第十九夜 【前編】

♪すばらしいYMCA
懐かしの’80&’90年代歌謡曲でフィーバーする夜

【担当記者:苫米地】

 歌は世につれ人につれ。誰にも心に残る歌ってものがある。俺が初めて聴いたレコードは兄貴が持ってたシャネルズの「ランナウェイ」。あのドーナツ盤(死語?)はどこにいったっけ。正直iPod世代の邦楽は心に染みてこない。キャバクラではやりの音楽の話をされ、うろたえる俺がいる。昭和の香りをまとったPerfumeにホッとするのも事実だ。最近そんなアラサー、アラフォー世代の嘆きを汲んでか、都内では’70年代、’80年代から’90年代初頭までの音楽をかける「昭和歌謡パブ」がひそかなブームになっているらしい。

そこは熱狂のるつぼアラサーの天国か!?

 巨大なジョン・トラボルタのシルエット看板が眩しいその店は新宿二丁目交差点近くにあった。田原俊彦、近藤真彦・松田聖子など往年のアイドルのLP版がズラリと飾られた階段を上がる。「このころはパーマ全盛だったんだ」。感慨にふけっていると、階段を上りきった入口には同じくパーマ頭で微笑む松山千春。俺も思わず笑顔。そっとドアを開けると……「い~ますぐキスミィー!ウォウウォウ!」。怒号に耳をつんざかれる。見ればアラサーリーマンの団体が拳を振り上げ大合唱。大画面にはロンT、ブラックジーンズ、ラバーソウル姿の渡瀬マキ。床を転がりながらのコール&レスポンスだ。「おおおお!」。歌番組に夢中だったガキの頃にタイムスリップしてしまう俺。

 受付を済ませ、大画面の前に陣取る。生ビールとともに店員から差し出されたのは映像のリスト本。およそ1500曲が映像付きで収録され、好きな曲をリクエストできるという仕組みなのだ。『ザ・ベストテン』、『夜のヒットスタジオ』、『歌のトップテン』……歌番組華やかなりし頃の「お宝映像」が満載。意外な曲もリストにあって否応がなしに興奮してくる!

 早速机上のリクエストカードを書き、店員に渡す。生ビールで乾杯。隣のリーマングループの盛り上がりの輪に加えてもらう。

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懐かしの映像で盛り上がれば、見知らぬ人々ともすぐに意気投合。
ドラマやアニメの主題歌も豊富。リストにないマニアックな曲もあるとか

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【ヤングマン】
住:東京都新宿区新宿3-9-10大谷ビル2F・3F・4F
電:03-6457-7040
営:19時~翌5時 無休
料:男性3600円 女性1800円
飲み放題(ビール・チューハイ・日本酒・ワイン・焼酎ボトルなど)食べ放題
最大38席の個室で貸切パーティにも

http://pub-youngman.com/

撮影/桜井健司

苫米地 某実話誌で裏風俗潜入記者として足掛け5年。新天地でヌキを封印。好きなタイプは人妻
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