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ファッションは、おしゃれエリートだけのものじゃない――ファッションバイヤーMB×哲学ナビゲーター原田まりる

なぜ、多くの人が「ファッション=わかりにくい」と思ってしまうのか?

原田:お話を聞いてても、ファッションってすごく人生を変えることができるツールなのに、意外とそれを利用している人って少ないような気がしますね。 MB:そうなんです。なぜなら、多くの人が「ファッション=わかりにくいもの」というハードルを感じているので。女性の場合は、結構日ごろならナチュラルに髪形を変えたり、服装のイメージを変えたりしていますけど、男性はあまり「外見を変えること」に興味がないというか、「自分を変えよう」というときに、外見を変えることが思い当たらないんですよね。あと、昔は洋服のショップスタッフさんってすごく怖かったんですよ。おしゃれじゃない人は相手もしないし、何も教えてくれない。 原田:あー、なんとなくわかります! MB:僕自身は、洋服以外にもいろんなことに興味があって、オタクで、アニメが好きで、漫画家になろうとしたり、ピアニストになろうとしたり(笑)。洋服はあくまで趣味のひとつだったし、お金もない。そんななかで、頑張っておしゃれしたら「そんな恰好して」と言われる。それがすごくショックで。「じゃあどこが悪いんだ」って聞いても、どこが悪いか言いたがらない。なぜなら、ファッション業界って、「中身を説明するのはダサい」みたいな風潮があるんです。 原田:たしかに、トレンチコートとかスキニーとかいうファッション単語だって、ファッションに興味がない人には「なにそれ?」って感じですよね。でも、なんだかいちいちそれを誰かに聞くのは恥ずかしいなって思っちゃいます。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1232429 MB:わからないことはたくさんあるのに、それをかみ砕いて話をしてくれる人がいないんです。ただ、言葉にしないとわからないことってあるじゃないですか。たとえば、白いシャツと黒いパンツをはいてくださいといったときに、シャツは出したほうがいいのか、しまったほうがいいのか。「ロールアップをしてください」といったとして、じゃあ折り返しは何センチ必要なのか……とか。 原田:MBさんに相談される方は、どんな方が多いんですか? MB:極端な体型の人が多いですね。太っている人と激やせの人。小さい人と大きい人……とか。そういう人ほど洋服に困っていて、「自分はファッションなんて縁がない」って思っている。そういうなかで僕のコンテンツを見つけてくれる人が多いです。でも、よくよく考えてみると、ど真ん中の標準体型の人なんて、そんなにいないですよね? 原田:ファッションモデルみたいな体型を持った人なんて、なかなかいないですよね。でも、雑誌に出てくるのはスタイルの良い人ばかりだから、どんな服でもおしゃれに見えるというか。 MB:そう。だから、僕のコンテンツに載せる洋服の写真も、基本僕がモデルです。僕は足も短いし、胴も長いし、頭もでかいし。でも、そんな普通の人が着ても、こんな風に見えるんだよっていうのを見せたくて。 原田:私自身、おしゃれになれなかった男友達に、MBさんの本やメルマガをお勧めしているんですが、みんな一様に「わかりやすい!」って言っています。 MB:ありがとうございます! 原田:MBさんの理論で衝撃的だったのが、たとえば「ロングコートは背の低い人は似合わないといわれているけれども、あれは太いボトムを着ているせいで、スリムなものをはけば問題ない」とか「一度に4色以上の色を洋服に合わせると変になる」……とかですが、こういうのも、言われてみて「なるほど」と理解するというか。 MB:やっぱり「わかりやすく」って大事なんですよ。以前、堀江貴文さんが、「おしゃれエリートの人ばかり救うのはやめたほうがいい」という発言をしてたんですが、おっしゃる通りで。ファッションエリートって、本当に一部の人たちなんですよ。大多数の人たちは、「なにがおしゃれで、なにがおしゃれじゃないか」ってわからない。だから、置いてけぼりになってしまう。だから、僕はそういう人たちにもちゃんとファッションを楽しんでほしいんです。 原田:なるほどー。すばらしいですね! MB:原田さんがやっていることも同じだと思うんです。哲学は人生に役立つものであるという自負を持っているからこそ、一部の哲学エリートの人だけじゃなく、哲学を知らない人たちにも哲学を伝えたいと思っているんですよね。きっと、そういう需要は今後もどんどん高まっていくんじゃないですか。まさに、ブルーオーシャンですよね。 原田:そうですね、哲学もファッションと同様に、一部のアカデミックエリートによってのみ論じられているものだと思うので……。哲学の本質とは少し異なりますが、もっと敷居を下げて、多くの人を救えるという実存主義哲学の側面を、今後も広めていきたいですね。 【MB】 ファッションバイヤー、ブロガー。メンズファッションの底上げを図るべく各メディアで執筆中。“買って着て書いて”一人三役をこなす(@MBKnowerMag)。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」が話題に。また、メルマガ「最も早くオシャレになる方法」では、「安くてオシャレになるアイテム」を紹介し即完が続出。ニコニコ動画ではブロマガと生放送「MBチャンネル」もスタート。女子SPA!でも「レディースファッション」に関するコラムを連載開始。ファッション誌では読めない歯に衣着せぬ言説が注目されている。自身のブランド「MB」にてスキニーパンツを発売したところ、5分で完売! 初の著書『最速でおしゃれに見せる方法』が発売中 【原田まりる】 1985年 京都府出身。コラムニスト・哲学ナビゲーター。哲学の道の側で育ち高校生時、哲学書に出会い感銘を受ける。京都女子大学中退。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。Twitterは@HaraDA_MariRU 原田まりる オフィシャルサイト https://haradamariru.amebaownd.com/ 和気あいあいと哲学の知識を高めあえるサロン主宰中 この哲学がスゴい!~ケンカしない哲学交流ラウンジ~ lounge.dmm.com/detail/242/ 著書に「ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。」(ダイヤモンド社)「私の体を鞭打つ言葉」(サンマーク出版)がある。 <取材・文/藤村はるな 撮影/難波雄史>
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ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。

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