検索
新着
ニュース
エンタメ
ライフ
仕事
恋愛・結婚
お金
スポーツ
グラビア
サブスク
トップ
日刊SPA!PLUS
もうひと言、大阪府警機動隊員の「土人」発言に沖縄県在住者として言いたいこと
2016年10月27日
もうひと言、大阪府警機動隊員の「土人」発言に沖縄県在住者として言いたいこと
惠隆之介
<文/ジャーナリスト 惠 隆之介>
「土人」発言はどのような状況で生まれたか?
沖縄県東村高江における米軍北部訓練場のヘリパッド移設工事の警備に当たっていた大阪府警機動隊員が、工事を妨害する移設反対の活動家たちにフェンス越しに体に触れられたり、服を掴まれたことに対して、「どこつかんどんじゃボケ、土人が」という言葉を吐いた。言われた反対派はこの機動隊員を「おい、ヤクザ、ヤクザ」と“反社会的勢力”呼ばわりした。 この騒動について、金田勝年法相は10月25日の参院法務委員会で、「土人」という言葉は差別用語に当たるとの認識を示した。また、大阪府の松井一郎知事も「差別的発言は許されない」と発言した。 ただし、松井知事は、「そこに至った背景もちゃんと伝えてほしい」とメディアに苦言も呈している。当時の模様について、移設反対派の撮影した動画がネット上にアップされている。どのような状況でこの機動隊員が「土人」と発言したのか、国民のみなさまもぜひご自身の目で確かめてほしい。
「土人」という言葉の意味するところ
大阪府警によれば、この機動隊員は「侮蔑的(差別的)な意味があるとは知らなかった」と発言したという。 「土人」という言葉には、「①土着の住民。土民。」という意味と、「②原始的生活をする、土着の人種。▽多く、軽侮の意を含む。」という意味がある(『岩波国語辞典 第七版』)。 「土人」という言葉が差別用語として認識されるようになったのは、戦後になってからである。例えば、北海道のアイヌは、行政用語では明治11(1878)年から「旧土人」と呼ばれ、明治32(1899)年から平成9(1997)年までは「北海道旧土人保護法」が存在していた。 沖縄について言えば、明治24(1891)年5月、明治天皇は沖縄県現状調査のため侍従北条氏恭(うじゆき)子爵(旧河内狭山藩藩主)を有史以来、初めて沖縄に差遣(さけん)された。河内狭山藩は今の大阪府大阪狭山市である。当時の侍従沖縄巡回日誌では、沖縄県民はカタカナで「ドヂン」と表現されている。侍従はその後、明治39年まで計7回沖縄に差遣され、天皇の名代として県民福祉、沖縄近代化に尽くされた。その足跡をどの角度から見ても、北条氏は沖縄県民を天皇の赤子(せきし)と見ており、そこには差別の片鱗も見られなかった。 ただし今回の件については、この機動隊員が「土人」という言葉の意味をどこまで正確に認識していたかどうかは分からないが、さすがに侮蔑的な感情を込めて発したことは否定できないと思う。
沖縄県民は「先住民族」?
