エンタメ

芸の細かさが目立った2016年地味ハロウィン【コラムニスト原田まりる】

渋谷は盛り上がり!だけど、仮装のトレンドがちょっと変わってる?

 六本木に見切りをつけ、我々は渋谷へと向かう。センター街に入ろうとするとDJポリスが「ハロウィンをお楽しみの方は109前へどうぞ~」と誘導しており、今年から歩行者天国となったエリアにハロウィンの人たちがぎゅうぎゅうに押し込まれていた。ゾンビドラマ「ウォーキング・デッド」でウォーカー(ゾンビ)たちが一箇所に集められている絵が一瞬頭によぎる。
渋谷の様子

今年は109前が歩行者天国に。やはり大混雑であった

 そんなゾンビの巣窟に足を踏み入れてみると、去年までとハロウィンの趣向が大きく変化していることに気づく。去年までの渋谷はハロウィンコスプレをしている人たちで固められていたのだが、今年は「カメラを持ってハロウィンコスを見学しにきた人」が大勢いたのだ。まるでコミケのコスプレ広場や休日の秋葉原のように、馴染みのないカルチャーを見学しにきている層というのが今年は多く生まれたようであった。  そして、参加者のハロウィンコスも去年と比べ、どこか地味でパーティ感が薄い。とりあえずドンキ衣装で揃えてみました~という安っぽさではなく、完成度は高いのだが、派手に血糊をつけているわけでもなくシンプルにまとまったコスプレに身をまとっている人が多い。フィギュアスケートの羽生くんのスケート衣装(プーさん付き)、錦織圭選手の同じモデルのラケット、ユニフォームとシンプルながらも凝ったコスプレも目立った。  今回、一緒に写真を撮ってくれた人たちは以下。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1229639
ぴちぴちピッチ

ぴちぴちピッチのコスプレをした女性5人組。手作りらしい。隣はマッチ売りの少女になった編集さん

貞子

貞子になった二人組と。破壊されたビデオテープといい芸が細かい!

 せっかくなので参加者に「衣装に予算いくらかけていますか?」と質問して回ったところ、意外にも「2万円以上」という声が多く上がった。とりあえずの衣装で参加しているという人は少なく「事前に通販で購入して、数万円かかった」という声が多かった。たとえば、ハロウィン用のコンタクトレンズに2万円。ルパンのジャケットに5万円と、シンプルながらも高品質なコスプレが今年の主流のようであった。
ルパン

シンプルなようで意外とお金がかかっているらしい

 去年までと雰囲気がうって変わった今年のハロウィンだが、実は今年はネットメディア発の「地味ハロウィン」という言葉がネット上でキーワードになっていた模様。  地味ハロウィンというのは「細かすぎて伝わらないモノマネ」の仮装版のようなものである。例えばカフェ店員の格好に、冷えピタシートとマスクをつけて「熱がでたのに人手不足でバイトを休ませてもらえない店員のコスプレ」を完成させるのが地味ハロウィンである。  派手な衣装、精巧につくられた装飾、リアルな血糊、など派手さで競いあうような去年のハロウィンから一転、今年は緻密なキャラ設定で「芸の細かさ」を競いあうハロウィンへと変化を遂げていたようだ。  2016年のハロウィンは去年と比べロハス志向にむかっているようであった。バブル志向からスローライフ志向へと急激な変化を遂げるハロウィンは、文化の移り変わりの縮図をみているようでもある。 【プロフィール】 1985年 京都府出身。コラムニスト・哲学ナビゲーター。哲学の道の側で育ち高校生時、哲学書に出会い感銘を受ける。京都女子大学中退。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。Twitterは@HaraDA_MariRU 原田まりる オフィシャルサイト https://haradamariru.amebaownd.com/ 和気あいあいと哲学の知識を高めあえるサロン主宰中 この哲学がスゴい!~ケンカしない哲学交流ラウンジ~ lounge.dmm.com/detail/242/ 著書に「ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。」(ダイヤモンド社)「私の体を鞭打つ言葉」(サンマーク出版)がある。
1
2
ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。

原田まりる最新刊!


私の体を鞭打つ言葉

突如、現れた哲学アイドル!「原田まりるの哲学カフェ」を主催する著者が放つ、抱腹絶倒の超自伝的「哲学の教え」

おすすめ記事