四球を選ぶことなく積極的に打つ――イチローの初球打ちは、彼の代名詞とも言えるスタイルだった。日本からシアトル・マリナーズへの移籍初年度、2001年の初球打ち打率は驚異の.434。しかし、年齢の衰えは隠せず、2015年の初球打ち打率は.171と低調な数字に終わっていた。
今年も初球打ち打率こそ.222とやや低い数値だが、全体の打率は全盛期と見劣りしないしない.350近くをキープしている。これこそ、彼が「イチロー」から脱却した証拠となるだろう。
確かに積み重ねた結果は偉大なものだ。だが、その前に彼がこの年齢でなお、絶えず変革を試みているプロセスにも注目したいものだ。
取材・文/石橋和也(Far East Division) photo by Corn Farmer via flickr