今般の騒動について、翁長雄志沖縄県知事は20日、県庁に池田克史県警本部長を呼び、「県民の感情を逆なでし、悲しみに陥らせる厳しい言葉だ」と強く抗議した。 ところで、仮にもし、この機動隊員がポリティカル・コレクトネス(政治的に正しい)な言葉遣いで、「先住民族が」と言っていたら、翁長知事はどのように評価したのだろうか。 というのも、翁長知事は2015年、スイス・ジュネーブにおける国連人権理事会で、沖縄県民を先住民に認定させる運動を展開するNGО「市民外交センター」(代表・上村英明恵泉女学園大学教授)のサポートで国連演説を行い、国際社会に「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている」と訴えた。 実は、これに先立つ2008年、国連人権委員会は日本政府に対し、「アイヌ民族および琉球民族を国内立法下において先住民と公的に認め」るよう勧告しているのだが、これも「市民外交センター」らが働きかけたものだった。 そのため、沖縄県議会は、この翁長知事の演説を問題視し、「“県民は先住民”との印象を国際社会に与えた」など知事を批判した。 我々沖縄県民の大多数も、自らを「先住民族」などとは思ってはいない。市民外交センターの活動や翁長知事の国連演説こそ、我々県民の感情を逆なでしている。
機動隊員の基本的人権はなぜ守られないのか
私が言いたいのは、移設反対派も機動隊員らに罵詈雑言を浴びせたり、県警機動隊員の個人情報をさらしたり、はたまた、「子供へ危害を加えるぞ」などと脅迫もしているということだ。 反対派は機動隊員のプライバシーや憲法が保障する基本的人権についてはどう考えるのか。また、翁長知事が差別発言を問題視するならば、犯罪行為に当たる機動隊員家族への脅迫については、どのように考えているのか。ぜひ見解を伺いたいものである。
【惠隆之介(めぐみりゅうのすけ)】
ジャーナリスト。1954年沖縄コザ市生まれ。防衛大学校管理学専攻コース卒。海上自衛隊幹部候補生学校、世界一周遠洋航海を経て護衛艦隊勤務。退官(二等海尉)後、琉球銀行勤務。米国務省プログラムにて米国で国際金融等研修。著書に『
海の武士道DVD BOOK
』『
沖縄が中国になる日
』『
マンガ海の武士道
』(以上、育鵬社)、『
沖縄よ、甘えるな!
』(WAC)、『
いま沖縄で起きている大変なこと
』(PHP研究所)ほか、多数。
惠隆之介
⇒日刊SPA!PLUS 記事一覧に戻る
『
マンガ 海の武士道
』
大きな感動を呼んだ戦場の秘話、待望の漫画化!
テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート
ハッシュタグ
PLUS
デモ
マスコミ
抗議活動
沖縄
米軍
米軍基地
高江
Tweet
日刊SPA!の人気連載
モテの女神・関口美奈子
SPA!デジタル写真集
結婚につながる恋のはじめ方
マンガで稼いだカネを怪しい投資にブッ込んでみた
人に99%「YES」と言わせる ひろゆき構文
僕は路傍のジョン・レノンに出会った
マネー(得)捜本部
メンズファッションバイヤーMB
ファストファッション、全部買ってみた
連載一覧を見る
ハッシュタグ
PLUS
デモ
マスコミ
抗議活動
沖縄
米軍
米軍基地
高江
Tweet
おすすめ記事
24時間更新
人気ランキング
「パチンコ店のサクラ」で月40万円稼いだ44歳。怪しまれないために存在した“ルー...
2024年03月22日
人気セクシー女優らがAV新法改正に涙の訴え!「やめたくない」「声を挙げてもいいで...
2024年03月23日
“女性とは未経験だけど日本一のイケメン”があえてカノジョをつくらないワケ「30歳...
2024年03月26日
デリヘルの送迎ドライバーが語る“意外な副収入”とは「月10万円稼ぐ月も」
2024年03月25日
家の駐車場を“一面の”砂利やアスファルトにしてはいけないワケ。「タイヤ痕が残らな...
2024年03月20日
新着記事
「若い女性がつい好意を持ってしまう中年男性」に共通している5つの特徴
2024年03月29日
吉幾三が告発した「CAにクレームをつける自民党議員」。理解していなかった“飛行機遅延”の真実
2024年03月29日
なぜ「LDH」は国民から飽きられないのか。“伝説”が30年以上も続く理由
2024年03月29日
人肌恋しくて“オトナのお店”に。「45分7000円」のはずが3万7000円まで膨れ上がった顛末
2024年03月29日
元SKE48・高柳明音、芸能デビュー15周年の現在地。アイドルから女優へ、あの頃の青春を1万字で振り返る
2024年03月29日
孤独のグルメ~食文化応援企画~
ビール2:黒ビール1。人気の『マルエフ』を「ワンサード」で飲んでみた!
