まで検討を重ね結局前夜は完徹だった。

・13時にスタートして、最初の達成者が出たのは16時15分。その次の達成者が出たのが18時過ぎだったから、優勝者は突出してすごかったということになる。ただし、上には上がいる。ふらりと現れてノーヒントで、10分余りでクリアしてしまった乙一さんに一同唖然だった。

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8月3日「正答率30%」

・ミステリイベントの参加者は70名。謎を最後までクリアした人は結局21名。正答者の多くはゆうに4、5時間は歩き回り、考え込んでいたわけなので、かなり難しいゲームだったということになる。

・参加者の何人かが今日もご来店。優勝者のヒナコさんも来て下さったので、北山先生と一緒にトークショウをやることになった。北山さん本人から、全ての謎とその解決方法を明かしてもらった。そしてヒナコさんには、脳と足をフル稼働して立ち向かった様子を振り返ってもらった。

・聞くと彼女は某名門大学ミステリ研究会の前会長だった。

8月5日「本も売らなきゃ」

・講談社内のホールで、講談社BOXの新作発表会。これから新刊が出る作家が出演してトーク。乙一さん、北山猛邦さん、佐藤友哉さん、滝本竜彦さんはあの伝説の「ファウスト文芸合宿」チーム。西尾維新さんからは電報が届いた。そして「危険な新人」トリオの小柳粒男さん、針谷卓史さん、泉和良さん。皆さんKOBO CAFE常連だ。

・太田編集長の手には8日発売の『ファウスト』3年ぶりの最新刊が!  ほんとに刷り上がったんだ! ! 感動のあまり太田さんはこの前日に上記の作家達を連れて最終製本の現場を見学に行ったんだって。

・僕もKOBO CAFEのことや、10月発売予定の『吐田君に言わせるとこの世界は』について喋らせてもらった。ありがとうございます。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。