肩入れから一変…沖縄メディアが翁長知事に辛辣な批判を浴びせる理由
帰国後、那覇空港に着いたところで記者らに、「(訪米は)3回目になるが、手応えは今回が最高」と述べてみせたが、取材した記者は誰もが「どうして?」と思ったはずだ。前出のコラムでは、辛辣な言葉が並ぶ。
<「沖縄県知事のDCへの旅は最悪だった。トランプ政権には相手にされず、地元では注目を浴びた」 米紙ワシントン・ポストの東京支局長はツイッターで(2月)5日、朝日新聞の英語版の記事を引用するかたちで、翁長雄志知事の訪米行動をそう伝えた。米首都ワシントンで面談したトランプ政権関係者や上院議員はゼロ、当地での記者会見に参加した米記者は1人、日本メディア以外で訪米行動を伝えた記事は2本。前述の一文は、批判ではなく、こうした事実を端的に伝えたにすぎない>この記事だけでない。このところ、翁長知事に対する地元紙の圧力が強まっている。 仲井真弘多前知事による辺野古の埋め立ての承認に瑕疵があったとして、これを「取り消し」した翁長知事の判断の是非をめぐって争われた国との裁判は、昨年12月の最高裁判決によって県側の敗訴が確定した。以来、翁長知事が次の一手をなかなか打ち出そうとしないからだ。 訪米中のワシントンでの記者会見でも、辺野古移設を阻止する方法を聞かれて、「戦術は言えない」と明らかにしなかった。 これに業を煮やしているのが、地元紙やこれまで翁長知事を支援してきた基地反対派の人たちだ。彼らが求めているのは、すでに通用しなくなった承認の「取り消し」ではなく「撤回」だ。承認に至る審査の過程に瑕疵があったとして行う「取り消し」に対し、「撤回」は承認後に新たな事情の変化があったときに適用できるもの。具体的には、2014年の知事選で辺野古移設反対を訴えて翁長氏が当選したことにより、県民の民意が示されたことなどが、行政行為の撤回を認める材料となる「事後的な事情の変化」にあたるのではないかというのが、基地反対派の主張である。
『沖縄を売った男』 翁長氏とはまったく異なるアプローチで沖縄の基地負担軽減に取り組んだ仲井眞氏を通して、基地問題を見つめ直した一冊 |
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