2023年11月20日
PR
美味しいビールで酷暑を乗り切ろう!孤独のグルメ原作者が熊本の名店で『マルエフ』を味わう
2023年08月10日
PR
『孤独のグルメ』のオリジナル デジタルトレカがもらえる!「ひとり飯をみんなで楽しむプロジェクト」の第一弾がスタート!
2022年12月02日
HARBOR BUSINESS Online 一覧
サッカーW杯日朝平壌決戦の行方。カギは定期便と人的往来再開か
2024年03月06日
政治の犠牲になった能登地震<著述家・菅野完>
2024年02月09日
『レジリエンスの時代 再野生化する地球で、人類が生き抜くための大転換』 著者のジェレミー・リフキンさんに聞く
2024年02月01日
勝SPA!一覧
元ガールズ女王が「ビッグレースの予想を的中させるコツ」を解説。‟大穴をあける期待ができる選手”の特徴
2024年03月24日
パチンコ新機能「ラッキートリガー」が大好評。ホール関係者が「好評なのに甘くできないワケ」を暴露
2024年03月23日
平成初期に愛された「ファンキードクター」が29年ぶりに復活!一撃万発オーバーのスペックに注目
2024年03月23日
はじめての副業一覧
”稼げない副業”に実は共通している特徴…「時間をかけてもムダ」とプロが警告
2024年02月10日
60代でも月2万~5万円稼げる“無理のない副業”。再雇用で減った給料を補塡
2024年02月06日
「汚ねぇな、出ていけ!」60代男性が目の当たりにした“シニア派遣の闇”。給料カットや交通費ゼロもザラ
2024年01月17日
募集
<扶桑社 採用情報>のお知らせ
2024年03月12日
女子SPA!、日刊SPA!の広告営業職を募集中です!
2023年12月26日
週刊SPA!編集部 編集者募集!
2023年03月08日
インフォメーション
ミスSPA!2023グランプリ受賞! 心愛「ミステリアスガール」デジタル写真集発売!!
2024年03月29日
ミスSPA!2023グランプリ受賞の正統派美女・萌花、念願のデジタル写真集を発売!
2024年03月29日
SPA!最新号表紙は横野すみれ! 天野ききが「このあと、どうする?」登場!!
2024年03月26日
週刊SPA! 最新号
週刊SPA!4/2号(3/26発売)
横野すみれ
Amazonで購入する
定期購読する
バックナンバーはこちら
SPA! 最新の関連書籍一覧
「ルフィ」の子どもたち
92歳、広岡達朗の正体
俺の夜、バカサイ_バナー枠
もうひと言、大阪府警機動隊員の「土人」発言に沖縄県在住者として言いたいこと
「土人」発言はどのような状況で生まれたか?
