スポーツ

為末大が挑む「障がい者スポーツ」の未来。人間の能力×テクノロジーで限界を超える

 興味深いのは素材が進化したからといって、それがそのまま記録の伸びには繋がらないこと。 「硬い素材を使えば反発力も強く、スピードや跳躍力が出ます。でも、一般の選手からは『ガツガツして使えない』という感想が聞かれました。競技では、選手が生み出した力を義足に伝えてたわみを作り、それを推進力や跳躍力に変換します。今、開発している義足だと相当高いレベルの選手でないと使いこなせない状態です」  例えば、膝上を切断すると車椅子を使うケースが多く、義足をつけて歩ければラッキーという世界。しかし、一流のパラアスリートは、健常者と並んで歩いていても歩行速度が変わらず、周りから気づかれないほど義足という「ギア」を使いこなしているのだという。 「陸上に関していえば、高いレベルの道具を使いこなす競争になっていると考えたほうがいいですね」  テクノロジーの進歩によって、健常者の競技とはまた違ったくくりで進化していきそうな障がい者スポーツ。その未来を、為末氏はこう見ている。 「パラアスリートと接すると、高性能の義足を使いこなしたり、聴覚が鋭くなったり、記憶を司る海馬が発達したりと『こんな能力を発揮できるのか』と思うほど人の能力自体も進化していることに驚きます。将来的にはきっと我々の想像を超えるパラアスリートも出現してくることになると思っています」 【為末 大氏】 株式会社侍代表。’78年、広島県生まれ。陸上スプリントトラック種目の世界大会で日本人初のメダルを獲得。3度のオリンピックに出場。今年、新豊洲Brilliaランニングスタジアムの施設館長に就任した ― 「障がい者スポーツ」激アツ観戦ガイド ―
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