第438回

10月21日「ちゃんと売り、ちゃんと買うために」

・ニコニコチャンネルGTVにて、『ゲームメーカー交流会 #3』放送。K-CAFEでは、ゲーム会社の方々が集まっての勉強会(+飲み会)も行われている。その現場からニコニコ生放送を行い、新作のあるメーカーさんにしっかり語ってもらっているわけだ。これほど真に迫るゲーム情報は他にないはずだ。購入ガイドとしてきわめて有効なものになると思う。

・ニコニコ動画のように売り手と買い手が直接つながれるメディアは、はっきりと宣伝してもらいしっかりと吟味してもらうための場としても使いたい。特に親にめんどうをみてもらいつつネットに浸っている人は、なんでも無料で提供されると錯覚しがちだが、それはお金の使い方に無意識になってしまっているというだけのことだ。本当に好きなものに対してどう支払いをするかは。自分の頭でちゃんと考えた方がいい。ゲームは作品であり、その大半は今のところお金をかけて作ってお金をとって売っているものである。TVもネットもゲームも基本タダなんだと思っているような人が特に危ない。

・そういう人が実は一番ひどい収奪を受けているのだ。

10月22日「アイドルソフトを作りたい」

・お台場の日本科学未来館にて、「国際3Dフェア2009」『国際3Dシンポジウム Part 1. なるほど!3D』河合隆史さん、西和彦さん、行正り香さん、と、別々の領域でそれぞれ尖った活動をしている人の集まりだから、司会進行の役割にはとてもプレッシャーがあったが、皆様のお気遣いのお陰で接点を見つけて進めていくことができた。

・河合教授とは彼がまだ学生だった16~17年前、一緒にVRやゲームの勉強会などを始めた縁だ(当時から図抜けて優秀だった)。行正さんはとても冴えてて優しくて、今の優秀な女子学生が憧れる女性とはこういう人なのだろうと納得できた。そして西さんは、相変わらずすごいパワー。個人的にはこの人の話 (例えば『3D-CG化を完了して準備万端のハリウッドアニメの前で日本のアニメはピンチに瀕することになる』とか) にもっと食いつきたかったが、時間の関係でどうしても困難だった。

・展示ホールも面白かった。特にソニーの360度立体ディスプレイに人が集まっていた。高さ30センチ弱の透明な円筒の中に実写の立体動画が表示される。サイズ的には、テレビ電話に向いているかな。あるいはいっそアイドルソフト専用プレイヤーとして使うとかね。『BLACKOUT』の世界が実現してしまうね。

・他にも大スクリーンの裸眼ディスプレイも展示されていた。ただ個人的には、無理して裸眼で見るより眼鏡かけて見た方が良いと思えた。映像的にはずっと安定するし、今の液晶グラスは軽いしちっとも疲れないし。

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10月23日「浩乙つけがたし」

・今日も「国際3Dフェア2009」。豊洲のユナイテッドシネマで、安達寛高(乙一) 監督作品『立体東京』の上映会。監督と二人で上映前に喋らせてもらった。ゼロからスタートした立体映画のメイキングの苦労など、面白い話を聞くことができた。ありがとうございます(ただし上映は音ずれがあって、来場の皆様、安達監督、本当にすみませんでした)。

・「最後の上映」なんて自分でおっしゃっていたけれど、家庭用の3Dハードがすぐに普及するから、すぐに誰でも見られるようになると思いますよ。

・ちょっとお知らせ。10/31中野ブロードウェイ1階での『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)販売は、デリシャスウィートスのパフォーマンスは残念ながら中止だそうです。それから僕のサイン本も一応用意しておきますので、ご要望の方はお申し出ください。

2009.10.30 |  第431回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。