沖縄県東村高江における米軍北部訓練場のヘリパッド移設工事の警備に当たっていた大阪府警機動隊員が、工事を妨害する移設反対の活動家たちにフェンス越しに体に触れられたり、服を掴まれたことに対して、「どこつかんどんじゃボケ、土人が」という言葉を吐いた。言われた反対派はこの機動隊員を「おい、ヤクザ、ヤクザ」と“反社会的勢力”呼ばわりした。 この騒動について、金田勝年法相は10月25日の参院法務委員会で、「土人」という言葉は差別用語に当たるとの認識を示した。また、大阪府の松井一郎知事も「差別的発言は許されない」と発言した。 ただし、松井知事は、「そこに至った背景もちゃんと伝えてほしい」とメディアに苦言も呈している。当時の模様について、移設反対派の撮影した動画がネット上にアップされている。どのような状況でこの機動隊員が「土人」と発言したのか、国民のみなさまもぜひご自身の目で確かめてほしい。「土人」という言葉の意味するところ
大阪府警によれば、この機動隊員は「侮蔑的(差別的)な意味があるとは知らなかった」と発言したという。 「土人」という言葉には、「①土着の住民。土民。」という意味と、「②原始的生活をする、土着の人種。▽多く、軽侮の意を含む。」という意味がある(『岩波国語辞典 第七版』)。 「土人」という言葉が差別用語として認識されるようになったのは、戦後になってからである。例えば、北海道のアイヌは、行政用語では明治11(1878)年から「旧土人」と呼ばれ、明治32(1899)年から平成9(1997)年までは「北海道旧土人保護法」が存在していた。 沖縄について言えば、明治24(1891)年5月、明治天皇は沖縄県現状調査のため侍従北条氏恭(うじゆき)子爵(旧河内狭山藩藩主)を有史以来、初めて沖縄に差遣(さけん)された。河内狭山藩は今の大阪府大阪狭山市である。当時の侍従沖縄巡回日誌では、沖縄県民はカタカナで「ドヂン」と表現されている。侍従はその後、明治39年まで計7回沖縄に差遣され、天皇の名代として県民福祉、沖縄近代化に尽くされた。その足跡をどの角度から見ても、北条氏は沖縄県民を天皇の赤子(せきし)と見ており、そこには差別の片鱗も見られなかった。 ただし今回の件については、この機動隊員が「土人」という言葉の意味をどこまで正確に認識していたかどうかは分からないが、さすがに侮蔑的な感情を込めて発したことは否定できないと思う。沖縄県民は「先住民族」?
今般の騒動について、翁長雄志沖縄県知事は20日、県庁に池田克史県警本部長を呼び、「県民の感情を逆なでし、悲しみに陥らせる厳しい言葉だ」と強く抗議した。 ところで、仮にもし、この機動隊員がポリティカル・コレクトネス(政治的に正しい)な言葉遣いで、「先住民族が」と言っていたら、翁長知事はどのように評価したのだろうか。 というのも、翁長知事は2015年、スイス・ジュネーブにおける国連人権理事会で、沖縄県民を先住民に認定させる運動を展開するNGО「市民外交センター」(代表・上村英明恵泉女学園大学教授)のサポートで国連演説を行い、国際社会に「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている」と訴えた。 実は、これに先立つ2008年、国連人権委員会は日本政府に対し、「アイヌ民族および琉球民族を国内立法下において先住民と公的に認め」るよう勧告しているのだが、これも「市民外交センター」らが働きかけたものだった。 そのため、沖縄県議会は、この翁長知事の演説を問題視し、「“県民は先住民”との印象を国際社会に与えた」など知事を批判した。 我々沖縄県民の大多数も、自らを「先住民族」などとは思ってはいない。市民外交センターの活動や翁長知事の国連演説こそ、我々県民の感情を逆なでしている。機動隊員の基本的人権はなぜ守られないのか
私が言いたいのは、移設反対派も機動隊員らに罵詈雑言を浴びせたり、県警機動隊員の個人情報をさらしたり、はたまた、「子供へ危害を加えるぞ」などと脅迫もしているということだ。 反対派は機動隊員のプライバシーや憲法が保障する基本的人権についてはどう考えるのか。また、翁長知事が差別発言を問題視するならば、犯罪行為に当たる機動隊員家族への脅迫については、どのように考えているのか。ぜひ見解を伺いたいものである。 【惠隆之介(めぐみりゅうのすけ)】 ジャーナリスト。1954年沖縄コザ市生まれ。防衛大学校管理学専攻コース卒。海上自衛隊幹部候補生学校、世界一周遠洋航海を経て護衛艦隊勤務。退官(二等海尉)後、琉球銀行勤務。米国務省プログラムにて米国で国際金融等研修。著書に『海の武士道DVD BOOK』『沖縄が中国になる日』『マンガ海の武士道』(以上、育鵬社)、『沖縄よ、甘えるな!』(WAC)、『いま沖縄で起きている大変なこと』(PHP研究所)ほか、多数。大きな感動を呼んだ戦場の秘話、待望の漫画化!