お金

万引きでもしたら?――連続投資小説「おかねのかみさま」

「むらた」 「ん?」 「あのコがベンチャー向きじゃないのはわかるよな」 「まぁな。惹かれるものがないな」 「やっぱりそこって大事よねー」 「でもな、何も気づかずに我慢して働きつづけてる連中よりは一歩進んでるんだがな。いかんせん、生産性という意味においては世の中で1番厄介なポジションに落ち込んだ感は否定できないと思うんじゃ」 「まぁそうだろうな」 「なんかやらせてみる?」 「むりむりー。なんかできる奴だったらとっくにやってるっつの」 「やっぱそうかなー」 「でも、ほら、彼にも向いてることとかあるんじゃない?誰かのサポートをするとか。そういうこと」 「まぁねー。だけど本人が自分のことしか考えてないから、ちょっとそれも難しいんじゃないかなー」 「自分のことしか考えてないとだめなの?」 「うん。自分のことしか考えてないひとは、もし能力があるのなら、待遇を改善してたくさん働いてもらうのに適したひとなんじゃ。だけど能力がなくて自分のことしか考えてないひとっていうのは、ただ単に自分の我慢とか犠牲にした時間に見合う報酬を要求するだけのひとなんじゃ。こういうひとは最近のベンチャーには一切向いてない。最近のベンチャーは、そういう人に邪魔された才能たちがどんどん自由に活躍できる環境を自分たちで作り上げるっちゅートレンドじゃ」 「いろいろあるのねー」 「理解度7%くらいなんじゃな」 「うん」 「あいつ遅いな」 「みてくるわね」 — 「むらた」 「なんだよ」 「おまえは起業とか興味はないのか?」 「いやだよ俺は!嘘がつけねぇんだ。どんなに金が儲かっても、嫌いな奴にキライだって言えないような立場にはなりたくねぇ」 「そうか…だったらけんたくんを社長にしてお前が支えるってのはどうだ?」 「は?」 次号へつづく 【大川弘一(おおかわ・こういち)】 1970年、埼玉県生まれ。経営コンサルタント、ポーカープレイヤー。株式会社まぐまぐ創業者。慶応義塾大学商学部を中退後、酒販コンサルチェーンKLCで学び95年に独立。97年に株式会社まぐまぐを設立後、メールマガジンの配信事業を行う。99年に設立した子会社は日本最短記録(364日)で上場したが、その後10年間あらゆる地雷を踏んづける。 Twitterアカウント https://twitter.com/daiokawa 2011年創刊メルマガ《頻繁》 http://www.mag2.com/m/0001289496.html 「大井戸塾」 http://hilltop.academy/ 井戸実氏とともに運営している起業塾 〈イラスト/松原ひろみ〉
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逆境エブリデイ

総移動距離96,000キロメートル! 大川弘一がフルスピードで駆け抜けた400日間全記録

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