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「つらたん」を連呼…30代以降の言葉のチョイスは時に場を白けさせる【コラムニスト原田まりる】

 どのような話題を振っても同じ。 「オリンピック感動したよね」 「目の前でみたわけじゃないから、つらたん」 「ポケモンGOまだやってる人いる?」 「あれは貧乏人と暇人の娯楽だから……つらたん」  いちいち癪に触るコメントをしては「つらたん締め」で話題を葬る彼。彼に対して違和感を覚えていたのは私だけではなかったようで、周囲の人達も「お前今日どうした?」と突っ込みを入れるのだが、彼は気に留める様子もなく頑なに「つらたん」を連呼しつづけるので次第に不穏な空気が場に漂いだす。  そこで私は思ったのだが、彼はおそらく普段からネガティブな発言ばかりをする人ではなく、最近「つらたん」という単語を知ったため、とにかくそれを使いたくてしょうがなかったのではないかと推測した。私もかつて異常に「メタ」「イデオロギー」という、自分がかしこく見せたくなるような単語を使いたくてたまらなかった時期があった……。そのように自分の中にブームの単語があるときは過剰に使ってしまうという人も多いのではないだろうか。  それと同じ現象が、現在の彼を取り巻いている。せめて彼が使いたい言葉が「やばたん」だったら、もうちょっと場の空気も和んだだろうとも思ったが、言葉が世界を規定するなら、ネガティブな流行り言葉を使ってみたくなるのは人間関係にはやはりマイナスである。  このつらたん男は、「若い感覚をもっている!!」という周囲の評価にたどりつく前の段階で、低評価に直結させてしまった。いま思い出しても、あの夜はつらたん以外の何物でもなかった!! 気を付けようと思った一夜であった。

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【プロフィール】 1985年 京都府出身。コラムニスト・哲学ナビゲーター。哲学の道の側で育ち高校生時、哲学書に出会い感銘を受ける。京都女子大学中退。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。Twitterは@HaraDA_MariRU 原田まりる オフィシャルサイト https://haradamariru.amebaownd.com/ 和気あいあいと哲学の知識を高めあえるサロン主宰中 この哲学がスゴい!~ケンカしない哲学交流ラウンジ~ lounge.dmm.com/detail/242/ 著書に「ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。」(ダイヤモンド社)「私の体を鞭打つ言葉」(サンマーク出版)がある。
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