第483回

12月30日「おつかれさま」

・12/10 『モンハン3rd』やってるよ。このゲーム、大人がプレイした時の感慨は若い人のそれとはちょっと違うような気がする。無人島に移住したいとか妄想してるような都会人に、特にお薦めだ。カプコン辻本プロデューサーとは2日連続で会うことができた。今年会った人の中で一番モテそうな人だった。もちろん一緒に3rdプレイしたよ。それからロングインタビューも……その掲載情報など、改めて。

・12/21 出版界の超新星「星海社」のウェッブサイト『最前線』のイベント「坂本真綾の満月朗読館」の最終夜を観に六本木ヒルズの映画館に。奈須きのこさんの書き下ろし小説『月の珊瑚』を、武内崇さんと逢倉千尋さんのイラストが投影されるステージ上で、坂本真綾さんが朗読する。その模様が全国9箇所の劇場に衛星生中継される、と同時にUSTREAMで配信される。美しい波動の共有。宇宙空間にいるような、海底にいるような、不思議な体験だった。小説の立体化の形式、それをメディアに載せて伝えていく方法、ともに新境地を開いたこの企画の仕掛け人は星海社・太田克史さん。手持ちのカードで常に最高の役を出して来るところ、同業者は見習うべき。

・12/22 ニコニコ生放送で「お祓い」をした。『つくものがたり』というゲームの制作現場で怪異なことが次々と起きたため、発売元フリューの村井俊介さんと相談し、佐藤界飛さんという霊能者にKカフェまで来て頂くことになったわけである。視聴者と一緒に、ゲームの制作者とプレイヤーの幸福を祈って頂いた。ネットの生放送でこの種のエネルギーは伝わるのである。佐藤さんはゲームをはじめデジタルメディアの造詣も深く、話はとても興味深い。心霊のエネルギーは光だけでなく電磁波、つまり電子メディアにも乗りやすいということ。ソフトハウスで、「霊的デバッグ」を行ったこともあるそうだ。

・12/23 ニコ生のレギュラー『ゲームのじかん』、年内最終回。4時間ぶっつづけで放送。この番組はいくらやっても疲れない。ニコ動を賑わせている多くの動画の魅力は、日常の延長の、自然体のままのプレゼンテーションにある。けど慣れてしまったりはしないように気をつけようと思ってる次第。新年1回目は曜日時刻ずらして1/8の15:00~。

・12/24 「中野ブロードウェイ推奨アーティスト」田渕純さんのディナーショウを見学に中野サンプラザへ(=写真)。中野の懐かしさと新しさを両方体現してる歌手だ。聞くだけでじゅん(純)ときてしまう魔法の歌声だけに、このショウには終了後そのまま上の階のホテルになだれこめる「カップルステイプラン」もある。田渕さんの中野ブロードウェイテーマ曲『野放図の人』は来年リリース予定。

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・12/26 スーパープレイで歴史的名作ゲーム群を再現するDVD『ザ・裏ワザ』 (発売元:アスミック)シリーズを鋭意制作中。今日はNA収録。第2弾は「ファミコンディスクシステム」と「PCエンジン」それぞれの特集巻を2月25日同時リリース予定。スタッフ一同どちらも思い入れのあるハードなので、気合い入りまくり。

・アニメフェアは終わっちゃうんだろうね。この状況は石原都知事の思うつぼである。喜んで、潰すだろう。本当に、それでよかったんだろうか。悪者に石を投げたつもりでヒーロー気取りの方々、「ざまあみろ」感覚で拍手喝采してる皆様、ちょっと落ち着いて、考えて頂きたい。このイベントの立ち上げの頃、末端で手伝っていたのだが、当初は業界のお偉いさん達よりも都庁の職員さん達が必死に動いていたことを記憶している。”上”の人達がなかなか理解してくれないためか、相当に苦しんでおられた。産業や文化の振興という題目で東京都の機能を動かすことは難しいため、「観光」という名目をつけ、予算確保に成功したのは大手柄だった。例えばそんなふうに、わからずやの政治家や役人をだましすかして確保した場所なのだ。そういう苦労を、お偉いさん達は知っちゃいないだろうなあと思う。そこにはメーカーだけでなく、無名の若いクリエーターにとってのプレゼンの場所として提供していこう、という意図が当初から盛り込まれていた。そういう企画は、大企業の、商業イベントではなかなか難しいのである。アニメフェアを千載一遇の機会として楽しみにしているインデペンデントのクリエーターは、今でも、とてもたくさんいるはずだ。

2010.12.30 |  第481回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。