「日本の男子バスケはアマチュア気分でいて勝てるわけがない」川淵三郎×前園真聖【Bリーグ開幕直前対談】
前園:そもそもバスケの場合、東京オリンピックの出場も決まっていないですし。
川淵:少なくともアジアで上位にならないと、開催国でも出場できないから。男子が開催国でありながら出場できないということになったら、これは恥だよ。世の中に絶対ということはないけど、これは絶対に出ないとダメ。そのためにどうするのかを協会、リーグ、それから各クラブが方向性を明確に出して、それに向かって強化していかなければならない。これまではリーグが2つに分かれていたことで、まとまっての代表強化や海外遠征を計画的にできなかったが、今回、一つにまとまったので、ここから大きく変えていかなければならないと考えてます。
前園:そういう意味でもBリーグの存在が大事になると思います。
川淵:サッカーもJリーグができて世界で戦えるようになりました。プロ化によって選手のモチベーションが上がり、環境も整備され、激しく厳しい試合が増えていったのが大きいです。また、海外の一流選手が入ってきたことで、日本人選手にもプロ意識が芽生え、大きく変わっていきました。Bリーグができたことで、プロとしてのプライドを持って、その環境の中でどれだけ厳しい練習をするかが重要です。去年、ステフィン・カリーに会う機会があったのですが、どれぐらい練習するのか聞いたら、最低でも5時間はやると言っていました。しかも全体練習の後に5か所で5本ずつ、合計25本のシュートを打って、1回もミスしなかったら終わりにすると。逆に言えば、1本でもミスしたら練習し続けるということです。世界一の3ポイントシューターが、それだけ練習しているのに、日本人が以前と同じようなアマチュア気分でいて勝てるわけがないですから。
※このインタビューは9/13発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【川淵三郎】
’36年、大阪府生まれ。Jリーグ初代チェアマン、日本サッカー協会会長を歴任後、FIBA主導で設立されたタスクフォースのチェアマンとして日本バスケ界を改革。その後、日本バスケットボール協会会長に。現在はエグゼクティブアドバイザー。首都大学東京の理事長も務める
【前園真聖】
’73年、鹿児島県生まれ。高校卒業後、横浜フリューゲルスに加入。アトランタ五輪代表主将としてブラジルに勝利した「マイアミの奇跡」の立役者。引退後はタレント活動、本誌特命記者として取材も。TV番組での取材をきっかけに、Bリーグの特命広報部長に就任
取材・文/小野寺俊明 撮影/寺川真嗣
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